インディカー第4戦アラバマ/グロージャンに勝利の女神は微笑まず、マクラフランが逆転勝利

2023年5月1日(月)13時16分 AUTOSPORT web

 4月30日に開催されたNTTインディカー・シリーズ第4戦アラバマの決勝レースは、スコット・マクラフラン(チーム・ペンスキー)が今季初勝利を飾った。


 シリーズ第4戦は今年最初の常設ロードコースでのレースだ。


 アメリカの深南部アラバマ州のバーミンガム郊外に造られたバーバー・モータースポーツパークがその舞台。全長2.3マイルのコースは高低差が24メートルもあり、アップ&ダウンが凄まじい上にコーナーのバラエティも豊富。


 マシン・セッティングをハイレベルなものに仕上げるのにはドライバーにもエンジニアにも高いスキルが要求される。


 予選でポールポジションを獲得したのはロマン・グロージャン(アンドレッティ・オートスポート)。開幕戦セント・ピーターズバーグに続く今季2度目のPPとなった。


 インディーカーにデイル・コイン・レーシングからデビューしたグロージャンは、2シーズン目にアンドレッティ・オートスポート入りした。DCRでコンビを組んでいたフランス人エンジニアを引き連れてのチーム移籍だった。


 そのエンジニア、オリビエ・ボアソンはインディカーの世界で極めて重要とされているショック・アブソーバーのノウハウに長けており、彼のノウハウとアンドレッティ・オートスポートの持つテクノロジーがマッチングされた2シーズン目に戦闘力アップがなされているようなのだ。


 しかし、今回はマシンの仕上がり具合で勝りながら、ピットストップ回数という作戦面でライバルの後塵を拝することとなった。
 

レースをリードするロマン・グロージャン(アンドレッティ・オートスポート)

 
 チーム・ペンスキーはエントリーする3台すべてに3ストップ作戦を採用。予選順位はスコット・マクラフランが4番手、ジョセフ・ニューガーデンが7番手、ウィル・パワーが11番手と決して悪くはなかったというのに、セオリー通りの2ストップではなく、過去にバーバー・モータースポーツパークで一度も成功したことのない3ストップで行くこととした。それが見事に当たり、マクラフランが今シーズン初優勝、キャリア4勝目を飾った。


 快晴で気温は摂氏21度。路面温度は40度以上まで上がっていたが、冷たい風が吹き、タイヤにとっては厳しくないコンディションで90周のレースは戦われた。


 グロージャンはポールスタートからリードを続け、30周で1回目、60周で2回目のピットストップを行った。キャリア初勝利がなる可能性はかなり高まっていた。


 しかし72周目、ターン5で少しラインがアウトに流れたグロージャンをマクラフランが抜き去った。グロージャンはその時点まででプッシュ・トゥ・パスをほぼ使い果たしており、ターン6へと続くストレートでそれを使ったマクラフランは悠々とトップを奪ってみせた。
 

逃げグロージャンに迫るマクラフラン

 
 残り18周でトップに復帰したマクラフランはグロージャンとの差を広げ、今季初勝利、キャリア4勝目へと逃げ切った。


 現在38歳、F1経験も長いものを持つグロージャンだが、今日のレースではニュージーランド出身の29歳、マクラフランの方がベテランのような戦いぶりで勝利をものにした。グロージャンはインディカーでのキャリア5回目となる2位を記録するにとどまった。


 マクラフランは今回がキャリア4勝目。グロージャンが初勝利に手を届かせることができない理由のひとつはアンドレッティ・オートスポートがチーム・ペンスキーに対して総合力で劣っているからだ。


 だが、開幕戦でのマクラフランとのトップ争いでのクラッシュや、高速オーバルであるテキサスでの第2戦におけるクラッシュを見ると、グロージャンというドライバーにはレースを俯瞰し、望み得る最良の結果を掴み取る力が不足しているようだ。目指す成績=優勝を飾るためにはチームの導きが必要なようだ。


 グロージャンは自身の2回目のピットストップの後にプッシュ・トゥ・パスを大量投下してトップの維持に努めた……ように見えていたが、マシンの電気系にトラブルが発生していたのかもしれない。


「99秒あると思っていたプッシュ・トゥ・パスが突然ゼロになった」とレース後に彼は話していた。そんな事態となったのは、グロージャンの誤操作によるものだったかもしれない。


「バーバーで3ストップが成功した例はない。今回が初めてだ。我々と同じ2ストップ作戦で戦った中のベストは20秒も遅れてのゴールだった。自分たちのマシンは素晴らしく、ドライビングも良く、100パーセントの力を注ぎ込んだが、フルコースコーションの出たタイミングが不運だった」


「全力を尽くしたが、勝者はマクラフラン。彼はそれに値する素晴らしい走りをしていた。勝利のドアをノックし続け、今回は5回目の2位。これからも諦めることなくノックをし続ける。そうすれば扉は必ず開かれるはずだ」とグロージャンは笑った。
 

健闘を称えるマクラフランとグロージャン

 
 優勝したマクラフランは、「燃費セーブに苦労する2ストップじゃなく、思い切りプッシュする走りの続けられる3ストップ作戦で戦うことができて楽しかった。3ストップ作戦で行く。それはチームが決めたことで、自分はチームの力を信じ、走ることに徹した。こうして勝つことができて本当に嬉しい」と話していた。


 チーム・ペンスキーはエントリーしている3台すべてに3ストップ作戦を採用させた。3台もいるので、別々の作戦を敢えて採らせることもある彼らだが、今日は全員に3ストップをさせた。必ずやそれが有利に繋がるとの確信を持っていたということだ。


 1ラップ目に他車と接触したためか、ジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)だけはレース終盤にペースダウンして15位でのゴールとなったが、マクラフランが優勝し、ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)は3位でゴールした。


 パワーは最初のスティントのみブラックで走り、残り3スティントはレッドを連続投入。11番手スタートながら3位でゴールする大活躍を見せた。
 

3位表彰台を獲得したウィル・パワー(チーム・ペンスキー)

 
 4位は2ストップのパト・オワード(アロウ・マクラーレン)=予選3位。5位は予選2位だったアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)で、こちらも2ストップ。6位は予選も6位だったクリスチャン・ルンガー(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)のものとなった。彼も2ストップだった。


 2023年シーズン17戦の4戦が終わり、ポイントリーダーはエリクソンの130ポイント。2位はオワードで127ポイント、3位はパロウで121ポイント、4位が今日のウイナーであるマクラフランで119ポイント。5位が2戦連続2位のグロージャンで115ポイント。


 次戦は、インディアナポリス・モータースピードウェイのロードコースで開催され、そしていよいよインディ500へと突入していく。

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