川崎F 大胆采配で585億円軍団撃破 「ゲームで使っていた」C・ロナウドを泣かせるJ初の快挙
2025年5月2日(金)1時30分 スポーツニッポン
◇ACLE準決勝 川崎F3−2アルナスル(2025年4月30日 ジッダ)
川崎Fがポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウド(40)を擁するアルナスル(サウジアラビア)を3—2で下し、初の決勝進出を決めた。完全アウェーの中、予算規模で大差がある強敵を相手に日本代表DF高井幸大(20)らが奮闘し、日本のクラブとして初めてC・ロナウドを無得点に封じて勝利を挙げた。アジア王者を懸けた決勝は3日午後7時半(日本時間4日午前1時半)、アルアハリ(サウジアラビア)と激突する。
終了の笛にベンチから一斉に選手が飛び出した。完全アウェーの敵地は沈黙し、長谷部監督はベンチ前でガッツポーズ。11度目の挑戦で初めて4強入りした川崎Fが、ファイナルまで駆け上がった。高井は「全員の力。個の部分は負けていたが、日本のチームらしく組織的に戦えた」と胸を張った。チーム唯一の日本代表が仲間とともにC・ロナウドを封じ込んだ。
中3日のアルナスルに対し、中2日で迎えた一戦。大胆な采配でプロ初先発となった19歳FW神田と今季2度目の先発だった20歳MF大関が、前半は豊富な運動量で相手中盤の起点となるブロゾビッチの動きを制限。高井は前半34分に空中戦で敗れ、C・ロナウドにクロスバー直撃のシュートを許すも2分後には修正して完勝。1点差と迫られた後半アディショナルタイムにはFKも含めて4本のシュートを浴びながら、守備陣がことごとく体を張って止めた。
23年度のチーム人件費が32億8700万円と開示されている川崎Fに対し、相手は選手の年俸総額だけで3億5857万ユーロ(約585億円)と報じられている。かけ離れた予算規模はもちろん、高井にとってC・ロナウドは「ゲームで使っていた選手」と雲の上の存在だ。それでも適応能力の高さを発揮し、過去、Jクラブとの公式戦で3戦全勝5得点だった相手を無得点に封じ「自信になった」と手応えを口にした。
悲願のアジア制覇まであと1勝。試合後、C・ロナウドの流した涙を見ればタイトルの偉大さが分かる。決勝も相手より試合間隔が1日短い中2日、完全アウェーが予想されるが、20歳の成長株は「ここまで来たら気持ちだけ」とどこまでも力強かった。
≪期待応えた伊藤先制弾&大関勝ち越し弾≫
先発5人を入れ替えた一戦で抜てきされた伊藤と大関の両MFがともにチャンスをつかんで2得点に絡んだ。前半10分に大関が起点となった好機で高く上がったこぼれ球を伊藤が先制の右ボレー弾。1—1の同41分には伊藤のシュートがこぼれたところを大関が左足ダイレクトで蹴り込んだ。前日練習で同じようなシュートの感覚が良かったという伊藤は「肩の力が抜けていた」と笑顔。大関も「いい時間帯で取れた」と満足げだった。
▽C・ロナウドの対日本勢 マンチェスターU時代の08年クラブW杯準決勝でG大阪と対戦し1得点で5—3の勝利に貢献。Rマドリード時代の16年同決勝では鹿島相手にハットトリックで優勝に導いた。横浜Mを4—1で破った今季ACLE準々決勝では1得点。