戦慄ダウン→再起は「真のチャンプ」 パッキャオ母国でも相次いだ井上尚弥への賛辞「批判は的外れ。今こそ称えるべき」
2025年5月11日(日)6時0分 ココカラネクスト

ベガスを沸騰させる激闘をカルデナスと繰り広げた井上。(C)Getty Images
ダウンを喫し、そこから再起したからこそ、日本人が主役となった“ラスベガス決戦”の評価は確固たるものとへと昇華した。
国際的にも話題沸騰となったのは、現地時間5月4日に米ネバダ州ラスベガスで行われたボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一戦だ。
【動画】怒涛のラッシュで圧倒! 井上尚弥のカルデナス撃破シーンをチェック
全米に生配信され、高い注目度も集めた試合は、下馬評でも「格上」と見られていた統一王者の井上尚弥(大橋)が、WBA世界同級1位のラモン・カルデナス(米国)に2回にダウンを喫しながら華麗にリカバリー。中盤以降は相手を圧倒し、最後は怒涛のラッシュで8回45秒TKO勝ちを収めた。
カルデナスが見事に打ち砕いた“衝撃のダウンシーン”もあって、一部のファンの間では井上に懐疑論も渦巻いた。しかし、ボクシングの難しさを熟知する識者の目には「怪物」の凄みが際立って見えた様子だ。
世界6階級制覇王者マニー・パッキャオや、世界5階級制覇王者のノニト・ドネアら数多の名手を生んできたフィリピンの大手紙『Manila Standard』のニッシ ・イカシアーノ記者は「イノウエは、またしても多くの人々が間違っていることを証明した」と銘打ったリポートを執筆。カルナデス戦をエモーショナルに振り返っている。
無論、プロアマ問わず数多の激闘を目にしてきたイカシアーノ記者もカルデナスを軽んじる気はさらさらない。それは「彼は容赦なく食らいついた」と称えたところからも明らかである。ただ、そんな挑戦者の一撃以上に絶対王者の挽回力は異彩を放って見えていた。
井上について「過大評価」という指摘に対して「一部の批判者たちが固執して繰り返すお馴染みのフレーズだ」と断じたイカシアーノ記者は、「真のチャンピオンであるか否かを決定づけるのは、どのように倒れるかではなく、どのように立ち上がるかだ」と強調。ショッキングですらあったダウンからリカバリーしてみせた日本人チャンプを称えた。
「イノウエが『逃げている』という批判は全くの的外れだ。イノウエは、その力強いフィニッシュで、あらゆる疑念を払拭した。今の彼は単に世代最高の選手というだけでなく、史上最高の選手ですらあるかもしれない。今こそ、目の前で繰り広げられるイノウエの輝きを称える時だ。彼のようなボクサーは、まさに一世一代の才能だ。彼がこの世を去るまで待つのではなく、今こそ彼を称えるべきなんだ」
ボクシング大国からの揺るぎない評価。それはドラマチックな勝負を制した井上がいかに傑出した存在であったかを物語る。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]