“ハードラー婚”田中佑美、「今後も頑張ってお互い走っていきます」夫婦で東京世陸&ロス五輪目指す
2025年4月30日(水)6時45分 スポーツ報知
女子100メートル障害の予選に出場した田中(カメラ・岩田 大補)
◆陸上 織田記念(29日、広島広域公園陸上競技場)
女子100メートル障害で24年パリ五輪代表の田中佑美(26)=富士通=が昨年結婚していたことを、予選のレース後に明かした。お相手は、同じ所属の男子110メートル障害で22年オレゴン世界陸上代表の石川周平(29)。競技以外でも注目を集めるモデルハードラーは、9月の東京世界陸上、28年のロサンゼルス五輪は夫婦二人三脚で目指していく。今季国内初戦となった田中は、予選で12秒91(追い風1・8メートル)の全体トップタイムだったが、右脚の違和感で決勝は大事を取って棄権した。
日本トップハードラー同士の明るいニュースを、自らの口で明かした。田中は予選を全体トップで通過。決勝を棄権後、笑顔で取材に応じた。「アスリートなので恥ずかしいのもあって、あまりそういうのは公開してこなかったですが」とはにかみながら、24年に同じハードル選手の石川と結婚していたことを明かした。
石川は22年オレゴン世界陸上代表で、持ちタイムは日本歴代9位(13秒36)の実力者だ。男女ハードル種目は近年大混戦で、国内選考は年々し烈になっている。石川の今季国内初戦は5月11日の木南記念(大阪)の予定。今季の大一番は9月の東京世界陸上だが、「今後も頑張ってお互い走っていきますので、いちアスリートとして、温かく見守っていただければうれしいなと思っています」と田中は夫婦日本代表の座を見据えた。
大きな心配はない。23年に初めて12秒台を出した相性の良い競技場で、予選から12秒91の好タイムに「あの走りで(12秒)91ならもっとタイムは出る」と手応えを語った。右脚の違和感については「久しぶりにバンと出力をしたので、体がびっくりした。大きな故障というわけではないですが、今後レースが続くことを考えて」と説明。5月はセイコーゴールデングランプリ(国立競技場)やアジア選手権(韓国)など大きな大会も控えており、万全を期して冷静に判断した。
連戦で目指すのは、東京世界陸上の参加標準記録(12秒73)突破。23年ブダペスト世界陸上、昨年のパリ五輪はポイントで争うワールドランキングで出場権を得ており「準決勝まで行けるというのは(パリ五輪で)経験できましたが、実力で行けるのが標準突破(での出場)。その力が今後必要」と強い思いを持つ。同記録突破で日本選手権(7月、東京)3位以内で即内定だ。今年2月に60メートル障害で8秒00の日本新樹立など成長著しい田中。夫婦代表へと全力疾走する。(手島 莉子)
◆田中 佑美(たなか・ゆみ)1998年12月15日、大阪市生まれ。26歳。関大第一中で陸上を始め、関大第一高では15、16年に全国高校総体2連覇。立命大に進み、19年日本インカレ優勝。21年富士通入社。23年4月の織田記念(広島)で12秒97をマークし、同年夏のブダペスト世界陸上は予選敗退。同10月のアジア大会銅メダル。24年パリ五輪は準決勝進出。172センチ。
◆石川 周平(いしかわ・しゅうへい)1995年5月29日、岩手・花巻市生まれ。29歳。石鳥谷中から花巻北高に進み、3年時の全国高校総体は3位。筑波大に進学し、4年時の日本学生対校選手権は2位。富士通に入社し、日本選手権は19年、22年3位。22年オレゴン世界陸上は準決勝進出。23年アジア大会5位。持ちタイムは日本歴代9位の13秒36。