初入賞の大津、苦しむ山本、スタートを悔やむ大湯、スパへと向かったカルデロン。それぞれの第2戦鈴鹿

2021年4月26日(月)16時45分 AUTOSPORT web

 今回も激しいバトルが各所で展開された2021年全日本スーパーフォーミュラ選手権第2戦鈴鹿。決勝は野尻智紀(TEAM MUGEN)が開幕2連勝を手にしたが、後方でも数多くのバトルが展開され、今回も悲喜交々のドライバーたちの姿が垣間見えた。


■大津弘樹:大苦戦からの5位入賞


 9番グリッドからスタートし、ポジションを4つ上げて5位でチェッカーを受けた大津弘樹(RedBull MUGEN with Team GOH)。大津にとってスーパーフォーミュラ参戦3戦目にして念願の初入賞となったが、週末の走り出しはチームメイトの野尻と同様に大苦戦を強いられ、ここまでの結果を残せる手応えはなかったという。


「土曜日のフリー走行の時は、すごい頑張ったなかでの18番手でした。『今週は厳しいな……』という感じで、予選も正直Q1を通過する手応えがありませんでした。でも、チームがデータを解析してくれて、いい状態に仕上げてくれたおかげで、ギリギリでしたが(Q1を)通ることができました。伸びしろがもうひとつ足りずQ3には行けませんでしたが、9番手からスタートできるので、良いかなと思っていました」


 予選で調子を取り戻すことができたという大津だが、日曜朝のフリー走行になって、再び調子が下がってしまった。


「日曜朝のフリー走行に臨んだら、18番手で『ヤバイな……』という感じになりました。土曜フリー走行から予選、予選から日曜フリー走行と、なんでこんな同じフィーリングで調子が悪くなるんだろうというのがあったので、決勝に向けてチームとしっかり話し合いました。ウォームアップ走行に向けて改善していったら、うまくいきました」


「スタートは自信があって、9番手からでも少しでも前に行こうと思っていました。そこで3台を抜いて、その後に1台が脱落して5番手に上がることができました。ただ、ピットストップで出ようとしたときに後続から入ってきた車両が2〜3台あって、そこでなかなか出られなくて数秒ロスしてしまいました。それで関口選手を逆転することができませんでした。単独で走っていれば、僕の方がペースは良さそうだったので……課題も残るレースではありました」


「でも今季2戦目で5位入賞を飾ることができたということと、ファステストラップをとってレース中の速さも証明できたので、シーズンに向けてはすごくプラスになる週末だったと思います。今回良かったところが『なぜ良かったのか?』を追求していかないといけないなと思っています。スーパーフォーミュラの短い走行時間の中で改善していくのは、結構難しいと思うんですけど、なぜ今回は改善できたのかを、オートポリス大会までのインターバルの間に振り返って行きたいなと思います」


■山本尚貴:2戦連続ポイントゲットも上位に食い込めず


 予選ではトラフィックの影響でQ3進出を果たすことができなかった山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)。開幕戦のような追い上げをみられるかと注目が集まったが、大幅なポジションアップとはならず、8位フィニッシュとなった。


「スタートは良かったんですが、位置取りが上手くなくて、前をふさがれてポジションを上げきれませんでした。今回は純粋にスピードが足りず、戦略は良かったのですが、それを活かしきることができませんでした」


 開幕前から抱えていた問題は解決方向に向かっているようだが、苦しい状況は続いている部分がある様子。その中でもしっかりと予選順位からポジションを上げてポイントを持ち帰るところは“さすがチャンピオン”という印象だったが、山本自身はこんなポジションでレースをしていてはいけないと、レース後は悔しい表情を見せた。


「このポジションで走り続けるというのは、我慢できないというか……恥ずかしすぎます。野尻選手は2連勝してかなり有利になってしまったので、チャンピオンを獲るために残り全部を勝つくらいの気持ちでいかないと、獲りきれないと思っています。何とかしないとですね」


「何とかできるように、僕もチームも頑張っているんですけど、もうひと踏ん張り、ふた踏ん張りが必要です」


■大湯都史樹:スタートでの出遅れが大きく影響


 昨年、ここ鈴鹿で涙の初優勝を飾った大湯都史樹にとっても、今回は悔しいレースとなった。予選では3番グリッドを獲得し、展開次第では優勝も狙えたのだが、決勝ではスタートで出遅れてポジションダウン。なんとか挽回するも、10位フィニッシュと、彼にとっては不本意な結果となってしまった。


