ヘレスに続くKTMの活躍は。ビンダーがスプリントで2位獲得、ルーキー、フェルナンデスは決勝4位/第5戦フランスGP

2023年5月17日(水)1時15分 AUTOSPORT web

 スペインGPで表彰台に立ったKTMは、フランスGPでもその勢いを保っていたのだろうか。確かに際立った活躍ではなかったかもしれないが、KTMのパフォーマンスが上がっていることを示したのは確かだった。


 KTMは第4戦スペインGPでブラッド・ビンダー(レッドブルKTMファクトリーレーシング)とジャック・ミラー(レッドブルKTMファクトリーレーシング)がともに好成績を残した。スプリントレースではビンダーが優勝し、ミラーが3位を獲得。決勝レースでは優勝こそフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)が挙げたものの、ビンダーが2位、ミラーが3位で、そろって表彰台に立った。KTMライダーの二人がトップ争いを展開する様子は、とても印象的なものだった。


 そんなスペインGPの翌戦となったフランスGPは、スペインGPほどの勢いはなかったものの、それでも上位を占める一角であった、と言っていいだろう。スプリントレースではビンダーが2位でゴールし、決勝レースではMotoGPクラスのルーキーであるアウグスト・フェルナンデスが、自己ベストリザルトの4位フィニッシュを果たしている。GASGASファクトリー・レーシング・テック3から参戦しているフェルナンデスは、KTM RC16を駆っているのだ。


■ビンダー、20番手から6位でゴール


 スプリントレースで2位を獲得したビンダーは、チャンピオン争いの準備ができているか、という質問に対して次のように答えた。ビンダーはスプリントレースを終え、チャンピオンシップでランキング3番手につけていた。


「全く違う三つのサーキットで3度、表彰台を獲得している。僕たちにとって、素晴らしい結果だ。これまでになくバイクがよくなっている気がする」


「この状況にとても満足しているよ。この勢いを維持するために頑張っていきたい。新しいパッケージ、新しいベースは、どんなサーキットでもどんな状況でも強い、という自信があるんだ。だから今は、自分が思ったようなバイクなのかを確かめる必要があるというだけだ」


 決勝レースについては、ビンダーにとって楽なレースにはならなかった。1周目の6コーナーでワイドになり、大きく後退した。そこからポジションを上げてミラーの後ろで8番手を走行中、9コーナーのブレーキングで止まり切れずにショートカットしたことでロングラップ・ペナルティを受ける。これを消化したビンダーは、残り7周で9番手から再びポジションを回復していき、6位でゴールした。優勝や表彰台争いに加わることはできなかったが、1度ならず2度までも後退したところから得た6位だと考えれば、フランスGPでも全体的な速さが上がっていることを示したと言っていいのではないだろうか。


「僕たちは必要なステップをウオームアップでトライして、だいぶよくなった感じがあったんだ。でも、(決勝レースの)1周目で20番手にまでポジションを落としてしまって、難しいレースになった。誰かの後ろを走っていてフロントタイヤが熱を持ってしまうとどうしようもない。抜いていくのは本当に大変だった。タイヤのエッジのマージンがなくなってしまうから。すごくタフだった」


 ビンダーはレース後の囲み取材で、レースを序盤から振り返って、そう説明した。


「残念なことにバックストレートでへまをしてしまったんだ。ジャックのうしろでスリップについて、いつもより遅めのブレーキングだったんだけど、転倒したくなかったからシケインをちょっとまっすぐ行った。1秒くらいロスしたと思うけど、それほどでもなかった。それは僕のミスだった。それからロングラップを受けたけど、6位でゴールした。すごく難しい日だったけど、(6位で)10ポイントを獲得できたのは大きなボーナスだ」


 ビンダーは決勝レースを終えてもランキング3番手を維持している。

ビンダーがスプリントでトップ3に入るのは3回目


■フェルナンデス、己を信じたタイヤ選択で自己ベスト4位


 決勝レースでは、KTM RC16を走らせる4人のライダーのなかで、ルーキーのフェルナンデスが最上位である4位でゴールを果たした。2022年のMoto2チャンピオンとしてMotoGPクラスに昇格したフェルナンデスにとって、フランスGPはMotoGPクラス5戦目。見事な4位である。予選ではQ1でファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)などを退け2番手に入ってQ2へ進出し、自己ベストとなる12番グリッドを獲得した。


「予選はよかったけどスプリントでクラッシュして、今朝(ウオームアップ)もまた転倒した。だから厳しかったね。ちょっと自信をなくしたよ。そこでフロントタイヤにリスクを負わせた。土曜日はミディアムで行ったけど、それがミスだったから。ソフトで行って、最後までタイヤのマネージメントを心掛けよう、もし終盤に(タイヤについて)苦しんだら、耐えてみよう、と思ったんだ。ギャンブルだったけど、ソフトのフィーリングのほうが好ましかったんだ。それでいいフィーリングが戻ったんだよ」


 己のフィーリングを信じてフロントタイヤの選択をソフトとした決勝レースでは、序盤に6番手、中盤に5番手に浮上し、終盤にはアレイシ・エスパルガロ(アプリリア・レーシング)とのポジション争いを展開して4位でゴールした。


「うまくスタートして、レース中ずっと集団の中にいた。僕はただプッシュしていた。フィーリングはよかった。いいペースを刻もうとマネージメントしていたんだ。そして最終ラップ、アレイシが僕をパスした。彼といいバトルになり、僕はポジションを守ろうとした。そして、そのバトルに勝ったんだ。全てがうまくいった。とてもうれしいよ」


「いま、このバイクで感触をつかんできている。今までは、僕のフィーリングとしてはまあまあだった。速く走れるかもしれないし、走れないかもしれない。全てにおいて、自分のフィーリングも自分の考えも持っていなかった。この週末はバイクを感じ始めた最初のウイークなんだ。どうやって速く走ることができるかをね」


「土曜日は自分のフィーリングに従うことが怖かった。『2回転倒しているから、今日はソフトで出ていく。そして、ソフトでいいフィーリングがあるだろう』と思った。そして、それはうまくいった。今後は自分の勘に従うのがよさそうだね」


 フランスGPで、フェルナンデスはトップ3を占めたドゥカティに次ぐ順位でゴールしたライダーとなった。

5戦目にして4位ゴールを果たしたルーキーのフェルナンデス(#37)

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