トヨタ、水素エンジン搭載のカローラ・スポーツをORC ROOKIE RacingとともにS耐に投入!

2021年4月22日(木)14時52分 AUTOSPORT web

 4月22日、トヨタ自動車はカーボンニュートラルなモビリティ社会実現に向けて、水素エンジンの技術開発に取り組むと発表した。この取り組みに向けモータースポーツの厳しい環境で水素エンジンを鍛えていくことになり、スーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankook第3戦富士SUPER TEC 24時間レースから、ORC ROOKIE Racingがカローラ・スポーツをベースとした車両に水素エンジンを搭載し参戦することになった。


 ORC ROOKIE Racingは、トヨタ自動車の豊田章男社長がオーナーを務めるレーシングチームで、『もっといいクルマづくり』を実現したい、モータースポーツを盛り上げたいという仲間たちが集まってスーパー耐久に挑戦を開始。さらに2021年からはスーパーGT、全日本スーパーフォーミュラ選手権にも参戦している。


 スーパー耐久では、2020年からGRスープラ、GRヤリスを投入。GRヤリスは“モリゾウ”のドライバーネームで豊田オーナー自らがドライビングクルーのひとりとして参戦している。2020年は井口卓人、佐々木雅弘、勝田範彦、石浦宏明と組み富士24時間では優勝を飾ったほか、ST-2クラスではチャンピオンを獲得。GRヤリスをカスタマーに愛される車両にするべく戦い、事実2021年からはST-2クラスにGRヤリスのユーザーチームが参戦を開始していた。


 そんななか、トヨタ自動車がORC ROOKIE Racingを通じ、新たな意欲的な車両を投入することになった。なんと、水素エンジンを積んだカローラ・スポーツを投入するというのだ。


 トヨタによれば、ミライ等に使用されている燃料電池(FC)が、水素を空気中の酸素と化学反応させて電気を発生させモーターを駆動させるのに対し、水素エンジンは、ガソリンエンジンから燃料供給系と噴射系を変更し、水素を燃焼させることで動力を発生させるものだという。ガソリンエンジンでも発生するごく微量のエンジンオイル燃焼分を除き、走行時にCO2は発生しない。


 水素エンジンにおける水素の燃焼の速さはガソリンよりも速く、応答性が良いという特徴があり、優れた環境性能をもつと同時に、クルマがもつ、音や振動を含めた『クルマを操る楽しさ』を実現する可能性を秘めていることから、モータースポーツへの投入が決まった。


 今回の水素エンジンには、昨年9月に販売を開始したGRヤリスなど、モータースポーツで鍛え続けてきた技術も活かされているという。また安全性については、燃料電池車の開発やミライの市販を通して、積み重ねてきた技術やノウハウを活用する。


 デビュー戦の舞台は5月21〜23日に開催されるスーパー耐久第3戦富士SUPER TEC 24時間だが、競技中には福島県浪江町の福島水素エネルギー研究フィールドで製造された水素を使用する予定とのこと。水素活用の促進によりインフラ拡大を目指すとともに、引き続き経済復興・地域の活性化に向けた取り組みも進めていく。


 トヨタはこれまでもカーボンニュートラルへの実現に向けて、FCVのみならず多くのFC製品の普及による水素活用の促進を目指してきたが、水素エンジン技術をモータースポーツという厳しい環境でさらに鍛えることで、より良い水素社会の実現を目指していくという。


 なお今回の参戦に向けた体制等はまだ発表されていないが、おそらく2021年から新設されたST-Qクラスでの参戦となるはずだ。またORC ROOKIE Racingは今季もGRスープラとGRヤリスを走らせてきたが、4月17〜18日に行われた第2戦SUGOでは、そのうちGRヤリスが開発の役目を終えカローラ・スポーツに変更されるとの情報もあり、ふたたびモリゾウ自らがステアリングを握り水素エンジンを鍛えていくのか、非常に気になるところだろう。

好調な売れ行きを誇るカローラ・スポーツ。レーシングカーとしてはどんなスタイルで登場するだろうか……?
ORC ROOKIE Racing GR YARIS

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