「動き出しはかなり良かったのですが、その直後にエンジンの回転が落ちてストールしてしまいました。それで、かなり出遅れてしまいました」


 これで一気に14番手まで後退してしまった大湯。その後は前のマシンを1台ずつオーバーテイクしポジションを回復していったが、やはり集団のなかに埋もれてしまうと自分のペースで走ることができず、苦しい展開になってしまったという。


「今回は(ピットストップなどの)作戦で順位を大きくあげることはできず、1台ずつ抜いていったという形でしたが、あれだけ列になっていると、(前のマシンを)なかなか抜けない状況でしたし、思うように走れなくて、もどかしいレースでした」


「オーバーテイクシステム(OTS)があるにしても、なかなか抜くのは難しい状況でした。仮に僕がOTSを使ったら、あっちも使ってきます。そういう駆け引きはみんなうまくやっているので、そのあたりは難しかったです。単独で走ることができていればペースは良かったのですけど、集団のなかに入ってしまうと厳しいですね。スタートが一番もったいなかったですね」


■タチアナ・カルデロン:決勝後、すぐに渡欧「AP戦に出られることを願っている!」


 スーパーフォーミュラ唯一の女性ドライバーとして奮闘しているタチアナ・カルデロン(ThreeBond Drago CORSE)。開幕戦の富士では予選Q2進出を果たし、彼女もかなりの手応えと自信をつかんでいたようだが、決勝では開始早々に無線のトラブルが出てしまったことも影響し、13位とポイントゲットならず。レース後は「鈴鹿では絶対にポイントを獲りたい!」と、富士での悔しさをぶつけたいという気迫が伝わってきていた。


 しかし、迎えた第2戦鈴鹿では予選からバランスが合わず苦戦。最後尾からスタートした決勝レースでは、前の集団に引き離されることなく食らいついていったが、ポジションを上げるチャンスがなく17位でレースを終えた。


 確実にライバルとの差を詰めてはきているものの、上位を狙っていくためには、さらなるレベルアップが必要で、そこを目指すために、伊予木仁エンジニアと長時間にわたって話し込む姿もみられた。


 そんなカルデロンだが、ベルギーのスパ・フランコルシャンで行われるWEC世界耐久選手権のプロローグ(公式テスト)に参加するため、第2戦のレースを終えるとすぐに東京へ戻り、25日(日)夜の便でヨーロッパへ向かった。そのためスーパーフォーミュラ第3戦オートポリスに参戦するには、入国後の待機日数のクリアなど、様々な条件が発生することになる。


 さらに25日から東京・大阪など4都府県に3度目の緊急事態宣言が発令され、外国人の入国に関しても厳しい状況が続いている。現時点ではカルデロンの第3戦オートポリスへの参戦は不透明な状況ではあることは否めないのだが、彼女自身は出走を諦めておらず、「オートポリス戦にも出られることを願っています!」と笑顔で挨拶し、サーキットをあとにした。


 外国人ドライバーの入国に関しては、プロモーターであるJRP日本レースプロモーション側も積極的に動いており、第2戦鈴鹿の前に行われた自由民主党モータースポーツ振興議員連盟の総会でも、GTアソシエイションやラリージャパン事務局らとともに、外国人選手の入国に関する特別措置等の要望や、現状の説明などを行ったとのこと。また各プロモーター、サーキット、またメーカーらの意思をJAF日本自動車連盟に集約・統括して物事を進めていくという動きも起きていると、サタデーミーティングでJRPの倉下明社長が明言をしていた。


 まだまだ外国人選手の入国に関する部分では、クリアしなければいけないハードルがいくつもあるという状況だが、打開策を見出すために、日々積極的に関係省庁などに働きかけを行っているという様子だった。


 今回も、悲喜交々だったスーパーフォーミュラ第2戦鈴鹿。今回も野尻が優勝を果たし、ライバルに対して20ポイント以上の差をつけたのだが、第3戦以降のライバルの台頭をかなり経過している様子だった。その“台頭するライバル”が誰になるのか。次回のオートポリス大会も目が離せない。

2戦連続ポイント獲得も悔しいレースとなった山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)
スタートの失敗が響いた大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)
2021スーパーフォーミュラ第2戦鈴鹿 タチアナ・カルデロン(ThreeBond Drago CORSE)

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