大谷翔平と根尾昂に共通点。中日の打撃投手が見た高卒ドラ1の力

5月17日(金)7時17分 Sportiva

 大阪桐蔭時代に投手と野手で活躍し、4球団競合の末に中日に入団した根尾昂。ケガの影響で戦列を離れていたが、5月4日のソフトバンクとの二軍戦で復帰し、『ショート一本で』と宣言したプロの世界で成長を目指している。中日で打撃投手を務める久本祐一は、フリーバッティングで実際に相対した打者・根尾をどう見ているのか。

 さらに、現役時代に中日と広島で主に中継ぎ投手として活躍した久本は、日本ハム入団後も”二刀流”を継続し、規格外の高卒ドラ1ルーキーとして注目を集めていた大谷翔平(現エンゼルス)との対戦にも言及。根尾との共通点、大谷の2年目以降の成長、昨オフに行なった右ひじの内側側副靱帯再建手術(トミー・ジョン手術)の影響などについて語った。


エンゼルスで2年目のシーズンを送る大谷

——中日ドラゴンズの高卒ドラ1ルーキー、根尾昂選手がケガから復帰して二軍の試合に出場しています。久本さんは同チームの打撃投手を務めていますが、根尾選手に投げたことはありますか?

「フリーバッティングで2回投げました。1回目は、彼がキャンプを二軍で過ごしたあと、実戦に向けて準備を進めている時でしたね。投げる前に、村上(隆行)一軍打撃コーチに『根尾に投げる球は、通常の回転がいいボールでいいですか?』と確認して、OKをもらったので120km前後の回転がいいストレートを30球ほど投げました」

——その時の印象はいかがでしたか?

「本当に数カ月前まで高校生だったのかと疑いたくなりました。一番驚いたのは打撃の”柔らかさ”です。バットを鞭のように扱うことができ、体の軸もしっかりしていて腰の回転力もあります。打ち損じたコースのボールにもすぐに対応して打ち返してきましたから、修正能力も高いですね。2回目に投げた時はオープン戦を何試合か経験したあとで、いろいろと”迷っている”感じもありましたが、それだけきちんと考えながら取り組んでいるということでしょう」

——打撃練習を終えたあと、根尾選手と何かやりとりはありましたか?

「開口一番に『ナイスボールですね』と言われました。とくに若手の選手たちからは聞かない言葉なので、喜んでいいのか悲しんでいいのか戸惑いましたね(笑)。でも、悪意や自信過剰な印象はまったくなく、人間としての素直さを感じたので、すごく好感が持てました。

 私は打撃投手になって3年になりますが、打者から『おまかせで』と言われ、感想もなく打撃練習を終えられてしまうのが一番”消化不良”なんです。だから、『今日は内角を中心にお願いします』『ワンバウンドに近い低めの球を投げてください』と、リクエストしてくれる打者のほうが、こちらとしてもありがたい。根尾のように思っていることを口にしてくれると張り合いが出るんですよ」


中日の二軍で成長を目指す根尾

——他チームの打者でタイプが似ている選手は?

「ドラゴンズ時代の福留(孝介・現阪神)さんや、広島の西川(龍馬)あたりでしょうか。前で球をさばく能力が卓越しています。打順としては、走力もあるので1番か3番あたりが向いているかもしれませんね」

——久本さんが現役時代に対戦した高卒ルーキーと比べていかがですか?

「一軍の投手が高卒ルーキーを相手にする機会はあまりないでしょうし、私も現役時代に高卒1年目の選手と対戦したのは、日本ハム時代の大谷(翔平・現エンゼルス)とオリックスの後藤(駿太)ぐらいなので、サンプルは少ないですが・・・・・・。そのふたりも修正能力が高い選手だったので、その点は共通しているように思います」

——大谷選手との初対戦は、久本さんが広島時代の2013年6月18日の試合でしたね。ホームの広島は野村祐輔投手が先発で、久本さんは3番手で7回表に登場し、大谷選手から空振り三振を奪っています。

「ワンアウト1塁の場面でしたね。その日、大谷は先発投手として4回を投げて3失点。打者としては5番を打ち、2回表にヒットを打っていました。実際に対戦すると、構えた時点で高卒ルーキーらしくない風格がすでにありました。

 初球は、ランナーを警戒しつつカーブから入りました。その球を見送った大谷を見て、スライダーで打ち取れるイメージが湧いたんです。経験値の低いバッターにありがちな反応で、左投手と左打者の対戦での”あるある”みたいなものなんですが、完全に腰が引けていたんですよ。キャッチャーも考えは一緒だった思います。想定どおり、追い込んでからのスライダーで三振に打ち取ることができました」

——その約1年後の6月22日、同じマツダスタジアムでの試合でも三振を奪っていますね。

「そうですね。あの時は2番手で4回表から登板して、ツーアウト2塁で3番DHの大谷を迎えたんですが、バッターボックスでの雰囲気がまったく違っていました。『どうすれば1年間でここまで成長するの?』と、マウンドから質問したいぐらいでしたよ」

——具体的に、どのような点に成長が見られたんでしょうか。

「気持ちの余裕と言うんですかね。簡単に腰を引いてしまったような隙はもうありませんでした。『一流打者を相手にする気持ちで投げないといけない』と思い、そこから先は投球に没頭してしまいました。だから、結果は空振り三振でしたけど、その時の組み立てや配球はよく覚えていないんです(苦笑)。

 根尾も同じように成長できるかはわかりません。ただ、大谷のような”令和を代表する選手”になれるだけの才能を備えていることは間違いないと思います」

——大谷選手はさらに成長し、2018年に海を渡ってア・リーグ新人王に輝きました。今年は打者に専念していますが、現在のバッティングをどのように見ていますか?

「私個人の印象ですが、メジャーは日本と違い”動くボール”が主流です。それはバッティングマシーンでは再現できませんから、実戦で慣れていくしかない。完全に対応できるようになるまでにはもう少し時間がかかると思っていましたが、今の打球の上がり具合を見ると、もう心配はないでしょう」

——昨オフに行なったトミー・ジョン手術の影響で、投手として出場するのはまだ先になりそうですが、リハビリを始めるというニュースも伝わってきています。久本さんも現役時代に同じ手術を経験していますが、そこから復活するまでに苦労した点は?

「トミー・ジョン手術をすると、通常は1年間ほどファームか”リハビリ組”で治療に専念し、一軍に上がる準備をします。私の場合は2回手術をして、合計で3年ほど棒に振ってしまいました。過去、私以外にも同じ手術を受けた選手がたくさんいます。その時にもっとも不安になるのは、試合で投げていないブランク。また、チームの雰囲気が掴みにくいことも、同じくらい心配になりますね。

 チームは”生き物”ですから、順位や勝敗、対戦チームとの成績によって、求められるものが大きく変わってくるんですが、これだけはベンチ入りしていないと絶対にわからない部分です。その点、打者として一軍での出場機会を得ている大谷には、そういう心配がないと思います。チームの雰囲気を肌で感じながら、投手としてのリハビリもできてしまうのは”二刀流”の特権ですね。投手陣の調整具合も見られるので、マウンドに上がるのは来季になるかもしれませんが、すぐに溶け込むことができると思いますよ」

Sportiva

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