井上尚弥にどう挑む? 最強の怪物にカルデナス陣営が描く“青写真”「勝つためには、手数で勝負するしかない」

2025年5月3日(土)5時30分 ココカラネクスト

井上との一大決戦に挑むカルデナス。写真提供:Prime Video、NAOKI FUKUDA

「弱点を何度も言い聞かせることはカギだ」

「大げさに聞こえるかもしれないが、イノウエはボクシング界にとってのショウヘイ・オオタニである。対戦相手を圧倒しての4階級制覇に、2階級での4団体統一、そしてESPNのパウンド・フォー・パウンド・ランキングでヘビー級王者オレクサンドル・ウシクに次ぐ2位となるまで、相手を破壊してきた日本が生んだ素晴らしい才能だ」

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 これは米国内で最大級のネットワークを誇るスポーツ専門局『ESPN』が、世界スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(大橋)に向けた称賛の言葉。国際的に名の知れた二刀流スターを引き合いに出し、評するあたりに「モンスター」の凄みが垣間見える。

 ボクシングの本場でこれほど揺るぎない評価を受けるのは、井上の強さがどれほど規格外なのかを如実に物語ると言っていい。29戦無敗(26KO)と文字通り敵なしでキャリアを歩んできた32歳は、来る5月4日に米ラスベガスのT-モバイルアリーナで、WBA世界同級1位ラモン・カルデナス(米国)との防衛戦に行うが、やはりここでの下馬評も「勝利」あるいは「圧勝」が世間の大半を占めている。

 では、敵陣営はそれほど強大な相手とどう対峙するのか。かくいうカルデナスもキャリア27戦26勝1敗(14KO)という好戦績を収めてきたわけだが、相手は当代屈指と言われる“怪物”。一筋縄ではいかない。

「一番大事になるのは、イノウエに対して集中力を切らさないことだ」

 そう語るのは、カルデナスを指導するジョエル・ディアス氏だ。元世界2階級制覇王者ティモシー・ブラッドリー氏などを鍛え上げてきた名トレーナーは、米YouTubeチャンネル『Red Glove News』で、対井上に対する構想の一端を明かしている。

「彼自身(カルデナス)が自分の弱点を何度も言い聞かせることはカギだ。なぜならラモンは、自信を持っているからか、試合中に無防備になる時があるんだ。リングに上がった時に瞬間的にリラックスしすぎてしまう時があって、それが本当に良くない。だから私は、『リングの中でリラックスしすぎるな。頭を使って、攻撃も、守りも、意識しろ』と伝えている」

 井上を倒すのは、当然ながらハイレベルな攻防に対応し続ける必要がある。仮に少しでも綻びが生じれば、刹那的にモンスターの餌食となる。ゆえに「集中力を保ち続けること」を試合のキーファクターの一つにディアス氏は上げた。

万が一にも隙を見せては…

 無論、井上戦実現までたどり着いたカルデナスのポテンシャルを軽んじるわけではない。ディアス氏は「ラモンにはパワーがある」とも指摘。“地獄のパンチ”の異名を持つメキシコ系アメリカ人の力を認めている。

 だからこそ、だ。井上に対して万が一にも“隙”を見せてはいけないと気を引き締める。

「取り組んできたキャンプでラモンは大きく変わった。イノウエのスタイルに合わせるためにね。彼に勝つためには、ある程度は手数で勝負するしかない。KOできないならなおさらだ。イノウエは常にパンチを出し続ける。だからラモンにも『手数で負けるな。そして、ただ出すだけじゃなくて、効果的に当てろ』と教えてきた」

 さらに「試合に向けてプランAだけじゃなくて、プランB、プランCと用意している」と公言したディアス氏は、序盤戦が肝になると続けている。

「最初の打ち合いで状況は大きく変わると思う。二人が向かい合ってパンチを交わした瞬間から展開は変わるはずだ。こちらもイノウエの優れた武器に合わせながら、戦い方や作戦を変えざるを得なくなると思う。まるでチェスの試合のように、駆け引きが必要になる。最後はより頭を使った方が勝つよ」

 井上自身も「一瞬の油断だけは気を付けたいと思います」と気を引き締める一戦は、果たしていかなる決着を見るのか。運命のゴングの瞬間は刻一刻と迫っている。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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