【皐月賞】過去10年で1番人気は3勝 波乱の結末を迎える要因とは?

4月14日(火)6時0分 SPAIA

イメージ画像ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

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皐月賞は波乱の傾向

誰が言ったか皐月賞は「速い馬が勝つ」というクラシック三冠を評した格言がある。「強い馬が勝つ」という菊花賞、「運のいい馬が勝つ」という日本ダービーに比べ、ハードルは低いような印象を受けるが、人気馬にとって受難のレースであるのもまたこの皐月賞である。
近年の優勝馬を見ても、昨年の優勝馬サートゥルナーリアこそ1番人気だったが、その前の3年を見るとディーマジェスティは8番人気、アルアインは9番人気、そして一昨年のエポカドーロは7番人気。過去10年(2011年は東京開催)で1番人気馬の勝利が3回、しかも4度が馬券圏外なのだから、波乱含みの一戦との見立てで間違いはない。
ではなぜ波乱が起こり得るのだろうか。レース傾向を掘り下げて振り返ることで、その要因を探ってみたい。

乗り難しい中山コース

トリッキーな中山コースが能力の比較、予想を難解なものとするという見解もある。しかし、過去10年で1番人気が5勝している有馬記念の2500mに比べ、2000mにそれほど紛れを生じる要素は感じられない。単に小回りだけである。それが出走馬を送り出す陣営、騎乗するジョッキーたちの共通認識であろう。攻略法としては、小回りコースでは当然のごとく、差し追い込み馬であっても4コーナーでは前を射程圏に捉えておく必要がある。
内外フラットな馬場状態で速い時計の決着となれば、もちろん先行馬、内を回った馬が有利だが、気をつけるべきは直線の坂である。多くの馬が内めの好位を目指して殺到すると、スペースが空きづらい。絶好のポジションで運んでいたはずが、直線の坂で急激に減速する馬をさばき切れずに、足を余してしまうケースも顕著に見られる。

皐月賞馬になるためには好騎乗が欠かせない

皐月賞が行われる日は約2か月開催される中山コース最終日で、一見すると馬場の内めは荒れ気味である。そこをあえて、勇気を持ってインにこだわったことで勝利したのが2017年のアルアインである。母ドバイマジェスティの血統からマイラー色が濃いとみられての人気薄も、それが思い切った競馬のできる下地にもなったのだろう。中山競馬場の馬場改修後の2014年以降は極端に時計の速くなる傾向を強めていたことも後押しとなったに違いない。
馬場高速化の傾向が顕著となったのは2016年。1〜3着をディープインパクト産駒が独占するなか、勝ったのは人気薄のディーマジェスティ。この上位3頭が続くダービーでも上位を占めるのだから、それぞれ実力を発揮したレースだったと評価するべきだが、その勝敗を分けたのは仕掛けのタイミングにあったとみたい。
この日は暴風といっていいほど、恐ろしく風の強かった中山競馬場。直線では追い風となるも、向正面で風をまともに受ける位置となれば、その抵抗をもろに受けるため、みんながそれを避けることを考えての位置を取った。そのレースラップから読み取ることは難しいが、1000m標識でハナに立ったリオンディーズは明らかに暴走であり、これを追いかけることを多くの有力馬がためらった。
その中で3コーナーあたりからうながしてロングスパートを仕掛けたのが蛯名騎手騎乗のディーマジェスティ。一見、暴挙に見えるが、そこは中山をホームグラウンドとして長年結果を残してきた名手。 中山では少々無理をしてでも、勝負になる位置を取りに行く必要がある。それに、最後は追い風を利用できるという計算もあったのだろう。絶妙なる名人が見せた技が手繰り寄せた勝利と思えた。
そして2018年のエポカドーロは作戦通りの展開に持ち込んでの勝利だった。先行馬が多数競り合う前傾ラップの展開、速い時計の決着が予想され、切れ味のある差し馬が有利との読みが占めた。
確かに道悪馬場で前3頭が後続を引き離す形となり、上がりも時計を要する消耗戦となった。しかし、差し馬勢が不発に終わったのは、4番手に位置したエポカドーロが実質ハナを切るのと同じ形に持ち込んだものであり、俗にいう〝行った行った〟の決着。そこには馬場保全の技術がさらに進み、前年までの馬場高速化にひとまずは歯止めのかかった傾向をいち早く見抜いた厩舎の戦略が大きな勝因として挙げられる。

ダービーヘの前哨戦

それぞれの優勝馬が高い実力の持ち主であったことに疑いはないが、こと皐月賞においては人気薄だったからこそ、選択できた戦法が勝利へと結び付いたとは言えないだろうか。
皐月賞で人気を背負って敗れた馬のその後を振り返ると、2018年の1番人気ワグネリアンは次走でダービー制覇。2017年の2番人気スワーヴリチャード(1番人気は牝馬ファンディーナ)は6着から続くダービーで2着へ着順を上げた。4年前の皐月賞ではディーマジェスティに置き去りにされたように見えたマカヒキが、ダービーでは難なく逆転を果たして優勝する。
もうひとつ突っ込んだ見方をすれば、皐月賞を勝利した馬、すなわち小回りコースを展開、コース取り、仕掛けのタイミングなどを利して勝利した馬が、皮肉なことに次に広い東京競馬場の2400mで行われるダービーでは、立ち回りが難しくなる傾向が見られるのではないだろうか。
それを踏まえるがごとく、出走馬を送り出す陣営の、ダービーと皐月賞へ懸ける温度差にはかなりのものがある。言うなれば皐月賞はダービーへ向けての前哨戦、ステップレースの1つであると言い切っていいほどである。それが波乱の結果を呼ぶのなら、人気にはこだわらず、その年度によって姿を変える傾向を素早く見極めることが馬券作戦の手立てとなろう。
最後に追記させてもらえるなら、ダービー優勝を目指すのが最大目標であることはもちろんだが、勝利の目は低くともそこへ出走するだけで価値があるものである。一昨年から皐月賞5着までにダービーの優先出走権が与えられることとなり、いわゆる着狙いに徹する馬が現れたとて不思議はない。それほど、皐月賞とダービーの価値には開きが生じていることは承知しておきたい。

SPAIA

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