もてぎ本命の山下健太、大駅エンジニア効果でついに“裏切り”から脱却か/SF第3・4戦金曜
2025年4月18日(金)20時6分 AUTOSPORT web

モビリティリゾートもてぎで開幕した2025全日本スーパーフォーミュラ選手権の第3戦&第4戦。今回も2レース開催ということで、金曜日に2回のフリー走行セッションが行われ、午前中のFP1は阪口晴南(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)、午後のFP2では山下健太(KONDO RACING)がそれぞれトップタイムを記録した。
ただ、全体的にタイムが接近しており、FP2ではトップ15台が1秒以内にひしめく接戦状態に。毎年もてぎは僅差の戦いとなるため、他のサーキットと比べても0.1秒が大きな差となることもある。
その中で、午後のセッションで2番手以下に0.126秒の差をつけた山下健太(KONDO RACING)は今週末の2連戦に向けて自信を持っている様子だった。
昨年、ここもてぎでポールポジションを獲得し決勝でもトップ争いを展開。最終的に2位でフィニッシュした。その実績も踏まえたセットアップや新しいものを試すなどし、2セッション合計で38周を走破した。
「これまでの流れから、もてぎで速いセットいうのは見えています。今年タイヤ(のスペック)が変わりましたけど、その中でも速かったなという感じでした」と山下。昨年のもてぎ大会で課題となった決勝ペースの改善を重点的に取り組んだという。
「昨年、予選は良かったですけど決勝がダメだったので、そこを重点的にやって、ロングも長めにいきました。昨年に比べるとかなり良いというか、あまりデグラデーションが起きなかったし、(太田)格之進の後ろについてロングをやりましたけど、あまりタレなかったので、良さそうですね」と手応えをつかんでいる様子。
なかでも今年は大駅俊臣エンジニアに変わったことで、決勝に向けた新しいトライにも積極的に取り組んだとのこと。山下の表情をみると、その効果は抜群のようだ。
「(大駅エンジニアが)昨年インパルにいた時も決勝は強かったので、その大駅さんの考えとかセットをいろいろ試しながら、予選用・決勝用で切り分けて考えているので、大駅さんが入ってくれた効果もあってデグが少ない感じで走れているのかなと。大駅さんが入ってくれたことが大きいです」と山下。
ここ数年はテストで調子が良くても、本番でうまく噛み合わず「いつも裏切られる」「もう手応えが良くても信じない」と語っていた彼が、今週末に関しては「もてぎが自分にとっては一番チャンスなのかなと思っています。今日も走り始めからどんなコンディションでも速いので、久しぶりに勝てれば良いなと思っています」と、珍しく週末に向けて自信あふれるコメントを残した。
■疑心暗鬼のライバル勢。牧野は山下を警戒
これに対し、ライバル陣営の今週末に向けた手応えは“人それぞれ”だった。その中でもFP1はロングラン中心のメニューで7番手となり、午後のFP2では2番手タイムを記録した牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)は、山下の速さを警戒していた。
「やっぱり、もてぎはKONDO RACINGが速いなと思いました。特にヤマケンは昨年ここでポールを獲っていますし、レースでもトップ争いをしていたので、そう言った意味では安定して速いなという印象があります」
「(自身の手応えは)昨年とは少し印象は違うなと思っていて、それがタイヤの影響なのか……ちょっと一概に判断するのは難しいですけど、ラップタイムを見ていると悪いところにはいないと思います。ただ、フタを開けてみないと分からないです」
予選の勢力図もそうだが、やはり気になるのは今年の新スペックタイヤが、路面温度と気温が高めなもてぎでどうなるのかというところ。何人かのドライバーは「デグラデーションが少なくなった」という印象を持っているなか、牧野は「決勝はけっこうタイヤが落ちるんじゃないのかなと思っています」と語る。
「個人的にはもてぎでフォーミュラをやると、すごく動きがあるサーキットだと思っています。今日は自分もそうでしたけど周りを見てもロングでタイヤが落ちている気がしたので、多分明日も動きがあるレースになると思います」
また、FP1でトップタイムだった阪口は「今回は鈴鹿大会での反省を踏まえて(セットを)持ち込んできました。印象としては鈴鹿よりも良いなと思いますし、逆に午後は良い状態で走ることはできなかったですけど、それでもシングルにいるということは、ベースが鈴鹿よりも上がっているのかなと思います」と1日を振り返った。
ただ、トップを狙うという点では改善が必要なようで「でも、目指しているのはポールポジションなので、そこに向けて考えると午前中の状態でもまだ足りないなと思っています」と、やや険しい表情をみせていた。
FP2で3番手だった佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)も常に上位タイムを記録していた印象だが「まだみんな隠している部分はありそうだなというところはあって、ポジションこそ3番手ですけど、タイム差はほとんどないですし、予選はワンミスで順位が大きく変わると思うので、集中していきたいです」と気を引き締めていた。
この金曜日を経て、明日の第3戦、明後日の第4戦がどのような展開になっていくのか。見どころの多い週末となりそうだ。