【相撲世界選手権予選】男子シニア軽量級は奥谷英宗が初V 中量級は海鵬Jr.の熊谷颯天が親子で日本代表
2025年5月12日(月)9時11分 スポーツニッポン
第4回全日本相撲個人体重別選手権大会が11日、東京都千代田区の靖国神社相撲場で行われた。この大会は、9月にタイ・バンコクで開催予定の世界相撲選手権大会および世界ジュニア相撲選手権大会の日本代表選考試合。ジュニア(高校生以下)は男女3階級ずつ、シニアは男女4階級ずつ、それぞれ選抜された国内大会成績上位者によるハイレベルな総当たり戦で争われた。
男子シニア軽量級(85キロ未満)は、高知・宿毛高—日体大出身の奥谷英宗(26=東京・練馬石泉相撲クラブ)が初優勝。昨年覇者の和宇慶一騎(32=沖縄県警)や一昨年世界選手権銅メダリストの奥知久(22=日体大職員)らを破り、5戦全勝で圧倒的な強さを見せた。2〜4位は3勝2敗で3人が並び、三つ巴の決定戦2周目で2勝した奥知久が2位に。大相撲の三段目・朝乃若の弟で昨年西日本実業団選手権軽量級覇者の林陸(旧姓・寺沢)が3位、昨年覇者の和宇慶は4位となった。
日体大時代に全国学生体重別100キロ級優勝などの実績を持つ奥谷は、大学卒業と同時に競技を引退。2022年から東京の練馬石泉相撲クラブでコーチを務めて小中学生に指導するも、自身は大会等に出場していなかった。そんな中、日体大相撲部同期のデルゲルバヤル(現幕内・欧勝馬)や石崎拓馬(現幕内・朝紅龍)、宮城陽(現十両・宮乃風)、2年後輩の中村泰輝(現大関・大の里)ら大相撲の世界で活躍する仲間たちの姿を見て奮起。特に、同級生で2023年世界選手権無差別級銅メダルの松園大成(長崎県教員)から「本気でやるなら今しかない」と声を掛けられたことが大きなきっかけとなり「20代のうちに世界を目指す」と現役復帰を決意した。昨年は7月の東日本実業団選手権に出場して軽量級で優勝。それ以来の公式戦となった今大会を制して日本代表切符を獲得し「勝つために来たので本当によかった」と喜びを表した。
現在は愛知県で教職に就いており、週末に愛知県や岐阜県内の高校や大学で稽古を積んでいるという。大会直前には日体大でも稽古。「本当にいろいろなご縁に支えられてここまで来られた。たまたま練馬で教えることになって、それがなければ試合に出ることもなかったので」と、土俵の円がつないだ「縁」に感謝した。そして「日本代表になる目標は達成したので、次は世界で優勝したい」とさらに大きな夢を描いた。
男子シニア中量級(100キロ未満)は、熊谷颯天(日大2年)が初優勝。4勝1敗で並んだ一戸龍道(日大3年)との優勝決定戦は、鋭い立ち合いから左おっつけ右喉輪で一気に勝負を決めた。昨年の全国学生体重別85キロ級準優勝がこれまでの最高実績で、全国優勝は自身初。初めての日本代表切符を勝ち取った。熊谷の父は、同じ日大出身で1994年と1995年の世界選手権中量級で2連覇している元小結・海鵬の熊谷涼至氏。史上初の親子で世界選手権出場という快挙を成し遂げた。
▽男子シニア軽量級(85キロ未満)
優勝 奥谷英宗(27=東京・練馬石泉相撲クラブ)
2位 奥知久(22=日体大職員)
3位 林陸(28=アイシン軽金属)
▽男子シニア中量級(100キロ未満)
優勝 熊谷颯天(日大2年)
2位 一戸龍道(日大3年)
3位 三橋条ノ真(日大1年)