助っ人たちが日本プロ野球に帰ってくる理由 限られたイスを巡る戦い

4月14日(木)16時8分 フルカウント

外国人選手はなぜ再び日本に戻ってくるのか

 今シーズンも多くの外国人選手がプロ野球での経験を積んで、米国に仕事場を戻さずに再び日本の別球団でのプレーを選択した。彼らは日本で実績を積んだにもかかわらず、何故再び日本に戻ってくるのだろうか。

 外国人選手は日本へお金を求めてやってくる選手も多い。だが球団側も日本の野球に適応出来るか分からない存在に初めから多くの金額や複数年契約で保証するほどお金が溢れているわけではない。

 そのため1、2年日本の野球に適応出来ることをアピールし、より良い状況を求めてチームを歩き渡るのは外国人選手にとっては当たり前のことかもしれない。

 プレーする場として日本を選ぶ外国人選手たちには、一度メジャーリーグという舞台が閉ざされてしまった者も多いはずだ。マイナーリーグでもFA制度があり、40人枠に入れなかった期間が1032日間(メジャー在籍期間の6年に相当する)に達した選手には他球団と契約をする権利が得られるが、それまでは球団に保有権がある。その期間でメジャーリーグに定着する道筋を作ることが出来なければ、環境の変化を一番に考えるはずだ。

 保有されている期間、一つのチームでチャンスを与えられずに終わるという選手は少ない。メジャーリーグでは多くの選手にチャンスを与えるようさまざまな制度がある。40人枠外の選手の中で18歳以下でプロ入りした選手は4年間、19歳以上でプロ入りした選手であれば3年間プレーすれば「ルール5ドラフト」の対象となり、保有権が切れる前に違った環境でチャンスを得られる可能性がある。さらには選手の異動が活発におこなわれるため、マイナーリーガーであってもトレードの対象となるケースは多くある。

 そのためマイナーでの保有期間を終えて、全くメジャー定着への道筋が作れなかった選手は一度日本など海外で活躍の場を求めるか、マイナーリーグで野球を続けていくと割り切るかの選択に迫られる場合もある。

 ただ野球選手も私たちと変わらず、プロ生活6年目を迎える頃には高卒であれば24歳、大卒であれば27、28歳と結婚を考えたり、すでに子供が生まれたりしている年代だ。メジャーリーグに一度も近づくことなく、プロ生活を続けている者にとってはセカンドキャリア(現役後の人生)が頭を過る時期だろう。

 最後にチャンスがあれば、日本を舞台に一花咲かせて、上手く行けばメジャーリーグに帰ってこようと考える選手がいても不思議ではない。おそらくそういう考えを持った選手が海を渡り、日本へやってくるのだろう。

「お金を稼ぐ」場として選択肢の一つとなってきている韓国

 舞台を日本に移し、プロ野球で数年活躍をしたとしよう。それでも再びメジャーリーグに戻るには年齢が高すぎる場合が多い。すでに日本にやってくるときは30歳手前。そして日本で数年活躍をしても、米国に戻るのが30歳半ばに迫ってくるとメジャー球団も複数年契約を保証しにくい。

 一度はメジャーリーグの舞台で烙印を押された選手たちだ。弱点だった部分を日本で改善することが出来て、チームも即戦力として考えることが出来る場合のみメジャー契約に至るだろう。

 だがこれまでの例を見ても、日本へやってきた選手の数を考えると再びメジャーの舞台に戻り定着した選手はさほど多くない。私もこれまで日本でのプレーを経て、米国に戻った選手と多く一緒になったことがある。そして彼らの多くが口を揃えて言うのは、「日本は良かった。また機会があれば戻りたい」という言葉だった。そう話す選手の多くは米国に戻ったものの、マイナーリーグで燻っている現状だった。

 そう考えると日本国内でより良い環境を目指してチームを移るほうが富、安定を目指す外国人選手にとっては理想的ではないだろうか。

 そして球団側にとっても、日本を経験した外国人選手を再び獲得する利点はある。外国人枠は各球団とも1軍では4枠しか設けられておらず、チームに足りない要素を外国人選手で補おうとする場合が多い。そのため長打力のある選手、速球派のリリーフ投手、そして球数少なく試合を組み立てることが出来る先発投手を獲得するチームが多いように感じる。

 各チームこの「助っ人」と呼ばれる存在でライバル球団に差をつけようと年中スカウトが各地を巡っている。だが実際のところ獲得への条件をクリアして、日本で戦力になれる選手には限りがある。メジャーリーグは30球団あり、それぞれがマイナーリーグの下部組織を持ち、さらには独立リーグがある。メジャーリーグ昇格に向けて少しでもチャンスがあると感じる選手であれば、環境を大きく変えて日本に行こうというのは妻・子がいれば尚更難しくなる。

 そして今ではマイナーリーガーにとっては「お金を稼ぐ」場として韓国も選択肢の一つとなってきている。他のアジア諸国でもプロリーグが発展していけば、お金を稼ぐことを目的とする選手たちの行き先は日本だけではなくなってしまう。

 外国人選手の候補が減っていく一方で日本球団にとっても別球団に在籍していた選手を獲得することにはメリットがあるだろう。人間誰しも他国で仕事をするのは、イメージが湧かない要素が多い。グラウンド上の野球の部分だけならまだしも生活面、食事面、コミュニケーション面など色んな壁にぶち当たる可能性がある。

思い出深かったボビー・スケールズ

 だが一度日本を経験している外国人選手にとっては、ある程度日本での生活が予想出来る範囲となる。その安心感は選手だけでなく、球団側にとっても大きい。むしろ1年間日本での生活を経験したことでプレー面にもプラスになると予想しても不思議ではない。

 限られた候補の中で新たな外国人選手をスカウトし、再び未知の戦力に期待するよりも計算出来る安心感を求めることが変わらない外国人選手の顔ぶれに繋がるのではないだろうか。

 数年前の話になるが、私にとって思い出深かったのがボビー・スケールズという選手だ。2011年シーズン途中に北海道日本ハムファイターズに加入し、80試合に出場。翌シーズンは米国に戻り、ニューヨーク・メッツの傘下バッファローに所属しており、対戦時に話をする機会があった。米国に戻ってきたものの、日本での経験について好意的に話していたことを思い出す。そして数週間も経たないうちにオリックス・バファローズとの契約合意のニュースが流れた。32試合で打率.339と好成績を残していたが、再び日本の地に戻っていった。

 今年もパ・リーグには他球団から移ってきた選手には、マリーンズのスタンリッジ投手がいる。そしてセ・リーグへ移った選手の中には元マリーンズのクルーズ。そしてセ・リーグ間ではベイスターズ在籍のロペスやカープのルナと多くの外国人選手が別チームから加入した。更には韓国リーグを経て、日本にやってきた選手もホークスのハンデンハークやロッテのナバーロがいる。

 日本国内だけでなく、韓国や台湾を巻き込んで選手が入れ替わるようになった。そのアジア内を巡る外国人選手の「輪」に加わろうとその枠を目指す外国人選手は数多く存在する。

 今シーズンは例年以上に、「新」外国人選手が各チーム多く加わった印象がある。数年前までは毎年同じ外国人選手がチームを移り変わっていたように思うが、最近はスカウティングも強化され、リスクを負ってでも新戦力獲得に励んでいるチームが多い。

 安心感、そして計算出来る外国人選手を獲得したチーム、それとも新たに輪に加わることを目指す新戦力を獲得したチーム。どちらに軍配があがるのか注目したい。

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

「パ・リーグ インサイト」新川諒●文

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