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【試乗記】ベントレー・ベンテイガ、ベントレー史上もっともオーナーを選ぶクルマと言っても過言では無い:今井優杏

日本版Autoblog4月21日(金)16時0分
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 まるで冬場のインフルエンザがごとき猛威を振るい、破竹の勢いで全世界を席巻するSUV旋風は依然留まることを知らず(や、実はすでに欧州方面では次なるトレンドが生まれつつあると感じているのだけど、それはまた別の機会に!)、これまでそんなデカ・ボディはむしろdisる方向でクルマ作ってたやん!みたいなラグジュアリーカー・メーカーまでもが、じゃかすかセグメントに参入しているのは諸兄もご存知のところだと思う。

 導入に際し、中でも個人的に最もドギモ抜かれたのは、マセラティのレヴァンテと、そして、今回ご紹介するベントレー・ベンテイガである。

 だって"あの"ベントレーですよ。なにゆえのご乱心かと最初は我が目を疑ったものだけど、いざ実車を目の前にすればさらにその異形感に戦いてしまうこと間違い無しだ。

デカい。

とにかくデカい。

というか、分厚い。

圧倒的な質量感なのである。ナカミにミッチミチに空気の詰まったバランスボールがごとき押し出しで、迫力満点の超絶グラマラス・ボディなのだ。そんなつもりはなくてもつい口が勝手に「すげーなこりゃ」なんて、ひとりごちてしまうくらい。

 数値にすれば 5,150 × 1,995 × 1,755 。全幅 2 mですよ。もしかしたら日本一低い山、大阪の天保山よりも大きいかもしれない。・・・んなわけない。ごめんなさい、言い過ぎました。しかし、そんな笑えない冗談のひとつも飛ばしたくなるくらいに、その佇まいは古今未曽有。お値段 2,695万円。実はベントレーとしては、ハイエンドなわけではない。だけど、このボディサイズを維持するにはそれなりの土地と、そして同時に資本力が必要になることを思えば、ベントレー史上もっともオーナーを選ぶクルマと言ってもいいのかもしれない。ガレージに迎えることが叶ったオーナー諸氏には、きっと毎朝、マイ・ベンテイガを見るたびに所有が叶ったことへの満足感とともに、己の成功歴、自分史にめくるめく酔いしれる日々が訪れるんだろうな、うらやましいぜおい、といらん想像すら巡らせてしまう庶民な私を神様お許し下さい。なんのこっちゃ。

 さて、冗談はさておき(!)、これほどのサイズであるのにどこかクラシカルでノーブルな雰囲気を漂わせ、デザインとして大味なイメージを感じさせないあたりはさすがといった雰囲気。エンジンフード部分だけを盛り上げ、ベントレーといえば、の網目グリルまでもを巻き込んで中央にふくらみを持たせ、ライト周辺は少し高さを落としてあるあたりは、まるでクラシックなロンドンバスを思わせる手法だ。

 そして、その網目グリルこそ大間のマグロでも丸焼きするつもりですかと問いかけたくなる特大サイズではあるのだけど、繊細さを失わず破たんさせず、間延びもさせない絶妙の落としどころ。この辺でヒストリックカー的なノスタルジーを漂わせながら、ライトは最新のLEDをこれ見よがしにはめ込むことでキラキラ・少女漫画チックに仕上げ、先進感をミックスしている。このネオクラシックともいうべき手法は今、クルマづくりだけでなくモーターサイクル界においても各社が取り入れているもの。温故知新というよりは、全世界的に空前のクラシックカー&ヒストリックカーブームがキている、という流行の循環に因るものも大きいのではと推測している。

 さて、ライト周辺に話を戻せば、そのキラキラ☆LEDライトはともかくとして、外側の小さいほうはウインカーなのだが、このリングの真ん中に注目していただきたい。実はこれ、フラップ(蓋)になっていて、とあるスイッチを押せばぐいーんと前に突き出して来る仕組みになっている。

で、中から出てくるのがヘッドライトウォッシャー。日本においてはそうそう使用のタイミングはないと思われるのだけど、機構としてとてもユニークかつ、ハイテクなんだかアナログなんだかイマイチよくわからないところも独自路線を往く感じで面白い。

 さて、なにも流行の波に乗らなくたって、ネオクラシックな雰囲気づくりはもとよりベントレーの得意とするところだ。

その威力を最大限に揮(ふる)っているのがインテリア部分である。

 試乗車はご覧のようなツートンカラーのレザーと木目の美しいウッド、それからベントレーお馴染みのクロム装飾で作り込まれ、まるでクルーザーかオートクチュールかのごとき、なんともため息モノの世界観を繰り広げているのだが、さらによく見て欲しい。黒×ベージュと思われたこのレザーのコンビネーション、実はネイビーとベージュの組み合わせなのだ。オ、オシャレすぎる・・・!!

