WEC:バイコレス、開発中のル・マン・ハイパーカーにギブソン製V8エンジンを採用へ

2020年5月13日(水)12時31分 AUTOSPORT web

 トヨタやスクーデリア・キャメロン・グリッケンハウス(SCG)と同様に、LMHル・マン・ハイパーカーを仕立ててWEC世界耐久選手権のトップカテゴリーに復帰することを目指しているバイコレス・レーシングチームの新しいマシンに、ギブソン・テクノロジー製LMP1エンジンが採用されることが分かった。


 LMP1コンストラクターとして豊富な経験を持つバイコレスがLMH規定に準拠したハイパーカーを作る計画が明らかになったのは2018年12月のこと。以来、同チームは2019年2月に最初のマシンイメージを公開したものの、その後の開発状況の詳細はほとんど明らかにされてこなかった。


 チームのオーナーであるコリン・コレス博士はSportscar365に対し、LMHプログラムは現在も活動しているが、最近の規則変更がマシン開発の流れに影響を与えたと説明している。


 彼は、昨年6月にアストンマーティンが最高出力1160psの『ヴァルキリー』で同クラスへの参入を表明したことで、バイコレスがより強力なパワーユニットを確保するために現行マシンに搭載されているギブソン製V8エンジンの採用計画を放棄しなければならなかったと述べた。


 しかし、アストンマーティンのその後の撤退と、LMHの出力レベルがLMDhル・マン・デイトナhのクルマに合わせて削減されるという最近のニュースによって、オーストリアのチームは当初の計画を維持することができたという。


 バイコレスが採用を予定しているギブソンのLMP1エンジン『GL458』は4.5リットル自然吸気V8。最高出力は700hp(約710ps)を発揮する。これは同チームのENSO CLM P1/01や、レベリオン・レーシングのレベリオンR13に搭載されているものと同じエンジンだ。


「それはかなり機能する。今日、私が見ている現在のLMH規則に適合するだろう」ギブソンのパワーユニットをLMH車両に使用することを尋ねられたとき、コレスはこのように答えた。


「我々はずいぶん前にギブソンとともに戦うことを決めていた。同時にV8エンジンの出力が不足しており、代わりとなるV10エンジンを短期間で構築することが不可能な状況に置かれていたんだ」


「私たちは決断しなければならなかった。100hp(約101ps)出力の小さいエンジンで行くか、それ以外のものを選択するか」


「私たちは別の解決策を見つけようとしていたが、実際には別の選択肢はなかった。我々のマシンはF1カーのように構築されているためストレスマウントに耐えうるエンジンが必要だったんだ」


「つまり、アルファロメオからエンジンを取り出してクルマに組み込むことは不可能だった。我々のハイパーカーの哲学(プロトタイプカー型)はグリッケンハウスの哲学(ハイパーカー型)とは異なるためにね」


「今ではLMH規則はより良い方向に進んでいると思うが、ここまで来るのに非常に長い時間が掛かっている」


「この間にモノコックを構築しようとしても、どのエンジンを搭載すればよいか分からないため、どこにマウントポイントを配置すればよい決められず少々難しい状況に置かれた」


■ハイパーカー開発は“フェーズ7”に到達


 コレスによるとバイコレスのハイパーカー開発は、2020年のル・マン24時間レースに向けて予定されているENSO CLM P1/01・ギブソンのテストと並行して進んでいるという。


 しかし、エンジン選択の遅れが最初のモノコックの遅配につながった。本来であれば3カ月前にドイツのファクトリーに到着する予定だったのだ。


 まだ名前が付けられていない同チームのハイパーカーは3つのタイプが用意されるといい、ひとつはWEC参戦用のコンペティションバージョンとなる。もうひとつはトラックデイバージョンで、最後のひとつがストリートリーガルバージョンとして市場に提供される。


「今はエレクトロニクスを完成させようとしている」とコレスは進捗状況を説明した。


「我々は今、どのエンジンを使ってマシンを走らせるかが明確になり、同時にギヤボックスとサスペンションについても目処が立った」


「私たちは現在、ハイパーカープログラムの“フェーズ7”段階にいる。それはフェーズ1から始またっが、現在はフェーズ7だ」

バイコレス・レーシング・チームは2020/2021年からWECに導入される“ハイパーカー規定”への参入を目指している


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