佳境のCL。4強のUEFAランキングと「マネーリーグ」順位は?

4月29日(月)7時17分 Sportiva

 今季のチャンピオンズリーグもベスト4が出揃い、欧州エリートフットボール戦線もいよいよ佳境に突入していく。

 4強の顔ぶれは、バルセロナ(スペイン)、リバプール、トッテナム(ともにイングランド)、アヤックス(オランダ)。昨季のこのステージに到達したチームはリバプールだけで、優勝候補のバルセロナも4シーズンぶりとなり、トッテナムとアヤックスが最後に準決勝を戦ったのはそれぞれ57年前と22年前。つまり序列を覆してきたチームが多いわけだ。


201-15シーズン以来の優勝を目指すバルセロナを牽引するメッシ

 最新の『UEFAクラブランキング』(過去5シーズンのCLとヨーロッパリーグの成績をもとに算出)が、その事実を示している。2位のバルセロナは4強に入ってしかるべき存在と言えるが、そのほかはリバプールが11位、トッテナムが18位、アヤックスは20位。また、トップレベルのフットボールチームに天文学的な資金が入るようになって久しく、モダンフットボールでは財政力がモノを言うことも多いが、その点でも今回のベスト4は興味深い。

 国際監査法人デロイトが各クラブの年間収入をもとにランキングを発表する『デロイト・フットボール・マネーリーグ』は今年で22回目を数え、今年のはじめには2017-18シーズン版が公表されている。

 1位はフットボールクラブとして史上最高額となる7億5090万ユーロ(約936億円)の年間収入を計上したレアル・マドリードで、主な理由はチャンピオンズリーグで3連覇を遂げたことにある。前年度まで2年連続で首位だったマンチェスター・ユナイテッドは、3位の6億6600万ユーロ(約829億円)に順位を落とした。これについても、欧州カップ戦での結果(2017-18シーズンはCLベスト16)によるところが大きいと見られている。

『マネーリーグ』上位の常連であるバルセロナは、年収6億9040万ユーロ(約858億円)で2位に。プレミアリーグの多くのクラブが外国資本に買収されるなか、カタルーニャ自治州の「クラブ以上の存在」であるバルセロナは、サンドロ・ロセイ前会長によると「身売りなど絶対にしない」。広く知られているとおり、クラブを保有するのはソシオと呼ばれる会員たちだ。

 しかし、かつてはシャツの胸に市民クラブのプライドを意味する空白があったが、7シーズン前からスポンサーが入るようになり、昨季前には楽天と大型契約を締結──史上最高額となる年間5500万ユーロ(約64億円)の4年契約だ。そのほか、アメリカでのプレシーズンツアーの成功やラ・リーガ優勝などによって収入を増やし、レアルとのスペイン2強が『マネーリーグ』の上位を独占した。

 昨季のCLファイナリストであるリバプールは、前年の9位から順位をふたつ上げて7位となった。前シーズンから9060万ユーロ(約11億円)の増収はトップ10で最高で、総収入は5億1370万ユーロ(約640億円)。やはりその最大の要因はCL決勝進出にあり、放映権収入は1位のレアルと同じ2億5130万ユーロ(約315億円)で、全体の約半分にあたる。

 オーナーは、ヘッジファンドで莫大な財を成したアメリカのジョン・W・ヘンリーが率いるフェンウェイ・グループ。2010年にクラブを手中に収めた彼らが安定した経営基盤を築き、昨シーズンには世界記録となる1億600万ポンド(約150億円)の利益を計上している。ここ2年で、モハメド・サラーやフィルジル・ファン・ダイク、アリソン・ベッカーといった現スクアッドの主力を次々に獲得し、着実に成績を上げているのも、フロントの的確な判断によるところがある。

 4億2830万ユーロ(約533億円)を記録したトッテナムは、前年からひとつランキングを上げて10位に。新たなホームスタジアムを建設している間、ホームゲームを収容人数の多い聖地ウェンブリーで開催したことにより、マッチデーの収入が7550万ポンド(約11億円)と1.5倍以上増加している。投資家のジョージ・ソロスの盟友でもある英国人ビジネスマン、ジョー・ルイスがクラブ最大の株主だが、実際に運営を任されているのは彼の右腕、ダニエル・リービー会長だ。タフな交渉術でも知られるリービーは、新スタジアムの建設費がかさむことも見込んで、今オフには新戦力をひとりも獲得しなかったが、チームは周囲の予想に反してCL4強入り。「サステイナブルな経営」をモットーとする会長は、今やプレミアリーグで誰よりも重要な英国人とも評されるほどだ。

 そして、アヤックス──もっとも特筆すべきクラブだ。『マネーリーグ』は20位までのクラブを紹介し、21〜30位のクラブは名前と収益額だけを掲載しているのだが、このオランダの名門は圏外だった。クラブが公表している年間総収入は1億427万ユーロ(約130億円)と、バルセロナの6分の1に満たず、プレミアリーグで残留争いに巻き込まれているブライトン(同1億5740万ユーロ/約196億円)にさえ、大きく差をつけられている。

 愛するクラブをサポートする人々が、1998年に上場したクラブ株式の7割以上を保持しており、バルセロナと同様に会員が支えている。それもあって、加速する資本主義についていけず、他国のビッグクラブに後れを取っていたが、近年では中国の広州富力と育成組織に関する巨額契約を結ぶなど、エドウィン・ファン・デル・サール会長らはブランド力の活用を促進している。また今季の大躍進により、来季以降は『マネーリーグ』に入ってくる可能性も大きい。

 それでも今季の瑞々しい最高のチームを形成した逸材たちは、遅かれ早かれビッグクラブへ巣立って行くのだろう。モダンフットボールのひとつの側面と言えるが、一抹の寂しさはどうしても残る。

 ちなみに『UEFAクラブランキング』のベスト4は、レアル、バルセロナ、バイエルン、アトレティコ・マドリー。『デロイト・フットボール・マネーリーグ』の上位4クラブは、レアル、バルセロナ、ユナイテッド、バイエルン。ビリオネアのオーナーたちが実権を握る現代のフットボールは、好むと好まざるとにかかわらず、大きなビジネスでもある。しかし、近年の成績やカネがすべてではないとロマンを語れるところもまた、このスポーツの魅力のひとつだ。

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