ライバル球団のエース、主力が証言。丸佳浩を加えた巨人打線の危険度

5月8日(水)7時37分 Sportiva

 巨人の”FA補強”にはいつも賛否の声が沸きあがる。

 昨年オフ、巨人はFAとなった広島・丸佳浩と5年総額25億5000万円(推定)という大型契約を交わした。果たして開幕から1カ月が経過し、ライバルたちの声を聞けば、巨人の丸獲得は大正解だったようである。


堅実なバッティングで巨人打線を牽引する丸佳浩

 丸は3月29日からの開幕カードで、いきなり古巣・広島とマツダスタジアムで対戦。開幕投手を務めた広島のエース・大瀬良大地は「丸さんが対戦カードのキーマンだと思っています」と言った。

「とくにマツダスタジアムでの対戦となると、どうしても雰囲気が変わりますし、そこで抑えることができれば球場は盛り上がり、チームに勢いが生まれます。逆に打たれたら、巨人に流れがいってしまう。そういった意味で、普段とはまた違った緊張感を持ってマウンドに上がりました」

 この試合、大瀬良は8回を無失点に抑えて勝利投手となった。そして丸からは4三振を奪ってみせた。だが、丸が加わった巨人打線の圧力はマウンドで感じたと言う。

「去年までの巨人打線と比較すれば、丸さんが入ったことでしんどいというか、神経をすごく使います。今は2番に座ることが多いですが、長打もありますし、状況に応じたバッティングがすごくできるので、こちらとしてはケース・バイ・ケースのバッティングを考えながら、一発も気をつけないといけない。本当にいろんなことを考えてマウンドに立たないといけないと思っています。

 丸さんからは4つ三振を奪いましたけど、僕のなかでは参考程度のデータでしかありません。シーズンは長いですし、これからが本格的な対戦になると思っています。丸さんが本当の力を発揮してくるのは対戦を重ねてからですし、僕もいろんなデータを準備して、気を抜かずに勝負していきたいですね」

 野村祐輔(広島)は、4月17日に熊本で巨人と対戦し、6回2失点と好投した。その野村に今年の巨人に打線について聞いた。

「すごくいい打線だと思います(笑)。打率の高い選手が多く並んでいるので、やっぱりストレスがかかりますね。(丸と)対戦してみて、あらためて勝負強いバッターなんだと思いました。その試合でも大事な場面でホームラン(8回に勝ち越しとなるホームラン。その後、チームは逆転負け)を打っていますし」

 広島の正捕手・會澤翼は「”丸効果”が随所に出ているのかなと感じますね」と話した。

「ここまで打率を残しているバッターがたくさんいますからね。丸は塁にいることが多く、しかも足もある。クリーンアップを迎えた時、打者だけでなく走者にも気を遣わないといけない。そうした相乗効果が、今年の巨人打線に生まれているんじゃないかと思っています。坂本(勇人)選手と丸が並ぶことでのストレスはもちろんあります。お互い出塁率が高く、しかも右と左ですからね。坂本選手も丸が入ったことで、いろんな効果が出てきているんじゃないでしょうか」

 ゲームの勝敗を左右する場面での登板が多い中継ぎ投手たちは、丸のいる巨人打線にどんな印象を抱いているのか。DeNAの三嶋一輝は今シーズン、ここまで丸と2度対戦があり、1打数1安打(1四球)と苦しめられている。

「丸さんに対しては、広島に在籍している時から、試合前ミーティングはすごくしていましたし……春のキャンプからずっと気になっていました。厳しいところを攻めないといけないのですが、ボール球に手を出すことが少ないですし、本当に神経を使います。とくに接戦の場面では、丸さんにしょっちゅう四球を出してしまっているので、それだけに嫌な感じがあるんです」

 三嶋は「誰でも丸さんと対戦するのは嫌ですよ」と言いながら、「だからといって逃げたくない」と続けた。

「僕らはああいう選手を抑えないとメシが食えないので……たとえば、自分が登板した時に丸さんとの対戦がないことを『ラッキー』と思っているようじゃリリーフとして失格だと思っています」

 一方、今年の巨人打線を野手はどう見ているのか。DeNAの大和に聞いてみた。

「もともと選手層が厚かったところに丸選手が加わり、より厚みが出ましたよね。2番に入っている時の丸選手は、守っていて少し嫌なイメージがあります。長打があるし、何でもできますからね」

