国産ハイブリッドカー春商戦。新型プリウスの出足は好調「走行性の高さが決め手」

2023年4月25日(火)14時16分 AUTOSPORT web

 マイカー選びにおいて、“ハイブリッド”は外すことができない選択肢のひとつ。最近は燃費&環境性能のみならず、動力性能でも上位設定となっており、そのことも積極的に“ハイブリッド”を選ぶ理由になっている。ここでは各メーカーの新型ハイブリッド車の中から、オススメのモデルを紹介しよう。


* * * * * *


■トヨタ・プリウス/車両価格:275万〜460万円


 最初に取り上げるのは、2023年1月に発売されたトヨタ新型プリウス(5代目)。プリウスは先代でTNGAの流れを汲んだプラットフォーム(GA-C)やパワートレインを採用したことで、走りの面でも大きな飛躍を遂げていたが、新型はその美点をさらに強化。新開発の2.0リッターのハイブリッドを採用することで、ひとクラス上の動力性能を手に入れている。

ボンネットラインから流れるように連なる造形により、クーペルックが強まった。先代比でCd値は若干減少したが、車体下面のフロアカバーにスリット形状を加えるなどで空力安定性を高める工夫も盛り込まれている。


 従来の1.8リッターのハイブリッド車でもシステム最高出力が140psと、このクラスのモデルとしては十分な性能を持つが、2.0リッターのハイブリッド車は196psまで、最上級グレードの2.0リッターのPHEV(プラグインハイブリッド)車は、223psものビックパワーを手に入れている。


 この恩恵は特に高速域で顕著で、余力感が大きく向上している。燃費優先という方には1.8リッターのハイブリッド車で問題ないが、走りを重視する方、特に高速道路で長距離運転が多いというならば、2.0リッターのハイブリッド車がオススメ。PHEV車の秀でた動力性能は魅力大だが、460万円の価格は割高感が否めないのがネックだ。


 ちなみにクーペライクが強まったスタイリングになったことで、後席まわりを中心としたキャビンの居住性が気になるかもしれないが、シート設計と配置の工夫もあって、頭上まわりに圧迫感は感じない。先代と同等レベルの余裕は確保されている。


 歴代屈指の流麗なスタイリングを手に入れたとしても、実用性に優れる歴代プリウスが受け継いできた美点は、新型でも健在だ。


■トヨタ・プリウス グレード一覧














































パワートレイングレードトランスミッション駆動方式車両本体価格(税込)
1.8リッターハイブリッド車X電気式無段変速機FF/E-Four275万円/297万円
1.8リッターハイブリッド車U電気式無段変速機FF/E-Four299万円/321万円
2.0リッター ハイブリッド車G電気式無段変速機FF/E-Four320万円/342万円
2.0リッター ハイブリッド車Z電気式無段変速機FF/E-Four370万円/392万円
2.0リッター プラグインハイブリッド車Z電気式無段変速機FF460万円


ハイブリッドシステムは、従来からの1.8リッターと新たに投入された2.0リッターの2系統を用意。2.0リッターには大容量バッテリーを搭載して駆動モーター出力を向上させたPHEVモデルも用意される。
最新設計のGA-Cシャシーとサスチューンがもたらす走行安定性の高さも新型プリウスの武器のひとつ。
強力な運転支援機能(ACC&LTA)のおかげもあって、歴代屈指の高速ツーリング性能を持つ。
上級仕様には12.3インチのナビ画面を装備。シフトレバーは電子式を採用。
低めの全高(1430mm)パッケージは居住性の面では弱みとなる要素だが、シート形状とレイアウトを工夫することで先代と同等レベルの広さを確保している。
トヨタ新型プリウス


■トヨタ・クラウン クロスオーバー/車両価格:435万〜640万円


 2022年秋にデビューしたクラウン クロスオーバーも注目一台。先代までは内燃機車もラインアップしていたが、現行モデルはハイブリッド車専用モデルに変更。すべてのグレードがリヤに大型の駆動モーターを配置するAWD仕様となるなど、進化改良が著しいトヨタの中でも最先端のハイブリッド車に仕立てられている。

現行クラウンは、4つのシリーズモデルが用意される。最初に導入されたのはSUVとセダンの良さを併せ持った『クロスオーバー』だ。


 ハイブリッドシステムも従来の2.5リッター直4ハイブリッドの改良仕様に加えて、上級グレードの『RS』系には2.4リッターターボ+電動モジュールe-Axle(イーアクスル)を採用したデュアルブーストハイブリッドシステムを搭載。


