“競争の原理”導入は「気にしないようにしている」TGMGP小高一斗。欧州での新たな挑戦はハイレベル

2025年4月18日(金)20時27分 AUTOSPORT web


 全日本スーパーフォーミュラ選手権への参戦4年目を迎えている小高一斗。昨年までのKONDO RACINGから今季は新体制チームであるKDDI TGMGP TGR-DCへと移籍し、心機一転“勝負の年”を迎えている。


 KDDI TGMGP TGR-DCには小高のチームメイトとして平良響、そしてリザーブドライバーとして野中誠太(今週末の第3・4戦もてぎは小林可夢偉の代役としてKids com Team KCMGから出場)が控えているが、内容次第ではシーズン中にドライバーを入れ替える方針であることを、チームは明らかにしているからだ。


 そんな状況のなか、小高は今年新たなチャレンジとして、GTワールドチャレンジ・ヨーロッパのエンデュランス・カップにも参戦を開始した。スーパーフォーミュラでの自身の置かれた立場、そして新たな欧州でのプログラムを、どう捉えているのだろうか。4月18日、スーパーフォーミュラ第3・4戦前のプラクティスを終えた小高に聞いた。


■自ら希望した海外でのGT3レース挑戦



 この日の小高は、午前中のFP1で13番手、午後のFP2では16番手を記録。いずれもチームメイトの平良を上回るポジションではあるが、小高の表情は決して明るくはない。


「セットだったり、ドライビングだったりでまとめきれていない部分もあり、FP2の最後のニュータイヤ(でのアタック)もまとまりきらなかった。そこをまとめきれていれば……という感じですが、本当にQ1を通るか通らないか、ギリギリのところには入れていると思います。でも、まだそのレベルではあるので、余裕はありません」


 シーズン後半に向けて、チーム方針である「シート入れ替え」の可能性について聞くと、「もうその方針が決まった以上、なるようにしかならないので……」と小高。


「ある意味、気は引き締まるかなとは思うのですが、逆に(結果を気にしすぎて)集中力が欠けることにもなってしまうかなと思うので、僕はあまり気にしないようにしています」



小高一斗(KDDI TGMGP TGR-DC)/2025スーパーフォーミュラ第3戦&第4戦もてぎ

 そんな状況で始まったGTワールドチャレンジ・ヨーロッパへの挑戦は、自らがトヨタに対して希望したことだった。現在開発が進められているトヨタ/レクサスの次期型GT3車両の話が出てきた数年前には、「そういう道があるのなら、挑戦してみたい」という意向をトヨタに伝えていたそうだ。


 スパ24時間を含むGTワールドチャレンジ・ヨーロッパのエンデュランス・カップは、GT3マシンのみを使ったレースとしてはひとつの頂点。小高はノルディック・レーシングのメルセデスAMG GT3 Evoを中山雄一、エドアルド・リベラティとともにドライブして参戦する。


 先週、南仏ポール・リカールで開催された開幕戦の6時間レースでデビューを飾った小高は、レースの“レベルの高さ”に驚いたという。


「レベルはめちゃくちゃ高いですね、本当に。僕らは今回、クルマのハード面でちょっと遅い部分があってレースには加われなかったのですが、3人のドライバーのニュータイヤの平均ラップで決まる予選もすごくレベルが高くてタイム差もものすごく少ないですし、台数が多いのでコンマ1秒、コンマ3秒遅いだけでも大きく順位が落ちてしまいます。今回は(トラブルもあって)予選は50何位とかでしたが、逆にいうとコンマ何秒かでも上げたら、ポジションが10とか20は上がるという、そんな世界ですね」



ノルディック・レーシングの611号車メルセデスAMG GT3エボ(エドアルド・リベラティ/中山雄一/小高一斗)

 GTWCヨーロッパはエントリー台数も多い(開幕戦は59台)ことから、サーキットによってはピットガレージの数に制約もあり、新参チームであるノルディック・レーシングが今季何戦に出られるかは不透明な状態ではあるものの、小高は「今後も数レースは」出場予定だという。


「今年はチャンピオンシップを獲りに行くというよりは、今後に向けてコースやレースオペレーションに慣れたり、向こうのチームのやり方の勉強をしに行っている感じです」と長期的な欧州でのGT耐久レース活動も視野に入れた取り組みであることを、小高は示唆している。


 ちなみに小高は、ポール・リカールを走るのは先週のレースウイークが初。「予選までに10周くらいしか練習できなかった」というが、この先もこういった“貴重な経験”を積み重ねていくことになりそうだ。


 なお、小高は今年、スーパーGTでトヨタのGT500全体のリザーブドライバーという役目も務めている。ポール・リカール戦はスーパーGTの開幕戦岡山とバッティングしていたが、「海外で走る(レースする)チャンスがあるなら、走りたいです」と小高は自らの希望を伝え、GTワールドチャレンジ参戦を優先する形となったそうだ。


 GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ/エンデュランス・カップの今後の開催予定は、モンツァ、スパ(24時間)、ニュルブルクリンク、バルセロナという4イベント。前述のとおり、小高がどこまでエントリーするかは現時点では不明だが、もしGT3耐久レースの最高峰であるスパ24時間レースへも出場することになれば、大きな経験となるに違いない。



小高一斗(KDDI TGMGP TGR-DC)/2025スーパーフォーミュラ第3戦&第4戦もてぎ

AUTOSPORT web

「欧州」をもっと詳しく

「欧州」のニュース

「欧州」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