開幕戦大苦戦のポルシェは11kg減でイモラへ。性能調整が発表、フェラーリは8kg増
2025年4月17日(木)13時56分 AUTOSPORT web

4月18〜20日にイモラ・サーキットで開催されるWEC世界耐久選手権第2戦『イモラ6時間レース』に向け、ハイパーカーとLMGT3のBoP(バランス・オブ・パフォーマンス/性能調整)が発表された。
今週月曜日に公開されたブルテンによると、ポルシェ963は1053kgでイモラに臨む。これは開幕戦カタールでの最低重量と比べて11kg軽量化された数値だ。
シュトゥットガルトを本拠地とするドイツメーカーにとって『カタール1812km』は厳しい一戦となった。前年は表彰台を独占した地で今季は5号車963による総合10位に終わり、わずか2ポイントしか獲得できなかったのだ。2月末のレースでは、ポルシェ963はトヨタGR010ハイブリッドと並び8車種のハイパーカーの中で最重量のマシンだった。
WEC委員会が発表したこのブルテンは、FIA国際自動車連盟とACOフランス西部自動車クラブが今年の改訂版BoP算出方法の詳細を明らかにして以来、初めてのものだ。レギュラーレース3戦分のデータを使用して設定するという方法に従って作成された今週末のBoPは、昨年の最終2戦である富士とバーレーン、そして今季開幕戦カタールのデータに基づいて決定されている。
8車種のハイパーカーのうち5台はカタール以降、重量が増加しており、もっとも重量が増加したのはキャデラックVシリーズ.Rだ。このクルマは前戦比11kgのプラス。9kg増えたアストンマーティン・ヴァルキリーは今シーズン新たに投入された新車であるため、BoPの設定には昨年の富士とバーレーンのレースで最速だった車両のデータが使用されている。
カタールで優勝したフェラーリ499Pも“ホームレース”に向けて8kgの重量増加を受け取り、トヨタ、ポルシェ、アストンマーティンに次いで4番目に重いマシンとなった。
トヨタGR010ハイブリッドは1kgのプラスで1065kgに。これは、雨に見舞われた昨年のレースで優勝した時の重量より5kg重い。なお、フェラーリは昨年のイモラ・ラウンドより4kg、ポルシェは20kg重くなっている。
反対にもっとも軽量なマシンはプジョー9X8で、1kgの軽量化により規制最低重量の1030kgとなった。これは、次に軽いキャデラックより11kg、アルピーヌA424(-2kg)とBMW MハイブリッドV8(+5kg)より12kg軽いことを意味する。
プジョーは、パワーゲインのしきい値である250km/h未満で、規定で認められている最高出力の520kWを下回らない唯一のメーカーだ。この分野で開幕戦からもっとも大きな変化はアルピーヌで見られ、11kW増加して519kWに。このほかBMW、キャデラック、フェラーリがプラス調整となった一方、ポルシェとトヨタには出力を下げる調整が入った。なお、パワーゲインはこれとは逆向きの修正が行われている。
■大幅な軽量化で調子は上向くか
LMGT3クラス向けのBoPでは、フォード・マスタングGT3、メルセデスAMG GT3エボ、ポルシェ911 GT3 Rに大幅な軽量化が認められた。
この3台はカタールで苦戦を強いられ、3メーカーの中でポイントを獲得したのは、プロトン・コンペティションの88号車フォードのみ。それも10位でのフィニッシュだった。
マスタングGT3はもっとも大幅な軽量化を受けた。21kg減の1328kgとなり、クラス最軽量となっている。一方、メルセデス(1352kg)とポルシェ(1336kg)はそれぞれ19kgと16kgの重量削減を受けた。これによりポルシェは、マスタングGT3と、9kgの軽量化が行われたBMW M4 GT3エボ(1335kg)に次いで3番目に軽いマシンとなっている。
カタールの予選でフロントロウを独占したマクラーレン720S GT3エボは、最低重量が引き上げられた唯一のマシンで、6kg増の1357kgに。マイナス2kgの調整を受けたシボレー・コルベットZ06 GT3.R(1372kg)に次いで2番目に重いマシンとなった。
開幕戦で優勝したTFスポーツの33号車コルベットは、最低重量に加えて36kgのサクセスバラストを搭載し、第2戦イモラを1408kgで戦うこととなる。前戦2位の59号車マクラーレン(ユナイテッド・オートスポーツ)は24kgの追加で1381kg、同3位となった31号車BMW(チームWRT)は12kgのバラストを積み1347kgとなっている。