阪神・デュプランティエ “最高の景色”を体感 忘れられないメジャー初Sに負けない甲子園での初勝利
2025年5月4日(日)5時15分 スポーツニッポン
◇セ・リーグ 阪神7—1ヤクルト(2025年5月3日 甲子園)
阪神・デュプランティエの脳裏に、新たな“最高の景色”が加わった。6回4安打無失点で来日初勝利。「相手は三振を取りに来るという考えの中で、ゴロを取りに行った」。試合前の時点で奪三振率14・06を誇っていた男が、裏をかく投球でゴロアウトを9個奪った。
「あれは人生の中でも、間違いなく最高の瞬間だったんだ」
右腕は「忘れられない試合」を問われると6年前を思い返した。メジャーデビューした19年4月1日のパドレス戦。マイナーで開幕した右腕が昇格を知らされたのは、試合開始の36時間前だった。
「“3時間後に飛行機に乗ってくれ”と言われてね。野球道具が届いたのは試合が始まる15分前だったんだ(笑い)。ブルペンでもずっと緊張していた」。落ち着きのない姿を見かねた同僚が、緊張を和らげてくれた。
「ブルペンの先輩たちが“大丈夫だ”と声をかけてくれたんだ」。先発で同じくメジャデビューを果たしたメリル・ケリーからバトンを受けて7回に登板した。外野スタンドの下にあるブルペンから小さな扉を開けてグラウンドに出ると、“世界”が変わった。
「球場に出た瞬間がすごかった。全体を見わたすことができて、一番感動した。正直ピッチングの内容は覚えてないけど…気づいたら最後のアウトを取っていてキャッチャーと握手をして、みんなとハグをしたのを覚えている」。3回零封で試合を締め、メジャー初セーブ。加えて、初勝利のケリーと合わせてデビュー戦の2選手が同日に白星とセーブをマークする史上初の記録をつくった。
「4月1日のサンディエゴは、今までで一番の天気で、パーフェクトだったよ」
この日は2回の第1打席で中前に来日初安打も放った。試合後は勝利記念球を手にお立ち台に上がり、大観衆から祝福を受けた。「5月3日の甲子園」もまた、助っ人右腕にとって最高の景色となった。(遠藤 礼)