今季限りで去り行くホールデンが、ナイトレースで通算600勝のメモリアルウインを達成/RSC第4戦

2022年5月9日(月)13時31分 AUTOSPORT web

 オーストラリア西部、パース近郊に位置するワネルー・レースウェイで争われたRSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップ第4戦『バニングス・トレード・パース・スーパーナイト』は、昨季2度目の戴冠を果たしたレッドブル・アンポル・レーシングのディフェンディングチャンピオン“SVG”ことシェーン-ヴァン・ギズバーゲン(トリプルエイト・レースエンジニアリング/ホールデン・コモドアZB)がオープニングヒートを制覇。


 これによりホールデンはATCC(オーストラリアン・ツーリングカー選手権)時代を含むシリーズ通算600勝のメモリアルウインを達成し、2022年限りでその幕を閉じるとともに、来季は新車両規定のもと『シボレー・カマロZL1スーパーカー』にその座を引き継ぐブランドにとって記念すべき1戦となった。


 RSCとしても、長きに渡って続いた州境封鎖など人流抑制措置の影響等で、4月30〜5月1日の週末にひさびさの開催となったパースでのイベントは、レースウイークを前に開催されたファン交流イベントから大盛況の人手となり、今シーズン初開催のナイトレースに向けボルテージが高まる雰囲気が続いた。


 そんななか土曜オープニングヒートに向けた予選では、今季ここまで未勝利の続くフォード陣営が奮起し、キャメロン・ウォーターズ(ティックフォード・レーシング/フォード・マスタング)を0.1082秒差で降した、シェルVパワー・マスタングのアントン・デ・パスカーレ(ディック・ジョンソン・レーシング/フォード・マスタング)が「このトラックで限界を極めようと猛烈にプッシュした甲斐があった。でも、あのタイトな差を見たかい? ここにいる誰もが、僕らのような良いラップを刻んだっていうことさ」と、僅差ながらもポールポジションを確保。王者SVGは、首位からコンマ2秒差の2列目3番手から逆襲を期す構図となった。


 現地時間午後18時40分にスタートが切られた150kmのナイトスプリントは、パスカーレとウォーターズのマスタング編隊がレース序盤から支配権を握り続けると、背後に控えたトリプルエイトのエースは異なるピット戦略を選択し、レース終盤に向けよりフレッシュなタイヤを装着するオーバーカットを敢行。


 32周目にニュータイヤを得たSVGは、そのわずか2周後にウォーターズを。そして残り12周の時点でパスカーレも仕留めると、36周目にはファステスト更新のオマケ付きで2.308秒差のトップチェッカーをくぐり、早くも今季7勝目を飾るとともに、キャリア通算61勝目にしてパースでの初勝利を手にした。

ひさびさのパースでは、今シーズン初開催のナイトレースに向けボルテージが高まる雰囲気が続いた
レース1のポールシッターとして隊列を牽引したShell V-Powerマスタング、アントン・デ・パスカーレ(Dick Johnson Racing/フォード・マスタング)
レース終盤に向けオーバーカットを敢行したシェーン-ヴァン・ギズバーゲン(Triple Eight Race Engineering/ホールデン・コモドアZB)が、キャリア通算61勝目にしてパースでの初勝利を手にした
レース2で大クラッシュを喫し、赤旗の起因となったスコット・パイ(Team 18/ホールデン・コモドアZB)。チームにとっても「最悪の週末」に


■フォード勢が早めにピットに入ったことに「驚いた」と王者SVG


「ありがとう、素晴らしいクルマをドライブするのは本当に楽しいね。これまではここで最高の走りができたわけじゃないが、僕自身はいつもこのイベントを楽しんできた」と喜びを語ったチャンピオン。


「前を行く2台のフォードはスタートからとても速かった。だから、引き離されていく僕の方は『優勝争いからは脱落だな』と感じていたんだ。それだけに、彼らが早めにピットへ向かったときには驚いたよ」


「もはや僕ら(ブランド消滅のホールデン)に未来はないけれど、ゼネラルモーターズのために記念すべき勝利を挙げられたのはクールだ。僕ら(トリプルエイト)がその大役を果たせたことも含めてね」と、驚くべきことにホールデンの450回、500回、550回、そして600回目の勝利も収めているSVG。


■赤旗中断を挟んだレース2は、フォード・マスタングが今季初勝利


 明けた日曜午前は残る2ヒートに向けた予選でウィル・デイビソン(ディック・ジョンソン・レーシング/フォード・マスタング)とSVGが最前列を分け合うと、レース2ではスコット・パイ(チーム18/ホールデン・コモドアZB)がジャック・ルブローク(マット・ストーン・レーシング/ホールデン・コモドアZB)との攻防で押し出され激しくウォールにヒット。バリア修復の必要性からレッドフラッグに発展する。


 長い中断ののちに再開されたレースは、首位ウォーターズとデイビソンの一騎打ちに。お互い接触しながらも続いた勝負は、古いピットエントリーの一部を使用して首位を守り、デイビソンの進路を妨害したとしてウォーターズに5秒加算のペナルティが課される展開に。


 その後のセーフティカー出動にも阻まれた6号車のモンスターエナジー・マスタングは、トップチェッカーながら優勝へのマージンを稼ぐことができず、最終結果は4位が精一杯に。結果、デイビソンが2022年のフォード陣営初勝利を手にし、2位に続いたパスカーレとともにDJRがワン・ツー・フィニッシュを飾っている。


 そして同じくデイライト・レースとなった最終ヒートは、首位発進のSVGを出し抜き、アンダーカットで首位浮上を果たしたジェームス・コートニー(ティックフォード・レーシング/フォード・マスタング)が気を吐いたものの、40周目のターン7でポールシッターに捕まり万事休す。週末2勝目を挙げたSVGが選手権リードを拡大し、2番手パスカーレに対し164ポイント差の大量マージンを築いている。


 続く第5戦はビクトリア州ウィントンに位置するモーターレースウェイにて、5月21〜22日に恒例『ウイントン・スーパーナイト』が開催される。

レース2オープニングでは、トーマス・ランドル(Tickford Racing/フォード・マスタング)とリー・ホールズワース(Grove Racing/フォード・マスタング)も同門対決でコースオフ
同じくマスタング対決の末にペナルティが加算され、キャメロン・ウォーターズ(Tickford Racing/フォード・マスタング)が勝利を逃すなど、フォード陣営には厳しい展開となった
週末最後のヒートを制したSVGは「コートニーのオーバーテイクとタイヤマネジメントが最大のポイントだった」
2010年王者で日本でも活躍したジェームス・コートニー(Tickford Racing/フォード・マスタング)もひさびさの表彰台。「スプレー(シャンパンファイト)はいつだって最高の気分」

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