 この新しいハイブリッドシステムは、前後輪の巧みな駆動制御やリヤサスの動きによって、良質なFR車を彷彿させる運転感覚が楽しめる。電動駆動特有の瞬発力やレスポンスの良さを、“走り”の質を上げるために用いた好例ともいえる。


 従来のクラウン的な快適性を好む向きには、通常の2.5リッターのハイブリッド車、ひとクラス上のスポーツ性を求めるならばデュアルターボハイブリッド車と、好みに応じた選び分けができることも魅力になっている。


 FFプラットフォームの利点を活かした広大なキャビン空間が確保されていることも、大きな武器。静粛性や内装質感も国産車トップレベルだけに、アッパーミドルセダンの中では敵なしといってもいい。国内向けのカムリの販売が終了することがアナウンスされたのは、クラウンの完成度が高いことも理由になっているはずだ。


■トヨタ・クラウン クロスオーバー グレード一覧




























































パワートレイングレードトランスミッション駆動方式車両本体価格(税込)
2.5リッター 直4+モーターCROSSOVER X電気式無段変速機4WD435万円
2.5リッター 直4+モーターCROSSOVER G電気式無段変速機4WD475万円
2.5リッター 直4+モーターCROSSOVER G “Advanced ”電気式無段変速機4WD510万円
2.5リッター 直4+モーターCROSSOVER G “Leather Package ”電気式無段変速機4WD540万円
2.5リッター 直4+モーターCROSSOVER G “Advanced Leather Package ”電気式無段変速機4WD570万円
2.4リッター 直4ターボ+モーターCROSSOVER RS6速AT4WD605万円
2.4リッター 直4ターボ+モーターCROSSOVER RS“Advanced ”6速AT4WD640万円


リヤ側にも操舵アシストが加わるDRS(ダイナミックリヤステアリング)と、モーターの緻密なトルク制御のおかげで、滑りやすい雪道でも安定した走りを披露する。
上位設定の“RS”系グレードは、ターボエンジンとの駆動モーターモジュール(eAxle)を組み合わせたデュアルブーストハイブリッドシステムを搭載。システム最高出力は349psを誇る。これまでのハイブリッド車とは一線を画する高性能を売りとしている。
最新のディスプレイオーディオが採用されるなど、上級モデルらしいキャビンデザインも見所。入念な造り込みにより静粛性の高さもしっかりと受け継いでいる。
前後席とも、クッション性の高いシート形状を採用。足元スペースも広めで快適な居住性を備える。
2023年後半にはセダンとSUVの『スポーツ』、2024年にはキャビン後端をストレッチしたSUVの『エステート』が発売される予定。スポーツとエステートはクロスオーバーと同じFFプラットフォームだが、セダンはFRプラットフォームとなり、パワートレインもシリーズ唯一となるFCV(燃料電池自動車)もラインアップされる。


■ニッサン・エクストレイル/車両価格:351万100〜532万9500円


 ニッサンは、シリーズハイブリッドの『e-POWER』搭載モデルに力を入れているが、2022年夏に発売された現行のエクストレイルには、1.5リッターのVCターボエンジンを組み合わせた最新e-POWERを搭載している。

先日、原材料費や物流コストの高騰の影響により価格改定が実施されたことで割安感は薄らいだが、際立った走行性能からすればまだまだお得な設定だ。


 このVCターボは、ニッサン独自の圧縮比可変機構と最新のクールドEGRの考え方が組み込まれた新世代エンジン。幅広いエンジン回転域で最高効率の出力特性を発揮でき、従来のエンジンに比べると発電効率が向上している。より柔軟に電気を活用できるため、ノートに搭載されているe-POWERに比べると、駆動モーターの出力や制御特性が優れていることが強みだ。


 さらにリヤモーターが組み合わされる4WD車は、前後四輪の駆動制御を行う『e-4ORCE』も採用。雪路や悪路での走行安定性が高まるだけではなく、オンロードでも緻密な駆動制御を行うことでハンドリングや乗り心地の面でもメリットがある。2WD車と4WD車の価格差はおおよそ30万円なので、走りの質感を求めるならば4WD車を積極的に選んでもいいだろう。


