年間9戦目指すWEC、2024年からカレンダー大シャッフル? 追加候補は3サーキット

2023年4月20日(木)12時21分 AUTOSPORT web

 WEC世界耐久選手権は2025年シーズンまでに、年間9戦へとイベント数を拡大していく意向を明らかにしているが、追加されるサーキットの候補として、ブラジルのインテルラゴス、イギリスのシルバーストン、アメリカのサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)が浮上している。


 フランスの『Auto Hebdo』は先週、ポルティマオに代わってインテルラゴスが2024年からカレンダーに復帰すると報じており、合わせて今季まで行われたフロリダ州のセブリング・インターナショナル・レースウェイに代わり、テキサス州のCOTAがアメリカ合衆国における開催地として有力だとしている。


 一方、WECのフレデリック・ルキアンCEOは、2025年の9戦目としてシルバーストンへの復帰を目指し、現在も話し合いを続けていることを明らかにした。


 インテルラゴスとシルバーストンはともに2012年に始まった現行WECのカレンダーに含まれており、サンパウロ6時間レースは2014年まで、シルバーストンは2019/20シーズンまで開催されていた。


 インテルラゴスは2019/20シーズンのWECに復帰する予定だったが、COTAでのイベントに取って代わられていた。

ブラジルのサンパウロ、インテルラゴスで行われた2014年の6時間レース


 シリーズは2021、2022年と新型コロナウイルスの影響も受け、年間6ラウンドへと縮小されていたが、2023年のカレンダーでは7レースにまで開催数を戻してきている。


 2024年のカレンダーをめぐる最近の報道について、ルキアンは記者団に次のように語った。


「本当に噂に過ぎない。我々は現在、世界中のいくつかの国や異なるトラックと交渉し、議論しているところだ」


「我々は、ル・マン24時間レースで(2024年の)カレンダーを発表する予定だ」


 すでに2024年シーズンはカタールのロサイル国際サーキットで開幕することが発表されているが、これについてルキアンは3月上旬の日程となることを認めている。このため、既報のとおり3月中旬にIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権と併催の“スーパーセブリング”をフロリダで行うことは不可能と考えられる。


 また、ロサイルとの6年契約には、今季までセブリングで行われていた開幕前公式テスト“プロローグ”の開催も含まれている。


 これらの結果、2024年のカレンダーではCOTAとインテルラゴスのレースがル・マン後に開催され、現在7月に位置しているイタリアでのモンツァ6時間レースは春の開催へと移動することが濃厚だ。

2024年のWEC開幕戦開催が決まったカタールのロサイル・インターナショナル・サーキット
テキサス州オースティンに位置するCOTAで2020年2月に開催されたWECの様子


■シルバーストンはWEC開催を熱望


 2024年は今季から1戦増の8ラウンド開催となりそうだが、2025年には9番目のイベントとしてシルバーストーンへの復帰が予定されているようだ。


 WECはイギリスの有名なサーキットと真剣な話し合いを行ったのかと尋ねられたルキアンは「イエス、そのとおりだ」と答え、現在も協議が続いていることを認めた。


 シルバーストンのマネージングディレクターであるスチュアート・プリングルは、昨年のバーレーン8時間レースと今年3月のセブリング1000マイルレースの両方に姿を見せている。


「我々はシルバーストンでのWEC開催を熱望しており、将来的にWECが戻ってくることについては前向きなままだ」とプリングルは語った。


「我々は彼らとしばらく話し合ってきたが、合意に達し、WECカレンダーにシルバーストーンでのレースを可能にするスペースがあることを願っているよ」


「F1イギリスGPは、夏の最もホットなスポーツイベントで、チケットの売れ行きは過去最高を記録し、ローンチ・パーティーや一流音楽アーティストを含むフェスティバルスタイルの週末は、ファンの間で人気があることが証明されている」


「WECがスリリングなスポーツカー耐久レースを提供し、情熱的な英国のファンがホームレースを望んでいることを我々は知っている。そのため、WECが間もなくシルバーストーンに戻ってきて、週末が独自の特徴的なスポーツ&エンターテインメント・イベントへ発展するのを見ることができることを願っている」

2019/20シーズン開幕戦として開催されたシルバーストン


 一方ルキアンは、重要なイギリス市場へのカムバックを実現するためには、さまざまな要素が絡んでくると語った。


「予算、場所の確保、カレンダーの時期、サーキットの利用可能性などが問題だ。F1がその時期にあるからね」とルキアンは言う。「ジグソーパズルのようなものだ。そう簡単ではない」。


 カタールのカレンダー入りは、財政的な観点から、間接的にシルバーストン復帰の可能性を高める要因になっていると考えられている。


「カタールとの契約は、モータースポーツの歴史となっているいくつかの目的地(サーキット)を維持するのに役立つ」とルキアンは語った。


「それは重要なことだと思う。私は政治的なことをやっているからそう言っているのではない」


「彼ら(カタール)が本当に我々を歓迎しようとしていることに注意してほしい。それが重要なのだ。そして、これはとても素敵なことだ。我々は何か大切なものを感じている。彼らは我々を迎え入れることについて、とてもモチベーションが高いのだ」


■急拡大へは慎重姿勢。「8〜9戦が限度」


 2025年にシルバーストンとの契約が成立すれば、LMP1ハイブリッド時代の最盛期に9大会が開催された2017年以来、最大となるイベント数を記録することになる。


 トップクラスのプロトタイプのエントリーが過去最多となったとはいえ、ルキアンは急成長しすぎることに対して注意を促している。


「チームの予算には注意が必要だ。これは、少し新しいことなんだ」


「毎月、さまざまな国やサーキットから、WECを歓迎したいという声が届いている。もし、すべての人にイエスと答えたら、12から14のラウンドを開催することになるだろう」


「私は、8〜9戦が限度だと思う。ロジスティクスの面では、航空便だけでなく、船便も維持したい。これは予算の関係上、重要なことだ」

2022年のWEC富士戦、富士スピードウェイのパドックに並べれらたWECのコンテナ群

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