GT3マーケット獲得へのニューウェポン。ポルシェ、新型911 GT3 Rをワールドプレミア

2018年5月11日(金)18時4分 AUTOSPORT web

 ポルシェは5月11日、第46回ADACチューリッヒ24時間レース(ニュルブルクリンク24時間レース)が開催されているニュルブルクリンク内のリンク・ブルバードで、2019年にリリースされる新型ポルシェ911 GT3 Rをワールドプレミアした。


 耐久王・ポルシェが、世界中で開催されているGT3レーシングカーマーケット向けにニューウェポンを投じてきた。ドイツの各メーカーをはじめ、イタリア車、イギリス車、そして日本車とさまざまなマシンが登場しているカテゴリーだが、ポルシェはこのGT3マーケット向けに2015年にこのニュルブルクリンクで現行の911 GT3 Rをリリースし、18年にはフロントまわりを改良。今季も世界各国で活躍している。


 そんな911 GT3 Rに、さらに大幅な改良が加えられたのが、5月11日にGT3関係者も数多く集うニュルブルクリンクで発表された新型GT3 Rだ。現地時間9時30分から行われたローンチイベントでは、世界中から多くのメディアが集まるなか、数日前からかけられていたベールが剥がされ、その姿が公開された。


 発表された新型GT3 Rは、市販の911 GT3 RSから流用され、911 RSRとの区別化のために採用された“リザードグリーン”という色のラインをまとって公開された。外観から現行に比べて大幅に変化している。これまで比較的フラットな形状だったフロントノーズはエアダム形状となり、一方でサイドステップはスリムに。さまざまな箇所で変更が施され、現行に比べて30%ものダウンフォース向上を果たしているという。


 また、変更点は外観だけに留まらない。最も大きな変更点と言えるのは、ポルシェ911の特徴でもあった、フロントサスペンション形式が変更されたことだ。これまでのストラットから、LM-GTE規定用の911 RSR同様、KW製のサスペンションを使ったダブルウィッシュボーンに変更。またこれに伴い、フロントタイヤ径が300/650-18から300/680-18に変更された。フロントサスの形式は、これまでチームからも要望が多かったポイントとも言える。


 さらにユニークなのはクラッチを完全に廃した『Eクラッチ』というものを採用した。これにより完全に2ペダル化され、ジェントルマンドライバーにもスタートしやすくなっている。ドライバーフレンドリーは徹底して追求されており、シートは固定式に変更。ペダルを動かしドライビングポジションを調整する。これまで耐久レースでは暗い印象があったヘッドライトも、キセノンの新しいものに変更されている。


 このマシンを走らせるチームに対しても嬉しい変更が。ボンネットピンも変更されたほか、これまでポルシェで特徴的だった給油口が、わずかにセンターから左右にずらされ、コースレイアウトによって左右どちらも使える形状となった。このため、これまでボンネットに乗って給油していた光景は今後少しずつ見られなくなりそうだ。


 ABS等のデバイスも大きく改良され、この日登場したヨルグ・ベルグマイスターも「モンツァでテストをしたんだけど、270km/hから一気にブレーキングしても驚くほど姿勢は安定していた」とそのパフォーマンスを評している。


「GT3カーのマーケットで10%ほどのシェアを目指している」とマネージャーを務めるステファン・バリザーは語る。気になるプライスは、45万9000ユーロ(約5970万円)。近年のGT3マーケットでは“安め”の価格と言えるだろう。なお、多くの変更点があることから、現行モデルからのアップデートキットで新型にすることはできない。


「スーパーGT・GT300やスーパー耐久等、日本のレーシングチームにも自信をもってリリースしているよ」とバリザー。最終的なパフォーマンスは性能調整で定められるが、日本でも導入するチームは数多くありそうだ。


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