井上尚弥が刻んだ“王者の所以” フェザー級新鋭が熱く語ったカルデナス戦の凄さ「同じパンチを二度と打たせない規律がある」

2025年5月12日(月)18時0分 ココカラネクスト

井上のTKO防衛は、キャリントンの大きな刺激となった。(C)Getty Images

 井上尚弥(大橋)が見せた挽回劇に娯楽は尽きない。

 日本がゴールデンウイーク真っ只中にあった今月4日(現地時間)、井上は米ネバダ州ラスベガスでボクシングの世界スーパーバンタム級4団体防衛戦を実施。WBA世界同級1位のラモン・カルデナス(米国)に対して8回45秒TKOで勝利した。

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 2回にカルデナスの強烈な左フックを被弾した井上だったが、そこから冷静に復活。相手を守勢に回した7回に仕留めにかかると、8回に猛ラッシュを展開して試合を終わらせた。

 井上のリカバリー能力が冴えた。ともすれば、ショッキングなダウンシーンがあった中で、守勢に回らず、積極果敢に打ちに出たのは「倒すボクシングを見せなきゃ」と語ったこともある“モンスター”らしい戦いだった。

 その好戦的な激闘はライバルの刺激ともなった。「素晴らしい試合だった」と興奮気味に語ったのは、WBO世界フェザー級4位のブルース・キャリントン(米国)だ。

 同じ軽量階級で異彩を放つ井上については以前から賛辞を送り、敬意を示してきたキャリントン。そんな若き名手は、米ボクシング専門サイト『Boxing Scene』でカルデナスとの激闘を次のように振り返っている。

「イノウエは確かにまたダウンを取られた。だけど、彼はダウンした2度とも立ち上がって相手を倒したんだ。チャンピオンってものはああいうものなんだと思ったね。本当に素晴らしかった」

 さらに「イノウエは本当に素晴らしかった」と続けるキャリントンは、「カルデナスにはパワーがあって、イノウエとはスタイル的に相性が合わないだろうと思っていた。試合前から俺は彼(カルデナス)が強烈なパンチを繰り出せば、イノウエすらも窮地に追い込む可能性があると考えていた」と指摘。戦前に抱いていたという自己分析を明かした上で、こう続けている。

「イノウエはチャンピオンだった。彼は本当に見事に調整をした。イノウエは常に徹底して規律正しい。試合中、彼のパンチはどれも力強く放たれる。それは素晴らしいフォームとバランス感覚を持ち、常にパンチを放つ準備ができているからこそ、だ。

 あと同じパンチを二度と打たせないという守りの規律も素晴らしい。それこそ彼の勝利から俺が得られる最も重要な点だ。もし、規律が乱れていたら、おそらく彼はダウンしたのと同じパンチを繰り出されていたと思う」

 年内にフェザー転級が濃厚視されている井上。となれば、遠くない将来にキャリントンと拳を交わす可能性もゼロではない。ただ、28歳の新鋭は「まだ実現するかは分からない。とにかく今は自分自身のフェザー級タイトルを巡る戦いに集中している」と冷静に指摘。そして、あらためて日本の怪物へのリスペクトを語った。

「イノウエがここ(アメリカ)で試合を続け、ああいうパフォーマンスを見せ続ければ、もっと多くの人が彼を知り、『ああ、イノウエはなんて選手だったんだ』と理解するだろう。アメリカで実績を残し続けることで、ここでより大きなスターとして扱われるのは間違いない」

 フェザー級の名手に「王者の何たるか」を印象付けた。ボクシングのメッカで繰り広げられた井上の防衛劇は、後に彼のキャリアを振り返る上で「伝説」として昇華されるかもしれない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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