メジャーで珍しい親子遊撃手…オールスタープレーヤーの父を追う息子がアスレチックスで躍動!打率6位!
2025年4月29日(火)19時55分 スポーツ報知
MLBは米国内での開幕から1か月が経った。開幕直後ヤンキースの本塁打量産で話題になった魚雷バットはなりを潜め、現在はロッキーズの極度の低迷とヤンキース・ジャッジの高打率が注目されている。
そんな中、アスレチックスの新人ジェイコブ・ウィルソン遊撃手の奮闘が光っている。先週は24日レンジャーズ戦にサヨナラ安打、翌日のホワイトソックス戦で今季3号アーチを放った。打率は3割2分1厘で、ア・リーグ打率6位につけている。
2023年ドラフト全米6位で指名され、2年間はマイナーで79試合に出場し、打率4割1厘の安打製造機ぶりを発揮。昨季昇格したメジャーでは28試合で打率2割5分も、今季も新人王資格を有しており、サクラメントでプレーするアスレチックスにあって人気も急上昇だ。
彼は親子でメジャーリーガーだ。父親のジャック・ウィルソンは通算12年、1370試合に出場した遊撃手。パイレーツ時代の2004年オールスター戦に出場し、同年シルバースラッガー賞を受賞している。7月末のトレードデッドライン間近でマリナーズに移籍した2009年には有識者が選ぶフィールディングバイブルにも選出されるなど、攻守両面でメジャーを代表する遊撃手だった。
メジャーの親子選手には投手同士、外野手同士が少なくないが、遊撃手としてそろってメジャーのレギュラーを長く務めるケースは珍しい。ロイ・スモーリー親子(父親通算872試合、息子通算1653試合)くらいしか見当たらない。
アスレチックスのチーム内でも、23歳のウィルソンの将来を楽しみにする声が上がる。コッツェイ監督が「私の期待は彼が堅実で、平均以上のメジャーの遊撃手になること」と言えば、昨季はメッツでスーパースター、フランシスコ・リンドア遊撃手とチームメートだったエースのセベリーノは「まだ若いのに、彼(ウィルソン)はとても成熟したプレーをする。長く続けてくれるといいな」と話した。
一方、ウィルソンは「今は毎日心臓がドキドキしながら試合に臨んでいる」と若手らしく対応。ただ「冷静さを保つことだけを心がけている」と言うだけのエピソードもある。24日のレンジャーズ戦では、相手投手のジャクソンがどんな球を投げるか、コッツェイ監督に質問。「スライダー」と聞くと、そのスライダーを狙ってサヨナラ安打にする臨機応変さも見せつけた。
「父は僕のロールモデル。父のようになりたいと思いながら育ったんだ」とウィルソン。尊敬する父親を追い越すような選手になれるのか、注目していきたい。
【参考】米大リーグ公式サイト
蛭間 豊章 (ベースボール・アナリスト)