サウジアラビア、F1チーム運営への野望を抱く「まだ1枠残っている」

2025年4月18日(金)6時49分 AUTOSPORT web


 F1が今週末のサウジアラビアGPに向けて準備を進めるなか、同国はレース開催をはるかに超える野心があることを示した。サウジアラビア自動車・オートバイ連盟会長のハリド・ビン・スルタン・アル・アブドラ・アル・ファイサル王子が、サウジアラビアがF1チームの買収に関心を持っていることを明らかにしたのだ。この動きは、F1界において拡大する同国の影響力を強化する可能性がある。



 アラムコによるアストンマーティンへのスポンサーシップや、サウジアラビアの政府系ファンドであるパブリック・インベストメント・ファンドによるフォーミュラEへの関与など、サウジアラビアはモータースポーツへの投資を行っているが、現時点では、サウジアラビアが所有するF1チームはない。


■F1チーム運営に乗り出す可能性を認めるサウジ王子


 ハリド王子は今週ジェッダで行われるレースを前に記者とのビデオ通話において、サウジアラビア主導のチームが誕生する可能性を指摘し、「つまり、空きがあるのだ」と語った。


「12チームの枠のなかで11チームしかなく、さらに1、2チーム、将来売りに出される可能性がある。つまり、それは起こり得るということだ」


 ハリド王子のコメントは、戦略的な機会があることを浮き彫りにしている。F1グリッドはまだ最大チーム数に達しておらず、既存のチームがオファーを受け入れる可能性もある。そんななかで、サウジアラビアは、チームの所有権取得を理にかなった次のステップとみなしている。



2024年F1第2戦サウジアラビアGP スタート

■ビジネスとしての要因が大きい


 この可能性は、単に国家の誇りだけではなく、ビジネスに関するものでもある。F1の人気が世界中で爆発的に高まり続けているなか、ハリド王子は投資家にとってこのスポーツの経済的魅力が増していると指摘した。


「まず、成長が見られている。F1チームを買うなら、人々は金儲けのために買うだろう。PIF企業のいずれかが買うというのなら特にそうだ」とハリド王子は説明した。


 サウジアラビアの経済多様化を牽引するパブリック・インベストメント・ファンドは、F1の世界的な影響力拡大を活用し、買収の先頭に立つ可能性がある。


「現在、F1は新たな市場に多く進出しており、世界的に売上が増加している。また、アラムコやアストンマーティンとの提携も見られる」とハリド王子は付け加え、サウジアラビアとF1の既存のつながりが、より深い関与の基盤になっていることを指摘した。


 しかし、王子はいかなる動きも計算されたものでなければならないと明言している。


「すべての方向性は、サウジがすぐにそうできるかもしれないということを示している。それが実行可能かどうか、理にかなっているかどうか確認できるのなら、やらない道理があるだろうか? つまり、お金を稼ぐのが嫌いな人は誰もいないということだ。F1でお金を儲けることができるかどうかというのは、非常に難しいことだと思う」


「どのチームを買うべきか、誰と提携すべきか、誰がこれを管理するのかを正確に把握する必要がある」


 適切なチームを選択し、有能な経営陣を確保し、競争の面で成功を確保するには、正確さが求められる。


「この決断は非常に難しい。どのチームを買うのか、そしてそれをどのように管理するのかということを話すのは簡単ではない。しかし、我々は多くの関心を持っている。我々はF1を開催し、チームのスポンサーになっている」


「だから、サウジのチームの発表があっても私は驚かないし、個人的にはサウジのチームを見てみたいと思う」とハリド王子は認め、サウジブランドのチームに対する個人的な情熱を明かした。


「しかし、私がサウジアラビアにおり、サウジアラビアの一企業がチームのひとつに関与している以上、私は彼らが正しいやり方で成功することを望むだろう。難しい質問だが、そうしてはいけない理由はない」



F1サウジアラビアGP/サウジアラビア国旗

■サウジアラビアGPでのシーズン開幕を希望


 高速ストリートコースであるジェッダ・コーニッシュ・サーキットは、2021年からF1の開催地となっている。一方で、新たにキディヤ・サーキットが建設中だ。ハリド王子はサウジアラビアをシーズン開幕の目玉として位置づけることを目指している。


「これは我々が望んでいたことだ」と、ハリド王子は選手権の開幕戦開催について語った。


「しかし、F1に責任があることは理解している。彼らにとっては、テストの関係で、バーレーンでシーズン開幕となる方が楽な場合もあるかもしれない」


「そのため、考慮すべきことは数多くある。しかし我々としては、開幕戦を開催したいと考えている」


「天候のことがある。選択の余地が少ない。シーズンの終わりになることを好まない向きもある。そしてシーズン半ばでは暑すぎる。カタールとアブダビがシーズン終盤に開催することは分かっている」


 シーズン序盤の開催は、ジェッダの春の穏やかな気候に適しており、商業面の目標とも合致する。


「だから今の我々にある唯一の選択肢は、バーレーンとの連戦だった。(そうすることに)我々の方は問題ない。我々はシーズンの初めを望んでいる。理想的なのは、来年はシーズン初めのレースになることだ。おそらく1戦目か2戦目だ。それは我々にとっても、そしてここの天候にとっても理想的な状況だ」とハリド王子は指摘した。


「売上の面でも、ここサウジアラビアではシーズンの初めの方がよい状況になる。人々の興奮もより高まる。どこかのチームが圧倒的に優勢なことは、チャンピオンシップの助けにはならないが、今年と来年には状況が変わることを期待している」


 それがチームの買収であれ、カレンダーの枠の変更であれ、ひとつはっきりしていることは、サウジアラビアがF1カレンダーの単なる一戦から、将来このスポーツの中心的存在へ変わることを決意していることだ。



2024年F1第2戦サウジアラビアGP フィニッシュ時の花火

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