【クラシコプレビュー】イニエスタの有終の美が懸かるバルサと欧州王座を狙うレアルが激突

2018年5月4日(金)19時0分 サッカーキング

リーガを制したバルサか? CL王者を目指すレアルか? 今季最後のクラシコがいよいよ開催される [写真]=Getty Images

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 バルセロナが2シーズン振り25度目の優勝を決め、レアル・マドリードの10シーズン振りの連覇を阻止したリーガ・エスパニョーラ。タイトル決定から間髪を容れず、新旧王者が激突する伝統の一戦“エル・クラシコ”が、現地6日にカンプ・ノウで行われる。

 今シーズンも残すところ5試合となった両チーム。26勝8分と黒星を味わずに首位に居座り続けて来たバルセロナは、86シーズン振りとなる無敗優勝を達成できるかが、残り試合での焦点となる。一方、21勝8分5敗の3位に甘んじているレアル・マドリードだが、チャンピオンズリーグ(CL)のグループステージにストレートインできる4位以内が確定しているため、順位的な興味が失われている感は否めない。

 両チームのコンディションだが、メンタル面に関しては、コパ・デル・レイとの2冠を達成したバルセロナも、3連覇を狙うCLで1カ月後の決勝に駒を進めたレアル・マドリードも、チームとして勢いを増すのか、それとも反動となって出るのかが気になるところだ。一方、フィジカル面に関しては、前節から中6日のバルセロナの方が、CL準決勝2ndレグから中4日のレアル・マドリードよりも有利となる。

 また、起用できるメンバーに関しても、トップチームの全選手が出場可能なバルセロナの方が、不動の右サイドバックのDFダニエル・カルバハルが故障により欠場するレアル・マドリードよりも順調と言える。その一方で、レギュラーと控えの差が大きいバルセロナよりも、どのような布陣を採用しても決定的な仕事ができる選手がベンチに控えるレアル・マドリードの方が、状況を変えるためのカードは多い。

 スタメンの11人で勝負を決めたいバルセロナとしては、カルバハルの不在を上手く突きながら、優位に攻撃を進めたい。対するレアル・マドリードは、安定感のあるDFナチョ・フェルナンデスの回復が間に合わず、経験不足が否めないDFアクラフ・ハキミが右サイドバックを務める場合、大きな不安を抱えることになる。一方、反対側のサイドは、バルセロナのDFセルジ・ロベルトもレアル・マドリードのDFマルセロも、守備力よりも攻撃力に優れた選手なので、双方とも長所で短所を覆い隠す展開に持ち込みたい。複数のシステムを使い分けられる両チームだが、4‐4‐2を基本とするバルセロナはサイドハーフを中心に、4‐3‐3を基本とするレアル・マドリードはウィングを中心に、どれだけサイドバックを助けられるかが重要となる。

イニエスタの最後の“エル・クラシコ”を最高の形で締めくくれるか

 バルセロナが敵地サンティアゴ・ベルナベウで3‐0と快勝した前半戦の対戦では、レアル・マドリードがMFマテオ・コヴァチッチを相手のエースであるFWリオネル・メッシのマンマークに付けたもの、それを逆手に取られて痛恨の失点を喫した。冬の移籍市場で加入したMFフィリペ・コウチーニョがレギュラーに定着したバルセロナは、エルネスト・バルベルデ監督が重要な試合ではスタメンを固定しているだけに、対照的に変化に富むレアル・マドリードがどのような布陣や戦略を採用してくるのか、ジネディーヌ・ジダン監督の采配に注目が集まる。

 リーグ戦での最近6度の直接対決では4勝1分1敗とレアル・マドリードを圧倒しているバルセロナだが、アウェイでは3戦全勝と完璧な成績を残しているのに対し、ホームでは1勝1分1敗と苦戦している。これは自らのボールポゼッションが高まることにより、逆に相手のカウンターが生きる形になっていることが要因にある。それゆえ、バルセロナは相手を焦れさせるほど辛抱強くプレーできるか、レアル・マドリードは相手の一瞬の隙を見逃さずに戦えるかが、勝負の鍵を握りそうだ。

 一方、リーグのタイトル争いが決したことで、個人記録への注目も高まる両チームにとって、今回の直接対決は得点王争いの行方を占う一戦となる。バルセロナは32ゴールで得点ランキング首位を走るメッシに23ゴールで同3位のFWルイス・スアレスを、レアル・マドリードは24ゴールで同2位のFWクリスティアーノ・ロナウドをそれぞれ抱えている。メッシが2シーズン連続のピチーチ(得点王のタイトル)を大きく引き寄せるのか、ロナウドとスアレスが追いすがるのか、世界的ストライカー3人によるゴールの競演にも期待が掛かる。

 とはいえ、今回の対戦で誰よりも多くの視線を集めるのは、今シーズン一杯でバルセロナを退団することを表明したMFアンドレス・イニエスタだろう。カンテラ時代から22年間過ごして来たクラブでの最後の“エル・クラシコ”を最高の形で締めくくるのは、本人だけでなくクラブやサポーターの総意でもあるだけに、スタジアムがどのような雰囲気に包まれるかも必見だ。

 これら背景からして、チームの無敗記録やイニエスタの有終の美が懸かるバルセロナが、一般的には主役として扱われることになるだろう。反対に、入場時に花道を作って新王者を迎える“パシージョ”を行わないことをジダン監督が明言しているレアル・マドリードは、あえてヒール役を演じて宿敵の前に立ちはだかりたい。精神的要素が色濃く反映される伝統の一戦だが、今回は永遠のライバル同士にしか醸し出せない独特の熱気や妖気がいつにも増して味わえそうだ。

サッカーキング

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