今季唯一の耐久戦は新型クプラ・レオンVZ TCRのレイス&フォレスティ組が制覇/TCR南米開幕戦

2024年4月17日(水)17時30分 AUTOSPORT web

 南米大陸を舞台とするTCRサウスアメリカ・シリーズと、併催TCRブラジルの開幕戦としてインテルラゴスにて開催されたシーズン唯一の“変則耐久フォーマット”の1戦は、今季より供給が開始された新型『クプラ・レオンVZ TCR』の世界第1号をドライブしたラファエル・レイス/ルーカス・フォレスティ組(W2プロGP)がデビューウインを飾っている。


 サンパウロを代表する世界的トラック、アウトドローモ・ホセ・カルロス・パーチェに集った両シリーズの15台は、今季唯一の長距離戦としてセクションを2分割した40分レースに分け、そのインターバルに20分の休憩が入るという独自形式のフォーマットに臨んだ。


 昨季、初のフル参戦でシリーズチャンピオンに輝いたイグナシオ・モンテネグロは、古巣のファン・マニュエル・カゼッラ(スクアドラ・マルティーノ/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)のペアを務めるため、今季本格進出を果たす欧州から一時帰国。同じく昨季のTCRブラジル王者であるガリッド・オスマンは、同国を代表するSCBストックカー・ブラジル“プロシリーズ”に参戦するフェリペ・ラピーニャとチームを組み、大会連覇を狙う。


 さらにシリーズで強豪の一角を形成するPMOモータースポーツは、今季よりSCBの名門フルタイム・スポーツとジョイント。うちPMOレーシングとしてエントリーするプジョー308 TCRの1台に、SCB5冠の“帝王”カカ・ブエノを招聘した。


 そんなゲスト多数の長距離戦に向けた土曜予選は、2名のドライバーによる“タイム合算方式”で争われると、やはり昨季のチャンピオンが躍動。モンテネグロとカゼッラのFL5型シビックRが今季最初のポールポジションを獲得した。


 背後の2番手には新型クプラ・レオンVZ TCRのレイス/フォレスティ組が、合算タイムでわずか0.044秒差のフロントロウに並び、オスマン/ラピーニャ組とW2プロGP陣営が並ぶ結果に。ファン-アンヘル・ロッソとファクンド・マルケス(パラディーニ・レーシング/トヨタ・カローラGRS TCR)のコンビが、トヨタ勢の最上位となる6番手グリッドを確保した。


 明けた日曜正午を過ぎてスタートが切られた“前半戦の40分”では、スティント中盤でポールシッターを捉えた2番手発進のフォレスティが首位浮上に成功。そのまま20分のハーフタイムに突入する。


 後半スティントで新型モデルのステアリングを引き継いだレイスは、僚友のオスマンを引き連れてリードを堅持。これで新型モデルのデビュー戦勝利に向け、盤石の防護体制が整う。


 しかし2番手となった28号車の先代クプラ・レオン・コンペティションTCRはここからペースに苦しみ、ペドロ・カルドソ(PMOレーシング/プジョー308 TCR)や、モンテネグロのFL5にオーバーテイクを許してしまう。

今季より供給が開始された新型『クプラ・レオンVZ TCR』の世界第1号がTCRサウスアメリカにてデビュー
PMOレーシングとしてエントリーするプジョー308 TCRの1台には、SCB5冠の“帝王”カカ・ブエノが招聘された(左)
日本でも活躍を演じた元F1ドライバー、ノルベルト・フォンタナはトヨタ・カローラGRS TCRをドライブ


■アクシデント原因のモンテネグロに失格処分


 しかしレースはこれで終わらず。最終スティント終了を目前に立て続けの波乱が発生する引き金となったのは、こちらもSCBで活躍を演じるラファエル鈴木(PMOフルタイム・スポーツ/リンク&コー03 TCR)で、高速右コーナーのターン7『Laranjinha(ラランジーニャ)』でコントロールを失いバリアにクラッシュ。このアクシデントでセーフティカー(SC)がコースインする。


 迅速な撤収作業でレースはわずか1周後に再開されると、今度はギャップの詰まった隊列でポジション争いが激化。モンテネグロ(ホンダ)、オスマン(クプラ)、そしてカカ・ブエノ(プジョー)の3台がマルチクラッシュの憂き目に遭う。


 即座のアクシデント検証を終えたスチュワードは、モンテネグロに「この事故の原因を作った責任がある」と認定し、昨季チャンピオンはまさかのレース失格処分となってしまう。


 これで最終結果はほぼ確定……と思われたファイナルラップでもさらなる波乱が起き、トップ5を形成していたトヨタ陣営のパラディーニ・レーシングが、無念の燃料不足に見舞われ転落。ロッソ/マルケス組、ファビアン・シャナントゥオーニ/エンリケ・ボルダス組、そしてファブリツィオ・ペッツィーニ/ファン-パブロ・ベッソーネ組の3台は、それぞれ7位、9位、10位でフィニッシュした。


 これでプジョーのカルドゥソに対し0.7秒差でチェッカーを受けたレイス/フォレスティ組が、新型クプラ・レオンVZ TCRのデビューウインを達成。3位にもギリェルメ・ライシェル/ギリェルメ・サラス組(W2プロGP/クプラ・レオン・コンペティションTCR)が入り、シリーズの初代チャンピオンチームがダブル表彰台を獲得した。


 そして最後のポジションシャッフルにより、コブラ・レーシングチームのチアゴ・ヴィヴァクアとニコラス・コスタのカローラGRS TCRがトヨタ勢最上位の4位に。同じく元F1ドライバー、ノルベルト・フォンタナとフェリペ・マルホイ組(コブラ・レーシングチーム/トヨタ・カローラGRS TCR)も、優勝ペアから13秒差でトップ6に入った。


 この勝利で即座にバランス・オブ・パフォーマンス(BoP/性能調整)の新たな数値を適用された新型クプラ・レオンVZ TCRは、TCR規定を統括するWSCグループの技術部門より最低重量1265kg、車高80mmの通達を受けることに。エンジン出力は100%を維持したものの、先代モデル比で10kgと10mmの増加となっている。

昨季シリーズチャンピオンに輝いたイグナシオ・モンテネグロは、古巣のファン・マニュエル・カゼッラ(スクアドラ・マルティーノ/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)とのペアで予選最速に
今季唯一の長距離戦としてセクションを2分割した40分レースに分け、そのインターバルに20分の休憩が入るという独自形式のフォーマットで争われた
デビューウインを飾った新型『クプラ・レオンVZ TCR』には、新たなBoPが即時発効している


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