「なぜ鈴鹿であれだけ走れたのか」「抜本的に変えないと」「サッシャは守れた」【SF Mix Voices 第4戦(2)】
2025年4月23日(水)11時55分 AUTOSPORT web

2025年全日本スーパーフォーミュラ選手権は4月20日、栃木県のモビリティリゾートもてぎで第4戦が行われ、セーフティカー(SC)が入った1周目にピットインし、ウラの首位に立った太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が、終盤に見事なギャップコントロールを見せて今季2勝目を飾った。
37周で争われたレース後、トップ3以外の全ドライバーが参加して行われる取材セッション“ミックスゾーン”から、ドライバーたちが第4戦について語った内容を2回に分けてお届けする。(前編はこちら)
■野尻智紀(TEAM MUGEN) 予選7番手/決勝10位
土曜日の第3戦を終えて「久しぶりに苦しいレースになった」と語っていた野尻智紀(TEAM MUGEN)。日曜日の第4戦も改善を試みたものの、大きな前進はなかったようで、決勝は10位完走で1ポイント獲得にとどまった。
「今までなんとかごまかせていた部分もあったのかもしれないですが、非常にまずいですね」と険しい表情を見せる野尻。第3戦の段階で改善ポイントは分かっているようだったが、その解決は一晩で果たせなかったようだ。
「このポジションを走りたいわけではないので、次のオートポリスに向けて何とかしないといけない」
「ですが、ここ数年オートポリスでは苦戦しているので、おそらく今のまま行っても同じことが起きるだろうなと思います。クルマの方で抜本的に変えないと、厳しい気がしています」
第3戦の時も語っていたが、今年から導入された新スペックのタイヤがネックになっている様子。「荷重がなくなったところから、荷重をかけ直すのが非常に難しい」と言葉にする野尻は、ここ数年では珍しいほど悩んだ表情をしていた。
■ザック・オサリバン(KONDO RACING) 予選13番手/決勝11位
モビリティリゾートもてぎ初体験となったザック・オサリバン(KONDO RACING)。金曜日のフリー走行1回目は最下位からの走り出しとなったが、以降のセッションで徐々にポジションを上げ、第3戦では12位。第4戦ではポイント圏内間近の11位でレースを終えた。
「もてぎは僕にとって初体験のコースだけど、テクニカルでとてもトリッキーだと感じた。FP1から下位に沈んでしまい、そこから上位に上がってくるのが難しかった。とくに予選のペースを改善しないといけない」と週末全体を振り返ったオサリバン。
第3戦決勝ではタイヤのデグラデーション(性能劣化)が予想よりも大きいことを気にしていたが、第4戦ではいくらか改善されたようで「今日のペースは悪くなかったと感じていて、タイヤのデグラデーションに関してもある程度マネジメントできていたと思う」と語った。
そのなかでオサリバンが繰り返し強調していたのが予選でのパフォーマンス。
「決勝については良い感じだと思うが、今の僕にとって一番重要なのは予選のペースだ。予選ポジションを上げることができれば決勝でリカバリーする必要もなくなるはずだが、昨日(第3戦)も今日も前に行けていない。まずは予選ペースのアップが急務だ」と、第5戦に向けての課題を明確にしていた。
■小高一斗(KDDI TGMGP TGR-DC) 予選19番手/決勝15位
今回のもてぎ大会ではブレーキ時のスタビリティに課題を抱えていたという小高一斗(KDDI TGMGP TGR-DC)。その影響もあり第3戦では18位に沈んだものの、チームと改善に取り組み、第4戦は15位でチェッカーを受けた。2戦ともポイント圏内に手が届かなかったが、本人としては改善を感じ取れていた様子だ。
「前日からいろいろ考えた結果、良い方向には行ったと思います。予選に関しては第3戦とくらべて路面温度やコンディションが違ったので、マシンバランスの比較という部分では難しいですけど、決勝に関してはすごくペースが良かったです」と小高。
第4戦では1周目にセーフティカー(SC)が入り、多くのマシンがピットストップ義務を消化したなか、小高はステイアウトを選択。26周目にピットストップを行った。
「タイヤ交換を終えてからは(太田)格之進選手が後ろにいて……彼には抜かれましたが(4位の)サッシャ(・フェネストラズ)選手にはしばらく抜かれずに守れたので、実質的には4〜5番手くらいのペースはあったのかなと思います」
「今後に向けてはポジティブだと思います。今まで、何をやっても15位以上を走れる雰囲気がなかったので、今後につながるレースだったのかなと思います」と、日曜日の2レース目をポジティブに捉えていた。
■三宅淳詞(ThreeBond Racing) 予選20番手/決勝18位
開幕前の公式テストでは好タイムを記録して注目を集めていた三宅淳詞。しかし、いざシーズンが開幕すると歯車が噛み合わず、もてぎ大会では第3戦は17位、第4戦は18位で終えた。
「本当に何でなんだろうなというところで、逆に鈴鹿のテストはなぜあんなに走っていたのだろうなと」
「レースウィークに入ると時間がなくて、できることも限られてしまいます。いろいろ考えてやってきた結果、今回はダメだったので次は新しいことをやらないといけない」と三宅。
第4戦では、フォーメーションラップで発進できず最後尾からのスタートとなり、第1コーナーでは平良響(KDDI TGMGP TGR-DC)がブレーキミスをした影響でコースオフを喫した。
「ウイングが壊れたのと、タイヤも切れてしまいました。幸いセーフティカーが入ったので、そのタイミングですべて交換して、再開後はとくに問題なく走れました」
イレギュラーな状況もあり、1周目にタイヤ交換義務を消化してゴールを目指したが、その後のペースが充分ではなかった模様。終盤はJuju(Triple Tree Racing)と接近戦を繰り広げたが、攻略には至らずチェッカーを迎えた。
「OT(オーバーテイクシステム)も使って頑張って抜きに行こうとしましたけど、そもそもペースがないですし、エアロもないので(前のクルマの後ろにつくと)タイヤの温度も上がってしまう……難しかったですね」と全体的なペース不足を感じていた。
「(前に)行けるスピードが全然なく、予選一発もロングランもタイムが出なくて……原因は正直分からないですし、悩んでいます。(原因は)クルマだけではなく、運転なのかもしれないです」
「次のオートポリスでは気持ちを切り替えつつ、原因を見つけていかないといけないなと思います。本当、それしか言えないです……」と笑顔で取り繕ろうとしていたが、現状にショックを受けている様子は隠せていなかった。
今年は元TEAM MUGENの一瀬俊浩エンジニアが加わったことで、シーズン前から注目を集めたThreeBond Racing。ただ、先述の通りシーズンに入ってから調子が上がらない様子が見られる。
「(昨年の12号車と比べて)全部が一緒というわけではないですが、似ている部分はあります。なぜ鈴鹿のテストであれだけ走れたのかというところに、ヒントがあるかもしれないとも思います」と三宅。次戦は自身初表彰台を飾ったオートポリスということもあり「オートポリスは好きなので、良い結果出したいですね」と意気込んでいた。