LMGT3優勝争いはタイヤ戦略が鍵に。新品で迫るBMWを無交換で抑えたポルシェ「ストレスが大きすぎた!」
2025年4月21日(月)12時33分 AUTOSPORT web

リヒャルト・リエツは、4月20日に行われた2025年WEC世界耐久選手権第2戦『イモラ6時間レース』で猛追してくるケルビン・ファン・デル・リンデを「ギリギリ」のダブルスティントタイヤ戦略で抑え、マンタイ・ファースト・フォームに今シーズン初優勝をもたらしたと語った。
リエツ、ライアン・ハードウィック、リカルド・ペーラというトリオでイモラ6時間レースに挑んだマンタイ・ファースト・フォームの92号車ポルシェ911 GT3 R LMGT3は、わずか0.316秒差のチェッカーとなった激戦のLMGT3クラスを制した。
2位フィニッシュの46号車BMW M4 LMGT3(チームWRT)が最終ピットストップで新品タイヤを投入した一方で、92号車ポルシェはリエツがドライブするレース終盤、タイヤを交換せずにダブルスティントで使用した。
新品タイヤのアドバンテージを活かしたファン・デル・リンデ駆る46号車BMWは、レース終盤にリエツの92号車ポルシェとのギャップを1周ごとに1秒以上も縮める速さをみせる。しかし、ファン・デル・リンデはフィニッシュまでにリエツを追い抜くことはできず、92号車ポルシェがクラス優勝を飾った。
レース後にリエツは「僕の年齢(42歳)には明らかにストレスが大きすぎたよ!」と冗談を交えながら語り、マンタイが選択したタイヤ戦略では、追撃してくるBMWに対して不利になる可能性があることを理解していたと明かす。
「正直、エンジニアからは『終盤は厳しくなるかもしれない』と無線で言われていた」とリエツ。
「でも、我々はリスクを取り、レース終盤までタイヤを交換せずに走り切る戦略を選んだ。終盤は路面温度が下がり、タイヤラバーも乗ってきていたから、比較的マシンサイズが小さい我々にとって、他チームよりもリスクが高かったかもしれない」
「それでも、結果としては“ちょうど良かった”わけで、レースを見ている人にとっては最高のショーになったと思う。ただ、ドライバーとエンジニアにとっては、かなりのプレッシャーだったけどね」

追う立場のファン・デル・リンデも、ポルシェに対してタイヤのアドバンテージを持っていることを認識しており、終盤はバトルが激しくなるだろうと予想していたと言う。
「彼らがタイヤを交換せずにダブルスティントしていることは知っていた。一方で、僕は4本とも新品タイヤを履いていたからね」とファン・デル・リンデはsportscar365に語った。
「チームからも『1周ごとに1秒縮めていけ、終盤にタイヤが活きてくる』と言われていて、そのシナリオどおりに準備していたんだ」
「もちろん、僕のタイヤは新品でチャンスはあったけど、イモラはオーバーテイクがもっとも難しいサーキットのひとつなんだ。さすがに最後の2周だけでは足りなかったね」
ファン・デル・リンデはリエツに迫ることはできたもののオーバーテイクを成功させることはできず、アクア・ミネラリでプジョー9X8にラップダウンされる場面もあり、わずかに差が開いてしまった。
「最後の2周が勝負だというのは分かっていた。でも、2周だけだと“どこで相手が苦しんでいるか”を見極めるには少し短すぎた。しかもハイパーカーもいたからね」
「正直なところ、プジョーのせいで少しギャップが開いてしまい、かなりのチャンスを逃してしまった。少し残念だったけど、パフォーマンスは良かったと思っている」
なお、46号車BMWはレース中盤にリバッツァふたつめでバレンティーノ・ロッシが21号車フェラーリ296 LMGT3(ビスタAFコルセ)のサイモン・マンに接触。ストップ&ゴーペナルティを受けてのトップ争いとなった。
ファン・デル・リンデは、そのことについて「8番手くらいから追い上げて、最後には優勝争いをすることができたのは本当にクールだった」と振り返った。
「もちろん、勝てるチャンスが十分にあったから悔しさもある。でも、本当に面白いレースだったし、ヴァレ(バレンティーノ・ロッシ)、アハマド(アハマド・アル・ハーティ)と一緒に表彰台に上がれたことは嬉しいよ」