再びの同門対決は鮮やかオーバーテイクで牧野任祐に軍配。フラガは3戦目で表彰台獲得【第3戦決勝レポート】
2025年4月19日(土)18時53分 AUTOSPORT web

4月19日、2025年の全日本スーパーフォーミュラ選手権第3戦決勝が栃木県のモビリティリゾートもてぎで行われ、ポールシッターの牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が勝利。昨年8月のもてぎ戦を思い起こさせる太田格之進とのチームメイト対決を制し、鈴鹿サーキットでの第2戦に続き連勝を飾った。
2位はアンダーカットを成功させて一度はトップに立った太田で、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGがワン・ツー・フィニッシュ。3位にはルーキーのイゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)が入り、参戦3レース目にして初表彰台を獲得した。
■1周目からセーフティカーが導入
4月とは思えない暑さとなった決勝レースのスターティンググリッド。気温30度、路面温度は41度とこの日1番の暑さを記録するなか、33周の決勝レースがスタートした。
フロントロウ右側の太田がやや蹴り出しが鈍った一方、3番グリッドのフラガが抜群のスタートを決めてオーバーテイク。そのままポールシッターの牧野にも襲い掛かったが、牧野は1コーナーで巧みにブロックしポジションを死守した。
その後方では5番グリッドのサッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOM’S)が失速し、9番手の佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)が横をすり抜けていく。さらに阪口晴南、大湯都史樹のSANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING勢もポジションアップ。しかし1コーナーをクリアしてくところで大湯がやや外側にはらみ、佐藤と接触してしまう。佐藤はコースオフ、グラベルにストップしそのままリタイアとなった。大湯はスローダウンしながらも走行を続けたが、5コーナー手前でストップし、こちらもレースを終えることになった。
このアクシデントにより、レースはオープニングラップからセーフティカー(SC)が導入される。車両回収を終えて、4周目に入るところでリスタート。牧野を先頭に、フラガ、太田、1周目に順位を上げていた岩佐歩夢(TEAM MUGEN)、山下健太(KONDO RACING)、福住仁嶺(Kids com Team KCMG)という順で1コーナーを抜けていく。
牧野はフラガに対しじわじわとギャップを拡げ、タイヤ交換が可能となる10周終了時点でその差は2秒に。
ピットウインドウが開くと、3番手の太田を筆頭に山下、野尻智紀(TEAM MUGEN)、大嶋和也(docomo business ROOKIE)、小高一斗(KDDI TGMGP TGR-DC)、小出峻(San-Ei Gen with B-Max)、Juju(HAZAMA ANDO Triple Tree Racing)がピットイン。それぞれタイヤ交換を済ませてコースへと戻っていくが、野尻はピットアウトの際に後方から来た山下のピットロード通過を待たなければならずややタイムロスとなった。
翌周には福住、阪口、ザック・オサリバン(KONDO RACING)、フェネストラズ、高星明誠(ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL)、三宅淳詞(ThreeBond Racing)がピットインし、“裏1位”の太田は暫定8番手に浮上。12周終了の時点で先頭を行く牧野との差は28秒あったが、牧野よりも速いペースで周回し少しずつその差を削っていった。
■4番手岩佐に無念のトラブル
太田は15周目、まだタイヤ交換を終えていない小林利徠斗(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)を5コーナーでとらえて見た目上でもポジションアップ。この好ペースを見てか、牧野に対し1.6秒ビハインドで追いかけていたフラガが18周目に入るところでタイヤ交換へ。太田の前でコース復帰すべくメカニックもミスなく作業を行ってコースへと送り出すが、太田は前方を走る平良響(KDDI TGMGP TGR-DC)にやや引っかかったものの、フラガより前で1コーナーへと侵入し、アンダーカットに成功した。
フラガのピットイン翌周、トップを走る牧野がルーティン作業へ。タイヤ交換を済ませた牧野はコースへ復帰すると、太田とほぼ同時に1コーナーへ入っていったが、ハードブレーキでやや挙動を乱してしまう。太田は牧野に対してもアンダーカットを成功させ、これで実質のトップに躍り出た。
最後まで前半スティントを伸ばしていた坪井が20周を終えるところでピットロードへと舵を切り、これで見た目上でもトップに立った太田。しかし、約8周分タイヤがフレッシュな牧野がペースアップして太田に詰め寄っていった。
21周目、ふたりにとっては因縁ともいえるダウンヒルストレートで牧野は太田に勝負を仕掛けるが、ここでは太田がけん制。牧野はオーバーテイクシステムを使ってさらにペースアップし、22周目に入るストレートで並びかけると、1〜2コーナーで前に出ることに成功する。
これで再びトップに返り咲いた牧野は、残り10周も太田より速いラップタイムで周回。最終的に2.6秒のギャップを築いてトップチェッカーを受け、前戦鈴鹿に続くシーズン2勝目を飾った。
2位にはそのまま太田が入り、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGがワン・ツー・フィニッシュ。3位はフラガで、SFデビューから3戦目で嬉しい初表彰台獲得となった。
フラガの後ろ、4番手には終盤まで岩佐が付けていたが、28周目に突如スロー走行に転じる。シフト関連のトラブルで、V字コーナーの手前でコースサイドに車両を止め、悔しいリタイアとなった。
これにより、4番手に上がったのは坪井。終盤のフレッシュタイヤでのプッシュが奏功し、予選12番手から大きくポジションを上げての入賞となった。シリーズランキングでは、2勝目を挙げた牧野がリタイアした岩佐を上回り、トップに浮上した。
4月20日(日)は、第4戦の予選・決勝が、同じくモビリティリゾートもてぎで行われる。