 現行型はe-POWER専用モデルとなったため、先代に比べると車両価格は大きく上がってしまったが、それに見合うだけの実力を持つことは間違いない。


■ニッサン・エクストレイル グレード一覧































































































パワートレイングレードトランスミッション駆動方式車両本体価格(税込)
モーター+1.5リッター 直3ターボSFF351万100円
モーター+1.5リッター 直3ターボXFF374万8800円
モーター+1.5リッター 直3ターボGFF444万8400円
モーター+1.5リッター 直3ターボS e-4FORCE4WD375万9800円
モーター+1.5リッター 直3ターボX e-4FORCE(2列)4WD404万9100円
モーター+1.5リッター 直3ターボX e-4FORCE(3列)4WD418万円
モーター+1.5リッター 直3ターボG e-4FORCE4WD474万8700円
モーター+1.5リッター 直3ターボAUTECHFF448万8000円
モーター+1.5リッター 直3ターボAUTECH Advanced PackageFF502万9200円
モーター+1.5リッター 直3ターボAUTECH e-4FORCE(2列)4WD474万9800円
モーター+1.5リッター 直3ターボAUTECH e-4FORCE(3列)4WD488万700円
モーター+1.5リッター 直3ターボAUTECH e-4FORCE Advanced Package4WD532万9500円


前後左右輪の駆動力を巧みに協調制御する『e-4ORCE』がもたらす走りはエクストレイル最大の武器。オンロード主体でも4WD車を選びたくなる。
幅広いエンジン回転域で高効率の発電を実現している1.5リッターのVCターボ。従来e-POWERを超える発電能力を得たことで、高出力の駆動モーターを搭載可能となった。
エクストレイルのインパネまわり。センターには12.3インチのワイドディスプレイのナビゲーションを設置。
従来型と比べてボディサイズはほとんど変わっていないが、キャビンまわりの加飾や装備はひとクラス上に仕立てられている。


■ホンダZR-V/車両価格:328万2400〜410万3000円(e:HEV車)


 ホンダのハイブリッド車は、2モーター式の『e:HEV』搭載モデルを展開中。より力強い駆動制御を手に入れた第二世代モデルも登場するなど、ハイブリッドでも性能重視の印象を強く受ける。


 そのe:HEVの最新モデルとなるのが、ホンダZR-Vだ。『e:HEV』は、街中ではモーター駆動で走るシリーズハイブリッドとして振る舞うが、高速走行時はエンジン直動モードに切り替わることで、モーター+エンジンの美味しいところだけを使えるシリーズ/パラレルハイブリッドとなる。

ヴェゼルとCR-Vの間を埋めるミドルSUV。昨年からの予約受注の合計は3万台を超えるなど、ミドルSUV選びを大きく変える可能性が高い。


 『e:HEV』は高速走行時の燃費の落ち込みが少ないだけではなく、モーター駆動とエンジン駆動の切り替えが巧みで、アクセル入力に対しても反応が良い。ZR-Vに搭載された2.0リッターの『e:HEV』は、そのあたりの美点がさらに煮詰められており、クルマと対話するかのような走りが楽しめる。


 さらにZR-Vは、シャシー&フットワーク面が良好なことも大きな強み。車格としてはCR-Vの下を埋めるミドルSUVだが、巧みなハンドリングと程よい硬さのサスチューンがもたらす運転感覚はドライバーをその気にさせてくれるほど。ドライバビリティに関してはこちらの方が格上にも思えるほどだ。


 ZR-Vは、1.5リッターのターボ車も選べるが、その価格差は30万円ほど。ターボ車も低中速域でのトルクが太くレスポンスも良好だが、『e:HEV』車が持つ力強さやコントロール性の良さには及ばない。少し支払額は増えてしまうが、『e:HEV』車を選ぶのがオススメだ。


■ホンダZR-V グレード一覧







































パワートレイングレードトランスミッション駆動方式車両本体価格(税込)
1.5リッター 直4ターボXCVTFF/4WD293万2600円/315万2600円
1.5リッター 直4ターボZCVTFF/4WD353万2100円/375万2100円
2.0リッター 直4+モーターe:HEV X電気式無段変速機FF/4WD328万2400円/350万2400円
2.0リッター 直4+モーターe:HEV Z電気式無段変速機FF/4WD388万3000円/410万3000円


1.5リッターのターボ車も用意されるが、販売の主力を担うのは2.0リッターのe:HEV(ハイブリッド)車。e:HEVは現在普及が進んでいる主力ハイブリッドだが、ZR-Vに搭載されているのは現行シビック譲りの最新仕様となる。
ZR-Vのインパネまわり。特徴のひとつは、吹き出し口を隠すことで上質感を演出する『パンチングメタル・エアコンアウトレット』を採用している。
上級グレード“Z”の内装は本革シートやソフトパッドの加飾を採用している。
ホンダZR-V

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