大谷翔平はなぜ水原騒動の“標的”になったのか 米紙が独自見解「ミズハラを盲目的に信頼し、金銭に無頓着」
2024年4月27日(土)6時0分 ココカラネクスト
水原容疑者に全幅の信頼を寄せていた大谷。二人の絆は世間も「堅いものだ」と見ていた。(C)Getty Images
日本でも小さくない物議を醸した騒動にあって、大谷翔平(ドジャース)は悪質なブックメーカーの“標的”となった。
この春、大谷は世界を震撼させるスキャンダルに巻き込まれ、“渦中の人”となった。元日本ハム時代に縁を結び、エンゼルスと契約した2018年から専属通訳だった水原一平容疑者が「銀行詐欺罪」で訴追されたのである。
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事のあらましが発覚した3月20日以降に徐々に明らかになっていった真実が、スキャンダルの深刻さを物語った。とりわけ世界を愕然とさせたのは、水原容疑者が関与していた違法賭博のスケールだ。
検察側の訴状によれば、2021年9月から違法賭博業者と関係を持ったという水原容疑者は、合計1万9000回のギャンブルを実施。総損失額は1億8290万ドル(約279億8370万円)にまで膨れ上がっていた。
膨大な借金が手に負えなくなった水原容疑者は、自らが開設手続きをサポートしていた大谷の給与口座から不正に資金盗用。大谷本人を装って銀行側に問い合わせ、自由に資金管理を行えるように細工し、1600万ドル(約24億5000万円)を違法賭博業者に送金していた。
不正使用を行なっていた際に水原容疑者は胴元に「またバンプ(上限の引き上げの意)してもらえるチャンスはある? 知ってのとおり、僕が支払わないという心配は必要ないよ」とメッセージ。訴状によって明らかになったこうした生々しい冗談も、世間を驚かせた。誰もが「まさか…」と信じて疑わなかったはずである。
もっとも、水原容疑者は常に大谷の間近にいた。しかし、一連の“裏切り”行為を周囲の関係者ですらも認知していなかったという。本人も3月25日に行われた声明発表会見で「彼にウソをつかれていた」と吐露。潔白を主張するとともに「うまく言葉では表せないような感覚」と複雑を極める胸中を打ち明けるしかなった。
ではなぜ、世間の誰もが知る大谷ほどの大物が標的となったのか。米紙『Los Angeles Times』は「ショウヘイ・オオタニのようなスポーツ選手や芸能人が、信頼する人々に金銭的に騙される仕組み」と銘打った記事で、「ミズハラを盲目的に信頼し、金銭に無頓着なオオタニの対応は一見すると一部の人々を不快にさせるものだった。だが、富裕層や有名人が自分たちのお金の動きを詳細に把握していることは珍しい」と指摘。金融ジャーナリストであるダイアナ・B・エンリケス氏の見解を紹介している。
「この手のスキャンダルは何度も何度も繰り返されてきた悲痛な物語だ。業種に関係なく、儲ける才能がありながら、金銭の専門的な知識がなく、突然富を手にした人物は、詐欺の標的となりやすい。
スポーツ選手であれ、芸術家であれ、外科医であれ、あるいはシリコンバレーの起業家であれ、詐欺師の理想的な被害者は、お金のことを詳しく知らないが、とにかく巨額のお金を持っている。ゆえに『面倒で、複雑で、混乱しそうなことは私に任せて、あなたは偉大になることに全エネルギーを集中させてくれ』と付け込まれる」
大谷にとって、水原容疑者は単なる通訳を越えた関係性だった。そして、絶大なる信頼関係があったからこそ、二人の間には“隙”が生じていたのかもしれない。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]