関口雄飛 2019スーパーフォーミュラ第1戦鈴鹿 レースレポート

2019年5月1日(水)7時0分 AUTOSPORT web

2019年全日本スーパーフォーミュラ選手権開幕戦、鈴鹿
トップを激しく追い続けた関口雄飛は、無念のギヤトラブルでリタイアに泣く


 4月20日〜21日、三重県、鈴鹿サーキットにおいて全日本スーパーフォーミュラ選手権開幕戦が開催されました。昨年も最終戦までチャンピオン争いを繰り広げた関口雄飛は、今シーズン、ニューマシンSF19とともに王座を狙うべく、オフシーズンの合同テストやフィジカルトレーニングをこなし、万全の体制でシリーズ開幕戦を迎えました。
 
 今シーズンの全日本スーパーフォーミュラ選手権は、全車ニューマシンとなったことで、どのチームがいち早く最適なセットアップを見出すかが勝負の鍵となっています。シーズンオフのテストでは、いまひとつニューマシンを掴みきれていない状況に見えたITOCHU ENEX TEAM IMPULでしたが、トップチームのプライドを賭けて、開幕戦までにはデータを解析し、問題点を解決してくるはずです。そこは関口雄飛も心配はしていませんでした。
 
 金曜日のフリー走行から順調にセットアップを進めた関口雄飛は、総合2番手タイムをマーク。トップとの差も0秒079という僅差であり、予選へ向けての手ごたえを感じていました。
 
 土曜日の朝のフリー走行では決勝用のセットアップも確認し、アグレッシグに攻めて途中コースオフする場面もありましたが、最終的に3番手タイムをマーク。予選には自信を持って臨みました。
 
 しかし、予選は荒れに荒れた展開となりました。予選Q1で早めのアタックに出た関口雄飛でしたが、開始5分で赤旗が出されアタックラップを棒に振りました。そして予選再開後、またしても関口雄飛のアタック中に赤旗が出されます。さらに3度目の赤旗中断もあり、全車最後の5分間でアタック合戦となりました。
 
 関口雄飛はその最後のアタックラップですら前車がライン上でスロー走行をしたため失速。気を取り直して最後の最後にギリギリのアタックを披露。タイヤの美味しいところが終わってしまった状況のなか、1分38秒839でなんとか予選Q1を突破することができました。
 
 予選Q2は7番手タイムとなる1分37秒052で通過、予選Q3ではトヨタ勢最上位の5位となる1分36秒436をマーク。開幕戦を3列目スタートで迎えることとなりました。
 
 決勝当日、朝のフリー走行で決勝用セットアップに自信を持った関口雄飛は、決勝スタートにミディアムタイヤではなく、ソフトタイヤをチョイス。一気にスタートから勝負に出る作戦です。好スタートを決めた関口雄飛は、アウト側ギリギリからスタート直後にひとつポジションをアップ。3番手には僅かに届かず、まずは4番手から前をいくマシンを追います。
 
 そして前のマシンとの間隔を詰め、3周目の130Rで狙い済ましたようにアウト側からギリギリのラインで3番手のマシンをオーバーテイク。まさに関口雄飛の真骨頂のドライビングパフォーマンスをみせ、3番手へと浮上しました。7周目には前を行くマシンにスタート手順違反のペナルティが課され、労せずして2番手へ。圧倒的なペースで前のマシンを追う関口雄飛でしたが、9周目にアクシデントによるセーフティカーが出されたタイミングで首位を行くマシンとともにピットに入ってタイヤ交換と給油を済ませます。
 
 再び2番手でコースに復帰しようとした際にギヤが入らず失速。なんとか下り坂のピットロードを惰性で進みながら2速発進を試み、再スタートに成功しましたが、コースを1周している間に1速、2速、そして5速ギヤすら入らなくなり、レースを諦めピットに戻りました。関口雄飛にとって、勝利を期して臨んだ開幕戦でしたが、無念のノーポイントに終わりました。


■関口雄飛のコメント


「冬の間のテストではどうしてもバランスが悪く、思ったようなマシンに仕上がっていなかったのですが、オフの間にエンジニアと様々なデータ解析を重ねてきました。そして今回持ち込んできてくれたマシンは、金曜日の走りだしからバランスも良く、路面が良くなってきた状況のなかではミディアムタイヤにぴったりとマッチする感触でした。手ごたえは充分ありました」


「金曜日にはソフトタイヤを装着せずに走ったのですが、最後に試したかったセットでいまひとつのタイムしか出ず、原因をチェックしたらあるパーツが破損していたことが判明しました。それを試せなかったこと以外、金曜日はパーフェクトな1日だったと思います」


「土曜日の朝、ソフトタイヤを装着してテストした段階でフィーリング的には問題もなく、予選には自信を持って挑みました。しかし、赤旗の連続で、しかも自分にとって最悪のタイミングで赤旗が出るので、危うくQ1敗退の可能性もありましたね」


「最後の最後にライン上でスロー走行しているマシンがいたときは、もうダメかと思いましたが、タイヤのライフがギリギリだったので気を取り直してもう1回アタックして予選Q1を突破しました。あのラップのセクター1は最高の走りができたと思っています。自分のなかでは、まさに予選のハイライトでした」


「Q2、Q3も感触は良く、結果は5番手でしたが区間タイムでは自分が速いことも確認できたので手ごたえはありました。決勝朝のフリー走行も順調でしたし、ロングランのタイムも良かったので、最初にソフトタイヤを履いて早めの勝負に出るつもりでした」


「スタートから順調で、確実にトップを狙える位置でしたが、予想外のタイミングでセーフティカーが出てしまい、トップにあわせてピット作業に入ったのですが、僕のレースはそこまででした。再スタートでギヤが入らなくなって、冷静にいろいろ試してなんとか2速で発進はできたのですが、3速、4速ギヤしか使えなくなってしまい、勝負にならないのでピットに戻りました」


「悔しいですが、誰のせいでもないメカニカルトラブルなので、次のレースでこの悔しさを晴らすしかないです。気持ちを切り替え、頑張ります。応援、ありがとうございました」

関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)


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