 現在、首位の巨人を追いかけるヤクルトの選手たちにも聞いた。エースの小川泰弘は次のように語る。

「丸さんが入ったことで、単純に打線としての分厚さを感じました。去年までクリーンアップだった選手が下位にいたりしますからね。丸さんは2年連続リーグMVPの選手ですし、選球眼もよく、長打もあり、つなぐバッティングもできる。今まで”分断”できていたものが、なかなか難しくなってきたなという印象です。もちろんストレスは感じますが、そのことで気持ち的に引いてしまったら、それこそ相手のペースですからね。自分のピッチングスタイルである大胆かつ慎重に……その姿勢を崩さなければ結果はついてくると思っています」

 今シーズンの飛躍が期待される原樹理は「シンプルに、2年連続MVPの選手が巨人打線に加わったということですよね。僕もそうですが、ほかのチームも苦労していますよ」と苦笑いした。

「すごいのは丸さんだけじゃなくて、ビヤヌエバ選手も打ちますし、岡本(和真)選手もいて、さらに亀井(善行)さんもいる。なにより、坂本さんと丸さんの並びはストレスですよね。でも、すごい打線だからこそ粘りのピッチングをするしかないのかなと。ゼロに抑えることがベストですが、失点したとしてもいかに最少失点で粘れるか。打線として考えず、ひとりひとりしっかり打ち取っていくイメージです。この前の試合(4月23日)では負けてしまいましたが、連打がなかったので6回を3失点に抑えられたのかなと。巨人打線に限らず、今年はどのチームも打ちますからね。ランナーをためてからのホームランを最もケアしています。丁寧に低めに投げて、時には高めに強くですね」

 今シーズン、ここまでヤクルトは巨人と6試合対戦し、3勝3敗と互角の勝負を繰り広げている。正捕手の中村悠平は、今シーズンの巨人戦についてどんな印象を持っているのか。

「やっぱり嫌ですよ。坂本さんと丸さんが並ぶケースが多いので、よーいドンで2点取られる可能性もある。それに下位打線をしっかり抑えないと、ピンチで坂本さん、丸さんに回ってしまう。非常に厄介ですよね。とはいえ、そこまで気にしてしまうとダメなので、ひとりひとりを打ち取っていくしかない。そのことを今までよりも強く意識してやっています」

 ベンチで戦況を見守るコーチたちはどうか。ヤクルトの衣川篤史バッテリーコーチは次のように語る。

「坂本と丸が引っ付いていることが厄介ですよね。丸が入ったことで、坂本にそこまで厳しくいけなくなってしまった。この前の2試合(4月23、24日)でやられたのも、下位をしっかり抑えられなかったことで、坂本と丸をストレスのかかる状態で迎えてしまいました。それが大量失点に結びついてしまって。

 結局、あのふたりは打率を残せて、長打もあり、走ろうと思えば足も使える。一塁に出たら”各駅停車”じゃない。隙を見せれば動いてきますし、打線が活性化しています。1番だった吉川尚輝が戻ってきた時に打順がどうなるかわかりませんが、大事なのはふたりの前後をしっかり抑えることです。点を失っても1、2点であれば、ウチの打線ならなんとかしてくれますから」

 広島時代から丸を知る石井琢朗打撃コーチの見解はこうだ。

「ざっくり言ってしまえば、丸ひとりが入ったことでチームに厚みが増したかなと。それは”大砲”が加入した感じとは違います。丸が入ったことでベンチに下がる人が出る。それがベンチの厚みになりますし、また前後を打つバッターがすごく生かされているというか、救われているという気がします。

坂本に関しても、これまでは”点”でマークすればよかったのですが、”線”で警戒しないといけなくなっている。去年までは、一発でなければヒットはOKという考えもあったのですが、丸が入ったことで『ヒットで出しちゃうとつながるぞ』と。それが今の巨人打線かなという気がしますね。原(辰徳)監督になって選手の使い方もそうですが、活発に動いている印象があります。まあ、いちばんはそこなんじゃないですかね(笑)」

 どうやら”丸効果”は、想像以上に相手チームに厄介な印象を与えているようである。とはいえ、このまま好き勝手にやられるわけにはいかない。今後、丸が加わった巨人打線をどのように抑えていくのか。5球団の意地に期待したい。

Sportiva

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