勢いは本物。最終周の大逆転劇でチャスティンがスーパースピードウェイを制覇/NASCAR第10戦

2022年4月27日(水)7時0分 AUTOSPORT web

 4月23〜24日の週末に、アメリカはアラバマ州タラテガのスーパースピードウェイで開催されたNASCARカップシリーズ第10戦『GEICO 500』は、リードラップわずか1周。最後の最後の攻防を制した2022年“台風の目”ロス・チャスティン(トラックハウス・レーシングチーム/シボレー・カマロ)がカップシリーズ2度目の勝利を挙げ、今季の勢いがフロックではないことを証明する結果となった。


 第6戦となったサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)にて、待望のシリーズ初優勝を遂げているチャスティンは、前半戦のオーバルで2戦連続の2位入賞を果たしていたものの、まだロードコース以外でのカップ戦勝利を掴めない状況が続いてきた。


 しかし土曜予選でその“伏兵”に立ち塞がったのは、復調なったトヨタ陣営のジョー・ギブス・レーシング勢で、前戦のダートオーバルでもフロントロウを獲得していたクリストファー・ベル(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)がカップ2度目のポールポジションを獲得。その隣には0.081秒差でチームメイトのマーティン・トゥルーエクスJr.(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)が並び、JGRの2台がタラデガで初の最前列ロックアウトを決めた。


 新車両規定“Next-Gen”でもリストリクタープレートを採用する超高速戦は、16名のドライバー間で計41回のリードチェンジが繰り返される典型的かつ劇的な1日を演出し、まずは昨季のタラテガ覇者でもあるダレル“バッバ”ウォレスJr.(23XIレーシング/トヨタ・カムリ)が、序盤戦ステージ1でシーズン初の勝利をもぎ取っていく。


 続くステージ2でもそのトラック特性を象徴するリードチェンジにより、ウイリアム・バイロン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)が188周中最多リードラップとなる38周を刻んでこのピリオドを制覇。しかしそのウォレス、バイロンともに最終ラップでポジションを失う“ジェットコースター”フィニッシュが待ち受ける。


 レースは残り1周、この日は25周のリードと好調を維持したエリック・ジョーンズ(ペティーGMSモータースポーツ/シボレー・カマロ)を先頭に、ディフェンディングチャンピオンのカイル・ラーソン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)に続き、チャスティンが3番手で迎えたファイナルラップ。


 ラインから外に出てリードを奪う態勢を取った2番手ラーソンに対し、チームオーナーのリチャード・ペティに2014年以来の初勝利をもたらすべく奮闘するジョーンズも、ディフェンスラインで抑え込むべくトップへとマシンを振る。


 すると、この動きの余波で行き場を失ったカート・ブッシュ(23XIレーシング/トヨタ・カムリ)がウォールの餌食となり、その反動でチームメイトのウォレスまでもが道連れに。

前戦のダートオーバルでもフロントロウを獲得していたクリストファー・ベル(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)がカップ2度目のポールポジションを獲得
ウイリアム・バイロン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)に次ぐ32周のリードを記録したカイル・ラーソン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)だったが……
昨季のタラテガ覇者でもあるダレル”バッバ”ウォレスJr.(23XIレーシング/トヨタ・カムリ)は、僚友のあおりを受け最終周での悲運に見舞われる


■「『今日こそ同じ過ちは犯さない』と決めていた」と勝者チャスティン


 その首位攻防で失速した2台を横目に、ボトムでマシンを安定させスピードを保っていたチャスティンは、わずか0.105秒差で逆転し、オースティン・ディロン(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)とカイル・ブッシュ(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)を従えトップチェッカー。スーパースピードウェイの攻防を勝ち切り、待望のオーバル初優勝を手にすることとなった。


「なんてこった! 僕らは何もしなかったに等しい。ただそこに留まっていただけなんだ」と語り、結果的にその位置取りが功を奏した勝者チャスティン。


「僕らはいつもトップに立つのが早すぎてミスを犯し、最後に8人ぐらいの駆け引きでいつもやられてきた。だから『もう2度とそこに行かないぞ! 今日こそ同じ過ちは犯さない』と決めていた。僕はシンプルに『ボトムを維持し続けろ。負けるわけがない』と言い聞かせてラインに留まった。すると彼らはアウト側に上り、目の前に道が開けたんだ!」


 4位のラーソン、5位のトゥルーエクスJr.に続き、失意の6位フィニッシュとなったジョーンズは「最後のラップだけ。ここでは典型的な結末さ」と、目の前で逃した勝利を悔やむ言葉を残した。


「今回のレース、そして昨秋のここでも、僕は何度も勝利に近づいた。振り返って見れば、自分もボトムに留まっていれば良かったが、(後続の)彼らがそれほどのスピードでやって来ていることに気づいていなかったんだ」と続けたジョーンズ。


「5号車(ラーソン)を防御するためラインを変えたが、時すでに遅し。結果的に1号車(チャスティン)へのドアを開けたようなものだった。でも今日はレースをリードできてうれしかった。僕は(自身の)43号車をヴィクトリーレーンに導きたいと思っていたし、今日はその日かもしれないと思っていたんだ」


 一方、ファイナルラップの“荒廃”を引き起こしたラーソンも、日曜のレースパフォーマンスを結果に繋げられず「失望している」と語った。


「このスーパースピードウェイで、最後のラップまでほぼ完璧な仕事をしたように感じていたんだけどね」と続けたチャンピオン。「一度、ハイラインに行くと見せかけてロウに戻るべきだった。結局ハイに留まり続けたが、おそらく、そこにはほんの少しの経験不足があるんだろうね」


 一方のNASCARエクスフィニティ・シリーズ第9戦は、デイル・アーンハートJr.が代表を務めるJRモータースポーツから参戦するノア・グラグソン(シボレー・カマロ)が、その系譜を継ぐ予選ポールシッターのジェフリー・アーンハート(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)を降し、逆転勝利を飾っている。

COTAに続き、おなじみ“スイカ・パフォーマンス”を披露したロス・チャスティン(トラックハウス・レーシングチーム/シボレー・カマロ)
NASCARエクスフィニティ・シリーズ第9戦はノア・グラグソン(JRモータースポーツ/シボレー・カマロ)が逆転勝利
祖父デイル・アーンハートが見守るヘルメットとともに、予選ポールを獲得していたジェフリー・アーンハート(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)

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