BMWがハイパーカー2度目、20号車初の表彰台に喜び。LMGT3でもロッシ組が2位でダブルポディウム
2025年4月21日(月)14時52分 AUTOSPORT web

4月20日にイタリアのイモラ・サーキットで開催された2025年WEC世界耐久選手権第2戦『イモラ6時間レース』で、BMWは20号車BMW MハイブリッドV8が2位に入り、今季初の表彰台を獲得した。LMGT3クラスでは46号車BMW M4が2位になったことで、BMWはWECイモラでダブルポディウムを獲得している。
ハイパーカークラスの13番手からレースをスタートしたレネ・ラスト/ロビン・フラインス/シェルドン・ファン・デル・リンデ組の20号車BMW MハイブリッドV8は、タイトなイモラ・サーキットで順位を上げていたが、他車と接触したことでリヤウイングにダメージを負った。
この影響で20号車BMWはピットストップでリヤセクションを交換する必要があったものの、BMW MチームWRTのクルーは作業を迅速にこなし、タイムロスを最小限に抑える。しかし、表彰台までの道のりは長く、チームはポジションを上げるために最後から2番目の給油ストップを短縮することを決定し、リードを奪う。
20号車BMWのアンカーを務めたファン・デル・リンデは予選なみのペースで周回を重ね、最後のピットストップまでに十分な時間を稼ぐことに成功し、ハイパーカークラスの2位でチェッカーフラッグを受けた。これは2024年からWECハイパーカークラスに参戦を開始したBMWにとって、昨年富士での15号車以来となる2度目の表彰台であり、20号車にとっては初のポディウムとなる。
僚友であるドリス・ファントール/ラファエル・マルチェッロ/ケビン・マグヌッセン組の15号車BMW MハイブリッドV8は、3番手からレースに臨み、フィニッシュ1時間まで順位をキープしたが、パフォーマンスの問題で後退し6位フィニッシュとなった。
LMGT3では、クラスポールポジションを獲得したアハマド・アル・ハーティ/バレンティーノ・ロッシ/ケルビン・ファン・デル・リンデ組の46号車BMW M4 LMGT3がトップを快走していたが、ロッシのドライブ中に21号車フェラーリ296 LMGT3と接触。ストップ&ゴーペナルティが科せられ一時後退を余儀なくされた。
しかし、最終スティントを担当したファン・デル・リンデが追い上げをみせ、次々と順位を上げていく。最終盤にはトップをいく92号車ポルシェ911 GT3 R LMGT3に迫るも、追い抜くまでは至らず、こちらも2位チェッカーとなった。これでBMWは、WECイモラの両クラスで表彰台を獲得する結果を残した。
■「この勢いで初優勝を目指す」「すべてがうまくいかなかった」BMW陣営のレース後コメント
アンドレアス・ルース(BMW Mモータースポーツ責任者)
「イモラでダブル表彰台を獲得したチームWRT、ドライバー、そしてBMW Mモータースポーツ関係者のみなさま、おめでとうございます!」
「20号車のクルーは素晴らしい仕事をし、ドライバーの完璧なパフォーマンスと完璧な戦略のおかげで、WECで(20号車にとって)初表彰台を獲得した。15号車は、好調な予選の後もすごく良かったが、残念ながらパフォーマンスを失ってしまった。この点については調査が必要だ」
「LMGT3クラスで46号車が表彰台を獲得したことも印象的だ。両クラスで表彰台を獲得し、マシンが全体的に力強いパフォーマンスを見せたことは、今後のレースに向けて自信を深めるものであり、この勢いで初優勝を目指していく」
ヴィンセント・フォッセ(BMW MチームWRT代表)
「ハイパーカークラスとLMGT3クラスの両方で2位を獲得し、素晴らしいレースウイークエンドとなった! だが、15号車はレース終盤にトラブルに見舞われ6位フィニッシュとなったため、原因を詳しく調査し、詳細を解明する」
「31号車にもさまざまなトラブルがあった。スタート時の12番手からレース中盤に2番手まで順位を上げていたにもかかわらず、大きく後退してしまったことは残念だ。46号車にとっても悔しい結果だ。彼らはレースの大部分をリードし、ペナルティがなければ優勝できるスピードを持っていたはずだ」
「いずれにせよ、WECでのダブル表彰台獲得は非常に大きな満足感をもたらした。次はホームレースであるスパ・フランコルシャンだ。そこで何ができるか楽しみだよ」
レネ・ラスト(20号車BMW MハイブリッドV8)
「素晴らしい結果だ。ついに表彰台を獲得することができた! 予選13番手から予想外の展開で、まさか表彰台に上がれるとは思っていなかった」
「決勝ではマシンとチームの実力を示し、ほとんどミスなく冷静さを保ち、素晴らしいパフォーマンスを発揮することができた。最終的には運も少しあったが、最近のレースは不運に見舞われてしまっていたので、今は祝うに値する」
ラファエル・マルチェッロ(15号車BMW MハイブリッドV8)
「20号車が表彰台に上がれたことを嬉しく思う。彼らは昨シーズンに多くの不運に見舞われていた。15号車としては、決して満足できるレースではなかった」
「順調に進んでいたが、レースが進むにつれてパフォーマンスが低下してしまい、今はなぜこのようなことが起こったのかを検証し、理解する必要がある。ドリス(・ファントール)がどれほど速いかは誰もが知っているはずだ。彼に交代したとき『今日は我々の日』だと思ったが、その後問題が発生してしまった」
バレンティーノ・ロッシ(46号車BMW M4 LMGT3)
「表彰台は良い結果だが、優勝できた可能性もあったから複雑な気持ちだ。チームは素晴らしい仕事を行い、マシンはすごく速くて、タイヤマネジメントもうまくいっていただけに、非常に残念だ」
「アハマド(・アル・ハーティ)と、特にケルビン(・ファン・デル・リンデ)は終盤で素晴らしい走りを見せてくれた。ケルビンは最後まで戦い抜いて表彰台を獲得した。残念ながら、僕はオーバーテイク中にミスを犯し、前を走っていたフェラーリに接触してしまい、ペナルティにより勝利を逃してしまった。申し訳ない気持ちでいっぱいだ」
アウグスト・ファーフス(31号車BMW M4 LMGT3)
「すべてがうまくいかないレースってあるよね。今回はまさにそんなレースのひとつだった。素晴らしいマシンと素晴らしいスピードを持っていたのに、それを活かすことができなかった」
「こんなに強力なパッケージが揃っているレースはそう簡単にないから、受け入れがたいことだ。ミスが多すぎたし、運も味方してくれなかったけど、チャンピオンシップはまだチャンスがある。次のレースに集中していくよ」