オジエが2連勝。突然の濃霧もお構いなし、自身6度目のラリー・ポルトガル制覇【WRC第5戦最終日】
2024年5月12日(日)21時28分 AUTOSPORT web
5月12日(日)、WRC世界ラリー選手権第5戦『ラリー・ポルトガル』の競技最終日となるデイ4が行われ、デイ3で首位に立ったTOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)のセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(トヨタGRヤリス・ラリー1)がリードを守って総合優勝を飾った。また今回はマニュファクチャラー外での参戦となった日本人ラリードライバーの勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)は、デイ3でのデイリタイアが響き、首位と1時間10分33秒8差のクラス7番手で大会を終えている。
また、2024年シーズンから新たにポイント付与の対象となった日曜日のみの総合順位“スーパーサンデー”では、オット・タナク/マルティン・ヤルヴェオヤ組(ヒョンデi20 Nラリー1)が首位となり、7ポイントを獲得した。
WRC創設期からカレンダーに含まれてきた伝統的なラウンドであるラリー・ポルトガル。迎えた最終日は、首位オジエがタナクに対して11.9秒のリードを保つなか、SS19からSS22までの計四本、総距離62.18kmにて争われた。
■突然濃霧が出た最終日。まだまだアクシデントは止まず
最終日一本目のSS19は、先のコーナーが見えづらいほどの濃霧がかかるなかスタート。デイ3でデイリタイアとなっていたカッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)からコースインしていく。
砂状のグラベル(未舗装路)の緩いコンディションもアタックを阻むなか、総合首位のオジエがトップタイムをマーク。2番手、3番手にはティエリー・ヌービルとオット・タナク(ヒョンデi20 Nラリー1)がつけるデイ4の開幕となった。
そして、日曜のみの総合順位でポイントを競う“スーパーサンデー”にかける勝田は、この日最初のステージからハイブリッドシステムの不具合が発生してしまい、タイムが伸ばせない状況に陥ってしまった。
続くSS20は、名物ジャンプスポットもある“ファフェ”。朝から広がる濃霧が引き続き広がり、10メートル先あたりはすでに見えづらくなってくるという視界状況のなかステージは実施される。
ますます濃くなっていく霧のなか、タナクがトップタイム、ヌービルが2番手とヒョンデ・シェル・モービスWRTのふたりがペースアップ。対して、総合首位で18.1秒のリードがあるオジエは3番手タイムにつけ、その差は13.6秒になる。
クルーらは、息をつく間もなく午前のSS19の再走となるSS21へ。ここでは、3番目にコースインしたグレゴワール・ミュンスター(フォード・プーマ・ラリー1)がクラッシュを喫してしまい、最終SSを待たずして痛恨のリタイアとなった。さらに4番目にコースインしたエルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)もエンジンに問題が生じ、ハイブリッドシステムのモーター駆動を使いながらもスローペースで何とか完走を果たす。
そんななか、タナクが2連続のステージウインをあげ、総合首位オジエとの差を10.1秒差に縮めた。そのオジエは4番手タイムでフィニッシュ。ギャップを見つつ適切なペースでアタックを進め、最後のステージとなるSS22に照準を合わせた様子だ。
■オジエが自身6度目のラリー・ポルトガル制覇
SS21の後に小休止を挟み、迎えた最終SS22。こちらはトップ5のタイムをマークしたドライバーを対象にボーナスポイントが与えられる『ウルフ・パワーステージ』となる。
午前中こそステージを包んでいた濃霧は、最後にうっすらと晴れはじめ、舞台となる山頂からの壮大な景色が見渡せるなかで最終SS22は実施された。ここでは、ヌービルがチームメイトのタナクを0.1秒上回るトップタイムをマークし、貴重な5ポイントを獲得。そして、総合首位のオジエは4番手タイムで無事に完走し、自身60勝目、第4戦クロアチアから続く2連勝で総合優勝を飾った。
総合2位は7.9秒差でタナク、総合3位は1分9秒8差でヌービルとなった。また日曜日のみの総合順位で争われるスーパーサンデーは、この日2度のステージウインをあげたタナクが制している。
ポイントランキングでは、土曜日を2位で終え、スーパーサンデーで1位となったタナクが合計26ポイントで最多得点。総合優勝のオジエは25ポイントを獲得している。そしてランキングトップのヌービルは合計24ポイントを獲得し、2位のエバンスとのリードを24ポイント差に広げた。7ポイント差の3位には、今大会で2位表彰台を獲得したタナクが浮上している。マニュファクチャラー選手権では、TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチームが219ポイント、ヒョンデ・シェル・モービスWRTが215ポイントとなり、その差は4ポイントに縮まった。
また、大会を通してこちらもアクシデントが相次いだWRC2クラスは、最終日にサミ・パヤリとヤン・ソランスらのトヨタGRヤリス・ラリー2使いがステージウインを連発。クラス2位のソランスは最終日まで粘り強い追い上げを見せたが、ニコライ・グリアジン(シトロエンC3ラリー2)に4.5秒届かず。リードを守り切ったグリアジンがクラス首位を守り切った。
なお、今回グリアジンはチーム選手権のみのエントリーとなっているため、ドライバー選手権にエントリーしている組ではクラス2位フィニッシュのソランスが最上位となり、こちらがWRC2クラスの優勝。ソランス自身にとっては初のWRC2クラス優勝となり、トヨタGRヤリス・ラリー2にとってもWRCでの初勝利となった。3.2秒差のクラス3位には、アイルランド出身の新星ジョシュ・マクリーン(シュコダ・ファビアRSラリー2)が入り、グリアジンを除く順位での表彰台圏内には、1分44秒2差でラウリ・ヨーナ(シュコダ・ファビアRSラリー2)が続いている。
2024年WRCの次戦『ラリー・イタリア・サルディニア』は、ヨーロッパ・イタリアに位置するサルディニア島を舞台に行われる。今回のポルトガルから始まるグラベル連戦のなかでも、道幅が狭いことからテクニカルなドライビングが必要な難ラリーとなる大会だ。2024年シーズン第6戦目となる『ラリー・イタリア・サルディニア』は、5月30日(木)から6月2日(日)にかけて開催される予定だ。
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