カラーデザインって実は、そのメーカーのトレンドのキャッチ力が一番に露呈する部分だと思っているのだけど、このバイカラーの組み合わせは完全にトレンドど真ん中だ。

 その心臓部、エンジンはフォルクスワーゲン製の4バンク式、ツインターボチャージドされた6リッターW型12気筒。すでに同社で使用実績のある熟成のエンジンだから新型車両だからとて不安はない。

しかし軽量化されているとはいえ2.5トンを越える重量だからどうなんだろう・・・と思っていたら、まあこの味付けの見事なこと!ベントレーらしい、と言うよりは、他のどのモデルにも寄せずに"ベンテイガ"というセグメントを自ら切り拓いているようなイメージだ。

 乗り出し始めの印象はとにかく優しく、言うなれば癒し系。そっと踏めばそっと踏んだなりの加速、すなわち踏力に対して至極素直なレスポンスで、ベンテイガは巨体をそろそろと進めはじめる。この超低速域の扱いやすさは本当に大切。だって、ちょっと駐車場からクルマを転がすだけで振り回されてしまうような急峻なトルク特性はドライバーに負担をかける。大きなクルマほどパーキングスピードの味付けにこだわるべきだと思うのだ。

 しかし、本当の感動はワインディングロードにこそ感じられた。そう、22インチというイカツいサイズのタイヤを備えながらにしてハンドル保持の必要すら必要ないんじゃないかと思わせるほどの直進安定性ももちろん素晴らしいのだが、何度も言うけどこの巨体で!ワインディング性能が超級なのだ。

 電子制御のサスペンションはとにかくアタリがやわらかく、かといってフラフラさせないコシのあるセッティング。これはデフォルトで設定されたノーマルモードでの感想だが(もちろん雪道やオフロードなど、走行モードは多彩に設定されていて、サスペンションもモードに応じて切り替わる)、さらに"コンフォート"までご丁寧に設定されているにも関わらず、ノーマルでも充分に贅沢な気分を味わわせてくれる。

 気を良くしてそのままワインディングに持ち込んだのだが、その印象はたとえ速度を上げたとしても、左右にステアリングを切り返すような九十九折りに差し掛かったとしても、そして「コレはさすがに無理やろ」的オーバースピードでコーナーに差し掛かっても、ドライブが破たんするという事象が全く!ぜんっぜん!起こりゃしないのだ。つまり、いかなる走行シーンでも、キャビンが完全にフラットに保たれるのである。

 あらゆるショックは、サスペンションと堅牢なボディ剛性がパーフェクトに受け止め、ドライバーをしゃかりきにさせることを許さない。気を引き締めていなければ、運転している本人こそがあまりのコーナリングスピードに驚かされること請け合いである。

 さらに、一般道ではもはや底を知ることが不可能だと思われるW12エンジンの頼り甲斐、懐の深さは、登坂シーンにおいてその片鱗を窺い知ることが出来る。あまりにコンフォートなアシに気分がスポイルされてしまい、うっかりアクセルペダルを強めに踏み込んだりした暁には、身体ごとシートに壁ドンされたかと思うくらいの衝撃トルクパンチが飛んで来るくらいだから、どんな坂道だって鼻歌半分で駆け上がれてしまうのだ。

 さらに普段は完璧に保たれた高い気密性と完璧な静粛性は、このアクセルの踏み込みのみで破ることが出来る。ロードノイズなどの不快な異音は完璧にシャットアウトされているのに、ドライバーの"走り心"に呼応するかのようにW12のエンジンサウンドだけが静粛を打ち破るのだ。その介入の気持ちよいこと!

 ただし、加速に対してブレーキはややルーズ。もちろん一般道でのスピードで不安に感じることは微塵もないが、下り坂などではやや早めのブレーキを心がけることをお勧めしたい。なんたって2.5トン、そりゃまあ、そうだよなと納得させるに充分な重量だし。

 とにかくベンテイガ、いやはや本当にすごく素敵だった。降りた瞬間、夢から覚めたような気分になってしまったくらい。カボチャの馬車、なんていうよりは、カボチャの馬車のドア開けたらそこで舞踏会もやってました、みたいなエンタテイメント力。ラグジュアリーはかくありき、のお手本のようなクルマであった。うっとり。

【ギャラリー】BENTLEY BENTAYGA70
■ベントレーモーターズ 公式サイト
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データ提供元:アニメキャラクター事典「キャラペディア