西郷真央に起きた2つの“奇跡” 最多5人PO制してメジャーV「全身が緊張していた」

2025年4月28日(月)12時12分 ALBA Net

メジャー初優勝を飾った西郷真央。笑顔が弾けた(撮影:南しずか)

<シェブロン選手権 最終日◇27日◇ザ・クラブatカールトン・ウッズ(米テキサス州)◇6911ヤード・パー72>

17番グリーンにいるとき、自分が首位と1打差にいることを知った。カラーからのロングパットを残していた西郷真央は、こう思った。「(17番を)パーでクリアしよう。18番ティは前に出ているから、最後にバーディを獲ろう」。


首位で迎えた最終日は苦戦し、16番終了時点で3つ落としていた。代わりに首位に浮上したアリヤ・ジュタヌガーン(タイ)とは2打差。厳しい状況に追い込まれていた。だが、アリヤが最終18番パー5でアプローチを“空振り”してボギー。追いつくチャンスが巡ってきた。

迎えた最終18番。バーディ必須という状況で、2オンを狙ったセカンドショットはグリーン奥のラフに入った。下りのアプローチはオーバーして、バーディパットは3メートル。「今週で一番、納得のいくストロークができた」とスライスラインを決めて小さくガッツポーズ。メジャー史上最多人数となる“五つ巴”のプレーオフに突入した。

アリヤ、キム・ヒョージュ(韓国)、イン・ルオニン(中国)、リンディ・ダンカン(米国)という実力者たちとの戦い。舞台は、さきほどバーディを獲ったばかりの18番パー5だった。バーディの取り合いになるか…。長丁場を予感させながら、延長戦は始まった。

西郷のティショットをフェアウェイへ。残り距離はさきほどと比べて、わずか1ヤード違い。同じように2オンを狙い、奥のラフにこぼれた。30分前を再現したような攻め方だった。「アプローチもほとんど同じようなライから打てた。自分に運が向いていると思った」。先ほどより柔らかいタッチで、1メートルに寄せた。

だが、ほかの4人もチャンスにつけていた。ルオニンが4メートルのイーグルチャンス。ヒョージュは4メートル、アリヤは2メートルのバーディパットを残していた。数人がバーディで並び、次のホールに持ち越しか…。誰もがそう思ったはずだった。

だが、そのグリーン上では“まさか”の展開が続いた。ルオニンが痛恨の3パットでパー。ヒョージュはバーディパットを決められず、アリヤのパットもカップ右フチに蹴られた。そして、西郷はウィニングパットをしっかりと真ん中から沈めて、10分前には想像できなかった“奇跡”の結末を迎えた。

「最後は本当に緊張した。全身が緊張していた。自分の目の前のボール以外のことを考える余裕がなかったけれど、とにかく震える体を落ち着かせながら、カップインを目指して頑張っていました」

首位を走っていたアリヤが犯したまさかの“空振り”。そして、名手たちがプレーオフで次々とパットをミスした。2つの“奇跡”が重なって生まれた最大のチャンスを、西郷はしっかりとつかみ取った。

優勝が決まると、西郷はうれし涙を流した。そして大会恒例の“池ダイブ”も敢行。喜びを全身で表現した。ルーキー・オブ・ザ・イヤー(新人賞)を獲得した昨年は、難度も優勝争いに加わりながら未勝利。米ツアー2年目にして、大きなタイトルを獲得した。

「勝ちたい試合で勝てなかったり、悔しい思いもした。メジャーで初優勝を挙げられてうれしいです」。西郷はバスローブ姿のまま、雨上がりのような笑顔で濡れた髪をかき上げた。(文・笠井あかり)


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