「頭のキャパをオーバー」「期待した俺が甘かった」「ダーティエアでロック」【SF第3戦Mix Voices】
2025年4月19日(土)20時56分 AUTOSPORT web

4月19日、栃木県のモビリティリゾートもてぎで2025年全日本スーパーフォーミュラ選手権の第3戦が行われ、ポールポジションからスタートした牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が、ピットストップ後に一度はチームメイトの太田格之進に首位を奪われながらも、逆転で勝利を挙げた。
レース後にトップ3を除く全ドライバーが参加して行われる“メディアミックスゾーン”から、第3戦の予選・決勝に関するコメントを中心にお届けする。
■小林利徠斗(ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL) 予選15番手/決勝16位
オリバー・ラスムッセンが開幕鈴鹿ラウンドでケガを負ったことから、代役としてTEAM IMPULの19号車のドライバーに抜擢された小林。15番手からスタートしたSFデビューレースは、望んだ蹴り出しとはならなかったようだ。
スタート直後に小林は最後尾までダウンしてしまっていたが、その理由は「アンチストールに入ってしまった」ことだった。
「クラッチミートや蹴り出しは良かったのですが、前のクルマがストール気味だったように見えて、『あっ』と思って避けようとしたら、そのタイミングで頭のキャパをオーバーしてしまいました」
「そこで、自分がアクセルを抜いたのか、クラッチを離しすぎたのか、何かをしたことでアンチストールに入ってしまいました」
こうして、スタート直後に隊列の最後尾となった小林だが、前で接触が起きたことからレースはセーフティカーが導入され、遅れを取り戻す展開に。そこからは、前のマシンを次々とかわすオーバーテイクショーを見せた。
その場面について聞くと小林は、「なんと言いますか、『マッチポンプ』です。元々は、スタートで最下位になってしまっただけなので」とコメント。
「接近戦の練習にはなりましたが、あのバトル自体は微妙なところです」と、不本意な展開を反省している様子で振り返った。
レース後には、チームのサインガードで星野一樹監督から声をかけられているシーンも見られたが、『レース中のペースは悪くなかった』と評価をもらったとのことで、小林のデビューレースは、スタートに苦戦しつつも第4戦に向けた希望も感じられる一戦となった。
■山下健太(KONDO RACING) 予選4番手/決勝7位
「グダグダでした。ロングランの再現性はまったくなくて、もうズルズルで……やっぱり甘かったなと思います」
金曜日のフリープラクティス2回目でトップタイムを奪い、課題としているロングランに向けてもたしかな手応えを語っていた山下。しかし決勝の内容は予想とはまったく異なるものになってしまい、うなだれた様子でミックスゾーンに姿を現した。
「環境的には昨日よりも今日の方がクリアな状態で走っていたのに、まったく昨日の感じがなくなってしまったのは、『スーパーフォーミュラだなぁ』って感じ。期待した俺がダメでした。甘かった」
「正直、簡単に直せるような状態ではないです。予選に関してはおそらくそれなりにいけると思っているのですが、決勝がもうひどいので、(日曜の第4戦は)結果というよりは、今後に向けたテスト的な意味で走らないと。優勝を狙える感じはまったくしないです」
山下はスタートして2〜3周ほどで、厳しい戦いを自覚したという。
「もう無理だなと思いました。『タレていくだろうな』と。グリップ自体がなく、どちらかというとリヤがもう死んだので……。しかもその予想以上にタレてしまったし、坪井(翔)くんの速さを見て、『同じクラスなのか!?』と感じました」
金曜FP2でのトップタイムにたしかな手応えが加わっていたことで、週末に期待を抱いていた山下の第3戦は、不本意な結末となってしまった。
■佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING) 予選9番手/決勝リタイア
前日の2回のフリープラクティスをいずれもトップ5で終えていた佐藤。僅差となった予選Q2では、9番手となった。
「ポテンシャルは悪くないところにはいたのですが、Q2に向けてのアジャストで失敗してしまい、伸び悩んでしまいました。タイム差は小さいので、本当にちょっとしたところで(順位は)変わると思うので、明日トップを目指すのであれば、もっと大きく変えていかなければいけません」
決勝では好スタートを決めるも、1コーナーでイン側の大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)から追突を受ける形となり、リタイアを喫してしまう。
「レコノサンスの時点ではちょっと不調だったのですが、そこから合わせ込んで、決勝でのスタートはうまく決まりました。6番手ぐらいまで上げることができたのですが、ちょっと不慮の事故があって。インを閉めたわけでもなく、むしろ外側からまくろうとしたら何か飛んできたので……まぁ不運と言えば不運かもしれませんが、予選で前に行けなかったことからつながっていると思うので、ちょっと反省して、明日頑張りたいと思います」
そんななかでもチームメイトのイゴール・オオムラ・フラガは3位表彰台と、チームとしては結果を出せた部分はあり、そこは第4戦の佐藤にとってはプラスに働く可能性もゼロではなさそうだ。
「イゴール選手がいいペースで走ってくれていたので、ある程度参考にできる部分はありつつも、方向性は少し違うセットアップなので……自分のセットが(ロングランで)どう出るか見られなかったのは、ちょっと残念ですね」
■大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING) 予選11番手/決勝リタイア
その大湯は11番手から決勝をスタートさせていた。5番グリッドのサッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOM’S)が出遅れた影響で後続がやや密集するなかで起きたアクシデントだったという。
「どうすれば良かったのかは非常に難しいところで……引けば良かったといえば良かったんですけど、阪口 (晴南)選手と佐藤選手と3ワイドになっているなかで、状況的には前にいた野尻(智紀)さんのダーティエアのなかに入っちゃった僕が、ちょっとブレーキをロックさせて、佐藤選手にぶつかってしまった形です。佐藤選手には申し訳ないです」
この接触により、大湯には訓戒が与えられている。
「スタート直後に、もうちょっと右に寄せてイン側のクリーンエアを獲りにいきたかったんですが、寄せ切れるほどは晴南の前に出られていなかったし、一応チームメイトですし(苦笑)。もうちょっとスタートが良ければ晴南の前にしっかり出られて、もうちょっと(佐藤の)内側にちゃんと横並びの状態で入っていけたと思うのですが、それがかなわず……」
また、もうひとつの背景として、今週末はタイヤのウォームアップが比較的良かったことが挙げられるという。大湯としては、フォーメーションラップではタイヤよりもブレーキの熱入れに意識を向けていたというが、いざスタートしてみるとタイヤのウォームアップがやや足りない状況となっていたそうだ。ただ、タイヤをきちんと温められていたとしても、「あの状況ではブレーキロックはしていたと思います」と大湯。
「自分が引くというのはひとつあったと思うのですが、とくにあの中団の位置はあまり引きすぎてもその後のレースに影響してしまうので」とさまざまな要素が背景にあるなかでのブレーキロック、そして接触に、悩ましい表情を浮かべていた。