A.マルケス「兄がクラッシュした時に最高のチャンスだと思った」MotoGP参戦94戦目での初勝利に歓喜/第5戦スペインGP
2025年4月28日(月)18時20分 AUTOSPORT web

4月27日、2025年MotoGP第5戦スペインGP MotoGPクラスの決勝がヘレス・サーキット-アンヘル・ニエトで行われ、アレックス・マルケス(BK8グレシーニ・レーシングMotoGP)が最高峰クラス参戦94戦目にして初優勝を飾った。
今季ドゥカティ・デスモセディチGP24を駆るアレックス・マルケスは、開幕戦からスプリントと決勝の双方でトップ争いを展開する強さを見せていた。ただ、兄であるマルク・マルケス(ドゥカティ・レノボ・チーム)にあと一歩及ばず、2位止まりの悔しい戦いが続いている。
そのなかで迎えたヨーロッパラウンド初戦の第5戦スペインGPでは、初日のプラクティスでレコードを大幅に更新する1分35秒991をマークして好調さを維持。2日目の予選ではトップからわずか0.148秒差で予選4番手となったが、彼自身が初日から手応えを感じていただけに、自信を持ってスプリントと決勝に向けて準備を進めていた。
スプリントでは好スタートを決めてトップ争いに加勢するも、またも兄マルク・マルケスに次ぐ2位で終えることとなったが、決勝ではMotoGP初勝利のチャンスが思わぬ形で巡ってくることに。スタート後、首位ファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGPチーム)を追撃中のマルク・マルケスが3周目に痛恨の転倒を喫してしまう。これにより3番手と表彰台圏内に浮上したアレックス・マルケスが、この好機を本領を発揮する。
早々に前を行くフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)を仕留めると、11周目の1コーナーでクアルタラロを抜き去り首位に浮上。みるみるうちに後方とのリードを広げていき、危なげなく最後までトップの座を守り切り、見事MotoGPクラス初優勝を手にした。そんなアレックス・マルケスはレース後、次のように嬉しさを語った。
「もしMotoGP初勝利をどこで挙げたいかと聞かれたら、答えは『ヘレス』だっただろう。そしてそれを成し遂げた。金曜日からすでにそれが可能だと分かっていた。Moto2でも初優勝をここで勝ちとったけど、それだけでも特別な経験だったよ。でも、MotoGPでの優勝は別次元だね。9〜10コーナーにもチェッカーフラッグの後に行ったけど、最高の観客がいて、敬意を払ってくれて、ウォールにも最高の観客がいて、もう本当に最高だったよ」
「ミディアムのリヤタイヤでスタートする前から、明確な目標があった。チームを信頼していたし、マルクがクラッシュしたのを見た時、今シーズン最高のチャンスだと思った。ファビオをオーバーテイクした時は、どんなに無理をしても自分のペースを保ち、やるべきことをやろうとした」
ようやく掴んだ初勝利に嬉しさを滲ませていたが、加えて25周と長いレース中には葛藤があったことにも触れていた。
「正直に言うと、少し集中力が切れていた。だから『よし、もう一度プッシュして、もう一度自分のペースを取り戻して、集中力を取り戻して走ろう』と決めた。チームとどうやって祝おうかとか考えすぎていたんだよ」
「それで、僕は『あと7周だ。頑張ろう』と言った。だから、とにかく集中することにした。最後のラップでポイントを獲得できたのも最高だった。素晴らしい結果だったし、明日のテストはスキップしようと思っているよ」
MotoGPクラス94戦目というのは長い道のりだったかもしれないが、2025年シーズン始まって5戦目にして初優勝を手にできたことは、彼にとってかなりのアドバンテージに繋がることだろう。ランキングにおいても、1ポイント差ではあるものの兄マルク・マルケスを抜いて再びトップの座につけている。今後も激しい兄弟の攻防戦が繰り広げられることとなりそうだが、自信をつけたアレックス・マルケスが、最高峰クラスでどのようにリードしていくのか気になるところだ。