インディカー第3戦:ルーキーのマクラフランを抑え、ディクソンが得意のテキサスで今季初勝利

2021年5月2日(日)16時37分 AUTOSPORT web

 2021年NTTインディカーシリーズ第3戦ジェネシス300ではスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)が勝利を飾った。


気温22度というテキサスとしては涼しいコンディション下、観客席、インフィールドともにファンを迎え入れてレースは開催され、心配されていた雨が落ちてくることもなく、フルディスタンス212周のレースが争われた。


 昨年は開幕戦としての開催だったテキサス・モータースピードウェイのオーバルレース。ディクソンは200周のうちの157周をリードして優勝。今年は212周のうちの206周をリードしての勝利した。

インディカー第3戦テキサス/スタート


 ディクソンがトップに出たのは3周目だった。スタートでウィル・パワー(チーム・ペンスキー)を出し抜き、次には後輩チームメイトからトップの座をあっさり奪い取った。


 その後のディクソンに敵はいなかった。危ういというシーンはとうとう見られなかった。彼の横に並びかけるチャンスを作れた者はゼロ。


 最後にスコット・マクラフラン(チーム・ペンスキー)が接近したが、ディクソンとすれば彼との差を広げるペースを保ち続けると周回遅れに追いついてしまい、それが厄介な事態を招く可能性もある……とペースをコントロールしていたように見えた。


 マクラフランは近づくことはできたが、優勝を狙ったアタックができるだけの距離まで詰めることはできなかった。ディクソンはそんな隙を一切与えなかった。ゴールでのふたりの差は0.2646秒。僅差だが、ディクソンがコントロールした結果のゴールシーンだった。


 ディクソンが勝てば記録の話になる。


 まず、これでテキサスは5勝目。エリオ・カストロネベスと4勝で並んでいたが、優勝回数で単独トップに躍り出た。


 そして、通算51勝目。インディカー史上2番目のマリオ・アンドレッティの52勝にあと1勝と迫った。


 1シーズンに少なくとも1勝という記録は19シーズン目になった。伝説のドライバー=AJ・フォイトと18シーズンで並んでいたが、ディクソンはフォイト御大を抜き去り、史上初めて19の異なるシーズンで勝利を記録したドライバーとなった。

レースをリードするスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)


 これまでにディクソンがテキサスで優勝したのは2008年、2015年、2018年、そして2020年。これらの年すべて、彼はシリーズチャンピオンに輝いている。


 今日の勝利で2021年もまたチャンピオンに輝く可能性が高いということだ。


 実際、今日の勝利で彼は早くもポイントリーダーの座に躍り出た。17戦のシーズンの3戦が終わったばかりであまりにも気が早いが、もしそうなったらディクソンのタイトル獲得数は7回になり、こちらでもフォイトを上回っての史上最多、単独トップになる。


 AJのインディカー史上最多勝=67勝にまで手を届かせるのにはまだまだ時間がかかるだろうし、それは最終的に達成できないかもしれないが、マリオを抜いての歴代2位には今シーズン中になる勢いが感じられる。


 マクラフランの2位も素晴らしい結果だ。初オーバルで表彰台。優勝まであと一歩だった……と表現することは可能だ。その一歩の差が実はかなり大きなものであったのも確かだが。


「2位でここまで嬉しいって感じたことはないと思う。ディクソンに立ち向かえるだけのものは持っていなかったが、今日レースにはとても感激している。自分のヒーローのひとりとバトルできたし、ニュージーランド人によるワン・ツーになったんだから最高だ」とマクラフランは話した。


 1回目のイエロー発生時にステイアウトしていた幸運と、2回目のピットストップを早めに行った作戦がパーフェクトだった。マシンも良かったのだろうが、誰もがタイヤの摩耗に苦しんだ中、オーバル経験のない彼がレースを通してハイペースを保ち続けたことは高評価に値する。

初オーバル戦で2位を獲得したスコット・マクラフラン(チーム・ペンスキー)


 3位パト・オーワード(アロウ・マクラーレンSP)。今季初表彰台だ。セバスチャン・ブルデー(AJフォイト・エンタープライゼス)のアクシデントで出たフルコースコーション直前にピットインしていたために17番手まで順位を下げていたが、セカンド・スティントを短くする“アンダーカット”で失地を大幅に挽回。


 全員がピットストップ2回以上となった時には5番手にまで浮上していた。マシンの仕上がり、走り、タイヤのマネジメント、すべてが高いレベルにあり、今回はアロウ・マクラーレンSPの作戦もプラスに作用していた。


 グラハム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は13番手スタートから5位フィニッシュ。得意のテキサスで“乗れて”いた。コース上でのオーバーテイクシーンも数多く実現していた。

ピットアウトするパト・オワード(アロウ・マクラーレンSP)

 チームメイトの佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、12番手スタートから9位でゴールした。


 2レース連続のトップ10フィニッシュだが、もっと上位でのフィニッシュも作戦次第では可能だった。


「1回めのイエローがピットに入ってすぐ出たのは不運でしたが、自分たちのタイヤは摩耗していたし、仕方がなかったと思います。あのイエローが終わる前、燃料を追加で満タンにするためのピットインをしましたが、そちらは無駄でしたね。燃料を増やしたことで左フロントタイヤに対する負担が大きくなってしまった」と琢磨は振り返った。


 明日のレースは、今日のシーズン第3戦終了時点でのポイントスタンディングが基準になる。ポールポジションはディクソン、その外側はパロウ。ガナッシ・ホンダのフロントロウとなる。琢磨は今日よりひとつ前の11番手スタートだ。

2戦連続トップ10フィニッシュを果たした佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)

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