ヤ軍実況も感服したジャッジを翻弄した「芸術」 “MLB平均以下の球”で菅野智之が示した「野球界で失われる価値」
2025年4月30日(水)6時30分 ココカラネクスト

ヤンキース打線を見事に牛耳った菅野。その投球術は異彩を放った。(C)Getty Images
味のある投球術は強力打線を翻弄し、米球界をあ然とさせた。
現地時間4月28日に本拠地で行われたヤンキース戦にオリオールズの菅野智之が先発。5回(95球)を投げ、被安打5、8奪三振、無失点と締め、今季3勝目を挙げた。
【動画】ジャッジも翻弄!菅野はヤンキース打線に宝刀スプリットで空振りを奪っていく
直球と変化球を四方に投げ分け、ヤンキースのスラッガーたちをいなした。初回にいきなり二死満塁のピンチを迎えた菅野だったが、6番アンソニー・ボルピを遊ゴロに打ち取ってスコアボードに「0」を刻むと、そこから勢いに乗った。
巨人時代に見せていたクレバーな投球で投げ進める背番号19。最大のハイライトは、5回無死一塁の局面で迎えた敵打線のクリーンアップとのマッチアップだ。
まず、対峙したアーロン・ジャッジを膝元へのスプリットで空振り三振に切って取った菅野は、続くコディ・ベリンジャーを外角高めへの91.8マイル(約147.7キロ)の4シームで左飛に危なげなく仕留める。そして、ラストバッターのポール・ゴールドシュミットはボールゾーンに投じる高めの94.4マイル(約151.9キロ)の4シームで中飛とした。
まさに剛より柔——。この日の平均球速がメジャー平均より94マイル(約151.2キロ)も下回る86.3マイル(約138.3キロ)だった菅野の巧みな投球には、ヤンキースの地元メディアも感嘆とする。
試合中継を行っていたニューヨークのスポーツ専門局『YES Network』の著名実況者であるマイケル・ケイ氏は「スガノの投球にはすべてに意味がある。昔ながらのスタイルだ」と熱弁。「今の時代はパワーが重視されて語られる。投手はできる限り速く投げることばかりを意識する。だが、隅々に緩急をつけるスガノの投球は芸術だ」と脱帽した。
無論、菅野を預かるオリオールズの指揮官はご満悦だ。試合後の会見でブランドン・ハイド監督は「トモユキは素晴らしい。ただただ感銘を受けた」と脱帽。そして、ジャッジらを牛耳った貫禄の投球を褒めちぎった。
「あれだけの強力打線を相手に2巡以上も相手をするのはタフだ。彼らはストライクゾーンを支配する打線だからね。とくにジャッジは本当に難しい相手だよ。だからこそ、トモには本当に感心させられた。ストライクゾーンの中でボールを動かし、緩急をつける能力は、今の野球界ではちょっと失われつつある一種の芸術だと思う。むしろ新鮮だよ」
敵味方関係なく賛辞を集める菅野の老獪な投球。開幕前にはパワー不足に懸念が示されたベテランだが、その“戦法”への声価は高まる一方である。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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