「石川遼は必ず復活できる」タイガー・ウッズの元コーチらが断言

4月17日(水)6時35分 Sportiva

 石川遼(27歳)が、アメリカPGAツアーメンバーの資格を失って1シーズンが過ぎた。

 昨年は主戦場を国内ツアーに移したが、未勝利。賞金ランキングは22位にとどまった。最終戦の日本シリーズJTカップで2位に入って「いよいよ復活か」と期待されたものの、年明けに海外で行なわれた3試合に出場して予選落ち2回。2日間のツアー外競技、日神カップ千葉オープンでは連覇を果たしたが、同じく2日間のツアー外競技、岐阜オープンクラシックでは予選落ちと、いまだ完全復調には至っていない。

 ここ数年のプレーぶりに、かつて日本ツアーを盛り上げた頃の期待感や輝きはない。20代半ばにして、石川はキャリアの大きな壁にぶち当たっている。


石川遼は再び世界で羽ばたくことができるか

 そんな石川と同様、世界のトップツアーにおいても、若くして成功と挫折を味わった選手がいる。2016年リオデジャネイロ五輪で金メダルを獲得し、その後、世界ランキング1位にもなったジャスティン・ローズ(38歳/イングランド)だ。

 ローズは17歳のとき、アマチュアとして出場した全英オープン(1998年)で4位に入って一躍脚光を浴びた。その直後、ローズは石川と同じように10代(17歳)で即プロ入り。その活躍が大いに期待された。

 しかし、プロ入り後のローズは、優勝どころか、17試合連続予選落ちを喫するなどして、欧州ツアーでのシード権獲得さえ果たせなかった。15歳のアマチュアでプロツアーを制し、プロ入りした翌年も勝利を挙げている石川に比べると、ローズはかなり早いタイミングでキャリアの壁が訪れたと言える。

 そこで、困窮したローズは、ティーチングプロ界の重鎮であるデビッド・レッドベターの門を叩く。自ら作り上げてきたものを一度リセットし、”外部の目”を入れることによって、スイングの再構築を行なったのだ。

 当時、レッドベターのもとでコーチとして活動していたアンドリュー・パークは、その頃のローズについて、こう語っている。

「低迷していた時期、ローズは本当によくレッドベターの話に耳を傾けていました。まだ若かったけれど、自分のやるべきことを理解し、精一杯取り組んでいたのです」

 その結果、ローズはツアー参戦から5年目を迎えた2002年、21歳になってようやく欧州ツアーで初勝利を挙げた。以降も紆余曲折ありながら、ローズはPGAツアーにも参戦。30歳を目前にした2010年6月、メモリアルトーナメントを制してPGAツアーでの初優勝を飾った。

 それからはコンスタントに結果を残して、2013年には全米オープンを制覇。悲願のメジャータイトルを手にした。

 現在のローズには、スイングコーチにショーン・フォーリー、パッティングコーチにはフィル・ケニオンという名コーチらがついて、ついに昨年、世界ランキング1位にまで上り詰めた。

 優秀なコーチたちによって、ローズのフォームはまるで機械のように、精密に構築されている。挫折によって、才能だけでは通用しないことを悟ったローズは、意図的に作り上げられた技術によって、30代後半で世界の頂点に立ったのだ。

 長い間、ローズの成長を間近で見てきた先述のパークは、同じように若くして壁にぶち当たっている石川にも、「復活の可能性は大いにある」と見込んでいる。

「石川がPGAツアーで結果が出ずに苦しんでいる頃、周囲の多くは飛距離不足が要因だと指摘していましたが、私の意見は違います。飛距離では劣位だったゲーリー・プレーヤー(南アフリカ)が9回もメジャーを勝って、同じくルーク・ドナルド(イングランド)も世界一になっているからです」



「石川遼は復活できる」と語るアンドリュー・パーク。photo by Yoshida Hiroichiro

 トップ選手の飛距離が伸び続ける昨今でも、「飛距離がないから勝てない、というわけではない」とパークは言う。しかし石川は、ドライバーの飛距離と精度を求めて試行錯誤を繰り返した。パークは、このチャレンジが長い不調の要因になっていると指摘する。

「彼が才能を持って生まれてきたことは間違いありません。ただ、才能を持つ選手ほど、トップを目指す向上心が強く、石川も例に漏れず、世界一のプレーヤーを目指してアップデートしていました。これによって、得るものもあれば、失うものもあるのです」

 石川は、シーズン中にも飛距離を求めたことで、その他の部分のバランスが少しずつ崩れていってしまったのかもしれない。

タイガー・ウッズ(43歳/アメリカ)は、この取捨選択に非常に長(た)けています。何を保ち、何を捨てるべきかを理解しているので、勝ち続けることができるのです」(パーク)

 では、チャレンジが裏目に出てしまっている石川が復活するためには、何が必要なのだろうか。パークはこんな見解を示す。

「ローズがそうしたように、まずは信じられるコーチをつけることです。そして、10代の頃、なぜ成功できたのか、一緒に見つめ直すのです」

 これは、単に若い時のスイングに戻す、ということではない。迷いなく振って、結果がついてきた要因を探ることで、「自然に振れる動き」を再度自分の中に持ち込むことが目的だ。パークが続ける。

「優秀なコーチがいれば、ジャスティン・トーマス(25歳/アメリカ)のような、バイオメカニクス(生体力学)に基づいたスイングの構築もできる。そうやってスイングへの不安を取り除いていけば、PGAツアーでも成功できると確信しています」

 パークの他にも、石川の復活は「もちろん期待できる」と言うコーチがいる。かつて、ウッズのパッティングコーチを務めたことがあるマリウス・フィルマルターだ。

 PGAツアーに挑戦中の石川に、継続してパッティングのアドバイスを送っていたこともあるフィルマスターは、こう語る。

「私が石川のストロークをチェックしていた頃、常に『(石川は)メジャーを獲れる』と言っていました。彼には天性の素晴らしい才能があるからです。結局、PGAツアーから撤退してしまいましたが、彼はメジャーのタイトルを獲れなかったのではなく、『まだ獲れていないだけ』だと思っています」

 そしてフィルマルターは、石川のゴルフに向き合う姿勢そのものが、復活を左右するカギになると言う。

「今、(石川が)カムバックに向けての取り組みを楽しめていれば、必ずいい結果に結びつくでしょう。”楽しむ”ということは、プレーヤーのエネルギーのレベルを上げるし、ストレスを軽減してフィジカルに多くのいい影響を与えます。

 彼は今なお、ゴルフを続け、挑戦している。私は、リョウがゴルフを楽しんでいると願っているし、そう信じています」

 2人のコーチは、石川の復活を信じてやまない。かつてメジャーを制した、アーニー・エルス(49歳/南アフリカ)やトレバー・イメルマン(39歳/南アフリカ)も、「リョウは次のスーパースターになるだろう」と評したことがある。

 ゴルファーのキャリアは長い。ローズが29歳でPGAツアー初勝利を挙げたことを考えれば、27歳の石川が再びPGAツアーに復帰して活躍する可能性は十分にある。

 しかしながら、石川が再び世界の舞台で戦うには、ローズのように挫折を糧にして、自らのキャリアを再設計できるかにかかっている。それには、ローズのようにスイングを変える前に、今までの取り組みや思考パターンを変える必要があるかもしれない。

Sportiva

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