涌井秀章の元女房役が横浜高の監督に。「練習で泣け、試合で笑え」

4月17日(金)17時0分 Sportiva

 昨年9月、当時の指導者たちによる部員への暴言・暴力行為が発覚し、監督、部長が解任。それ以来、空席となっていた名門・横浜高校の新監督に、元神奈川県立白山高校の教員監督で、横浜高OBの村田浩明氏(33歳)が就任した。4月1日の会見で、村田監督はこう決意を述べた。
「18年前、横浜高校の門を叩いた時に、夢と希望、そして不安を感じたことなどが蘇ってきます。歴史と伝統のある学校で、母校のために頑張るつもりです。監督不在のなかで高山大輝コーチらがチームを支えてきた。それを引き継ぐかたちで、この夏にかける思いは強いです。なんとか3年生が甲子園に行って、そこで横浜高校のいい思い出をつくれるようにしたい」

横浜高の新監督に就任した村田浩明氏
 現役時代の村田監督は、強肩と鉄壁の守りで1年秋から横浜高の正捕手として活躍。2年春のセンバツでは成瀬善久(元ロッテなど)、涌井秀章(楽天)とバッテリーを組み準優勝。3年夏は主将として甲子園出場を果たしベスト8に進出するも、準々決勝で駒大苫小牧(南北海道)に敗れた。
 村田監督が指導者の道を志したのには、当然のことながら理由がある。
 駒大苫小牧に敗れたあと、応援席にあいさつを終えてベンチに戻ると、渡辺元智監督(当時)から突然、こう声をかけられた。
「いつかここに戻ってこられたらいいなぁ」
 その瞬間は「えっ」と思わず言葉を飲み込んだが、そのひと言がいつまでも頭から離れず、本格的に指導者の道を目指すことになった。

 高校卒業後は日体大に進学したが、ケガのため現役は断念。それでも指導者の思いは断ち切れず、渡辺監督に相談すると、「横高のグラウンドに来て勉強しろ」とアドバイスを受け、学業のかたわら、コーチングを学んだ。
 また、神奈川大附属高校にも足を運び、そこで指導者としての喜びを経験した。これまで勝ったことないチームが初めて勝利を手にしたのだ。その時の選手たちの喜ぶ顔を見て、「弱いチームを強くしたい」と考えるようになった。
 猛勉強の末、神奈川県教員試験に合格。大学卒業後、「公立校で勝負したい」と、県立霧が丘高校の野球部長を4年間務め、2013年秋から白山高校の監督に就任した。
 荒地に近いグラウンドを、横高や日体大時代の仲間の手を借りて整備。打撃ケージ、マウンド、照明なども手づくりで完成させた。野球用具も知り合いを通じてスピーディーに準備。公立校としては十分すぎるほどの環境ができあがった。
 練習は厳しく取り組んだが、やんちゃな選手たちには丁寧に時間をかけてコニュニケーションを図った。
 就任時は1、2回戦で簡単に負けるチームだったが、徐々に力をつけていった。2017年秋、2018年春は県大会で16強。2018年夏の北神奈川大会では初の8強入りを果たし、「公立に白山あり」と私学の強豪校からもマークされる存在になった。

「公立とか私学とか、分けて考えてはダメ。チームがしっかりすれば、いい選手も来てくれるし、強くなってくる。選手には『練習で泣け、試合で笑え』と。そこから上位進出が見えてくるし、甲子園も近づいてきます」
 そう語る村田監督だが、これまでと違い、今度は追われる立場になる。そこで村田監督にいくつか質問してみた。
── 横浜高の監督の打診を受けた時の心境は?
「ちょうど母校が男女共学になる新生・横浜高の記念すべき年。大役の重さに正直悩みました。大学時代に2年間コーチをさせてもらった時、高山コーチはまだ選手でした。その彼が頑張っていることも聞いていましたし、母校が窮地に追い込まれているので、なんとか力になれればと思いました。人生が大きく変わる瞬間でしたが、人生一度しかないので挑戦することにしました」
── 指導者として選手を育てるのに必要なことは?
「主役は選手たちです。私は横高で人生を変えてもらった。今があるのは横高のおかげ。数多くある学校のなかから、横高を選んだ子どもたちの人生がかかっています。責任重大ですが、向き合えば子どもたちはやってくれる。昔と比べて選手を教えるのは難しい時代になっていますが、しっかり向き合って勉強すれば、いい指導を見出せると思います」

── 公立と私学の野球の違いとは?
「勢いだけでは試合に勝てません。横高で教わったのは自然体野球。つまり、シンプルに試合に入って、いかに普段どおりの野球ができるか、ということです。白山でもそれは同じ。公立でも私学でもやることは同じです」
── 目指す野球は?
「とにかく選手一人ひとりと向き合う。夏まで時間は少ないですが、そのなかでどれだけ濃くできるか。そうすれば結果はついてくると思います」
 退路を断って身を投じた母校・横浜高で、村田新監督はどんな手腕を見せてくれるのだろうか。名門校として負けられないプレッシャーがのしかかり、周囲の期待も半端ないはず。だが、村田監督が自然体でいる限り、甲子園で大輪の花を咲かせる日はそう遠くないはずだ。
※現在、チーム全体の活動は休止中。部員は自宅などで個人練習をしている

Sportiva

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