まさかの3連敗の原因は何か 投手コーチが説くバウアーが抱える“3つの課題”「日本野球が染み付いていると思った」【DeNA】

2025年4月25日(金)5時40分 ココカラネクスト

阪神戦でも打ち込まれ、肩を落とすバウアー。(C)産経新聞社

不運が大きい? バウアーが語る「自己分析」は?

「2年前は実戦から離れていた期間が長くかった。でも、今回はしっかりとしたプレー期間もあった。なので、前回日本でプレーした時からまた積み上げていって、より良い結果をもたらしたいなと思っています。開幕からフルスロットルでやっていきたい」

 今春のDeNAベイスターズへの復帰会見でトレバー・バウアーは、2年前に在籍した経験を元に自信を漲らせていた。

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 しかし、ここまでのバウアーは3試合に先発し、0勝(3敗)、防御率も5.00と結果は伴っていない。中日と対峙した今季初戦では6回1失点と好投したが、2戦目の巨人戦では5回5失点。3戦目となった4月22日の阪神戦も7回4失点と苦戦した。

 この現状は2年前のNPB初挑戦時と類似する。当時も初戦こそ勝利したが、その後は5月9日に6回7失点、続く16日に2回7失点と連続して炎上。3戦目までで1勝2敗、防御率8.40と結果は芳しくなかった。

 本人のコメントを紐解いてみても、2年前との類似性が浮かび上がる。

 2年前の6回7失点を喫した5月9日の試合後にバウアーは「球種選択のミス、ボールの制度、最後に向こうのゲームプランが勝ったのではないか。その3つが合わさるとなかなかいい結果にはならない」と項垂れたが、16日の試合後には「真っ直ぐ、カット、カーブ、スライダーと打たれていますし、フェアになったボールがことごとくヒットになっている。2ストライクからのヒットが7本、2ストライクからの打率は普通1割8分とか低い打率だが、7割近い打率になっているから、なかなかそれが続くと良い結果になるのは難しい」と自己分析。不運な面にフォーカスした。

 今年も復帰初戦の3月29日は「フォアボールから失点してしまった。カウントを有利にできなかった」と制球面の課題を口にしながら、4月22日の阪神戦後には「相手は三振をしないような攻撃スタイルを意識していたように感じた。バットに当ててくるような感じになるから結果的に弱い打球が増えてくるが、それがヒットになってしまった。バットを折り、打球速度も速くないが、ああいう形でヒットを打たれてしまった」と、やはりアンラッキーな部分を語った。

 確かに不運な面は否めない。それでも結果は結果。現状としてバウアーは打たれている。では、何が課題となっているのか。投手陣をまとめる小杉陽太投手コーチは「リリースポイント、リリースの角度、アームアングルなど細かいところまで見たのですが、2年前とあまり変わりはなかったです」とメカニカル面に問題なしとキッパリ。球質も「単体で見ていくとぶっちゃけ変わっていないんですよ」と明言する。

 そのうえで小杉コーチは“アンラッキー”では片付けられない「3つの問題点」に着目した。

バウアーの“感性”が「配球面」の問題点に?

 1つ目として「2年前(の悪い時)にあったように、ハイゾーンにボールが集まって、ローゾーンへの割合が低くなっています。シンプルに投げているところが良くないです」と改善点を要約する小杉コーチは、「ミットの移動量が少ないところで収まっていたら違った結果になっていたと思います」とアバウトになるコントロールが問題点と言い切る。

 具体的な場面は、阪神戦で如実に見て取れたという。小杉コーチは「近本(光司)選手のホームラン、佐藤輝明選手にカーブを二塁打にされたところ、あとは森下(翔太)選手に打たれたセンター前。その3つは彼らが打てる得意なゾーンに行ってしまっている」と具体的なケースを挙げ説明した。

 そして2つ目はストレートの球速。開幕前にバウアーは自身の最速超えを狙うと球速へのこだわりを見せていたが、「今シーズンはガンでマックス155キロ。ホークアイでも最速で156、7です。2年前は159がマックスでアベレージも152くらい。今年はアベレージ150くらいなので2キロくらい遅い」という。ただし、「多分出そうと思ったらもっと出せると思います」と説く小杉コーチは、間近で見る助っ人の上から球速の増加を予見。「でも、155キロでも先発ピッチャーとしてはすごい数字ですけどね」と付け足している。

 そして3つ目は配球面だ。「2年前は左バッターをスプリットチェンジで次々に三振を奪っていましたよね。でも今年はその割合がかなり減ってしまっています」と変化球の選択に着目。そこにはバウアーの“感性”に対する強いこだわりがあると言及する。

「バッターが打てなさそうな球種を投げ続けたほうがいいんじゃないかという本人の考えがある。だた、それが甘く入ったりボールになったりしてしまうので、組み立てのつながりが無くなってしまっている」

 実際、「初回はミーティング通りに初球にインコースを投げて、2球目のスライダーがちょっと抜けながらもストライクを取れていた」という阪神戦では、「3、4球目はスイーパーでファウルを取って、最後にインコースに戻して内野ゴロとか。配球のつながりがあってめちゃくちゃ良かった」と良い場面はあった。だが、小杉コーチは、こう悔やむ。

「ただ、段々と偏りが出てしまって、佐藤輝明選手には『カーブを投げるな』とまでは言わないけど、スコアで見るとかなり高い数値になっている。なので、絶対にチェイス(悪球を振る)ゾーンに投げようねと言ったところで、3球続けて投げて、段々と甘いところに行ってしまった」

 NPBでの実績は十分にあると踏んでいた。だからこそ、「2年前にやっているから、(日本野球が)身体に染み付いているのかと思っていたんですけどね」と開幕からのスムーズなスタートを期待していた。しかし、結果は2年前の悪い時期と同様、躓いている。

 その現状に小杉コーチは、「2023年の良かったことが、果たして今年も出来るのかというところも当然あると思うんですよ。身体も変わってきているでしょうし、年齢も重ねている。それを含めて出来るのか」と不安も口にした。

 バウアーが目標とする「リーグ優勝、日本一、そして沢村賞」を果たすには、日本球界を席巻した2年前のピッチングに、プラスアルファの進化が求められる。果たして、大物助っ人の矜持を見せることができるだろうか。

[取材・文/萩原孝弘]

ココカラネクスト

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