久保建英が「いつもの形」で得点。コンサドーレは警戒しすぎて自滅した

5月19日(日)16時50分 Sportiva

 またしても、久保建英である。

 ホームに北海道コンサドーレ札幌を迎えた一戦。1点リードの69分にカウンターで抜け出すと、対峙したDFを冷静にかわし、やや角度のない位置からコンパクトに左足を一閃。ここまで好セーブを見せていた札幌の守護神の手を弾き飛ばしながら、豪快にネットに突き刺した。


久保建英は2試合連続ゴールを決めてFC東京を牽引

 前節、FC東京でのJ1初ゴールを決めた17歳の勢いは、とどまることを知らない。

「GKは全然見ていなくて、自分がいつも練習でやっている形に持っていこう、ということだけを意識しました。決めなきゃいけない場面だったので、ボールを自分のいいところに置いて、あとは蹴ったという感じです」

 淡々とゴールシーンを振り返る姿には、17歳とは思えないほどの貫禄が備わっていた。久保の2試合連続ゴールもあり、2−0と快勝を収めたFC東京は、開幕からの負けなし試合を12に伸ばし、首位の座をがっちりとキープした。

 首都のチームの快進撃を牽引する久保だが、この日は結果を出したとはいえ、決してスーパーな存在ではなかった。

 札幌にボール支配を譲るなか、そもそもボールに触れる機会が少なく、ボールを持ってもロストする場面が散見。パスが合わないシーンも見られるなど、最近のハイパフォーマンスと比べると、いい状態ではなかったように思われる。

「試合中に疲労は感じないですし、コンディションも悪くないかなと思います」と本人は振り返ったが、J1で試合にコンスタントに出続けるのは初の経験。徐々に疲労が蓄積してきてもおかしくはないだろう。

 あるいは、相手の警戒心が高まっているのも確かである。この日の札幌は久保がボールを持つと、複数人で囲んで厳しく対応。久保に自由を与えない守備を徹底していた。

 その意味で、札幌にとっては、もったいない試合だったかもしれない。

 スコア的には完敗だったが、チャンスは作れていたし、とりわけ後半は得点の匂いも漂っていた。63分のチャナティップの狙いすましたシュートが決まっていれば、流れは変わっていたかもしれない。

 それでも、結果的にノーゴールでの敗戦。前節に次ぐ無得点に「攻撃陣に責任がある」と、鈴木武蔵は反省の言葉を口にした。

 ターニングポイントは、後半立ち上がりの失点場面にあっただろう。自陣ゴール前で相手の攻撃をしのぎながらも、攻撃に転じようとした際にミスが生じて失点した。

「質と決定力のあるチームに対してそういった隙を与えてしまえば、やはり得点につなげられてしまう」

 ミハイロ・ペトロヴィッチ監督が指摘したように、札幌にとっては痛恨のミスだった。

 先制点を奪ったFC東京に余裕が生まれ、それまで粘り強く対応していた札幌の守備のバランスが狂い始めた。久保に奪われた2点目も、絵に描いたようなカウンターから。これもルーカス・フェルナンデスのヘディングが、相手に渡ったところが起点となっており、ミスと言えばミスの部類に入る。

 つまり、ミスを連発した札幌の自滅に近い試合だったのだ。

 ただし、個人的には後半に生じたミスよりも、札幌の敗因は前半の姿勢にあったように思われる。

 今季のFC東京の攻撃の特徴は、永井謙佑とディエゴ・オリヴェイラのスピードを生かした高速カウンターにあるのは、もはやJリーグファンの知るところだろう。したがって、札幌とすれば、このカウンターをいかに封じられるかがこの試合のポイントだった。

「相手はしっかり守って、ディエゴ・オリヴェイラ選手と永井選手が裏に走り込むサッカーをしてくるのはわかっていたこと。ひとりが上がっても、後ろは2対1の状況を作ることを意識して、できていた」

 3バックの一角を務める福森晃斗は、FC東京対策をこう明かした。

 久保の突破力も含め、FC東京の前線には強烈な個性が備わる。彼らに、いかに自由を与えないか——。札幌の選手たちはこのテーマに対し、神経をとがらせていた。

 それでも、前半から何度かカウンターを浴び、あわやという場面を作られながらも、GKク・ソンユンの好セーブもあり、失点を与えなかった。

 また、相手の攻撃に対する警戒心の強さが、自らの特長を打ち消していたのも確かだろう。

 攻撃に厚みをもたらすために全体を押し上げようとしても、前線に残るディエゴ・オリヴェイラの存在が脅威となって、押し上げられない。シンプルに背後を狙うボールが多かったのは、リスクを負いきれなかった札幌の姿勢の表れだった。

「もっと危険に攻めよう」

 ハーフタイムにペトロヴィッチ監督は、そう指示を送っている。

 札幌がようやくリスクをかけられたのは、2点のビハインドを負ってから。それまではサイドからクロスを上げるだけの単調な攻撃が目立っていたが、前に人数がかかったことで、中央からの危険な攻撃を展開できるようになったのだ。フィニッシュ精度を欠き、得点を奪えなかったものの、札幌らしさが示された終盤の猛攻だった。

 4連勝と勢いに乗っていた札幌だが、松本山雅FCに引き分けた前節に続き、ここ2試合は足踏みを強いられている。順位は7位に沈み、上位争いから一歩後退した。

 2試合無得点の原因は、指揮官が言うように、ケガ人の影響は否定できない。得点源のアンデルソン・ロペス、強さと高さを備えたジェイの不在は小さくない痛手だろう。その状況下で求められるのは、指揮官が植えつける攻撃意識ではなかろうか。

 堅守速攻型のチームに先制点を奪われてしまっては厳しい。もちろん、前半からリスクを負って攻めたところで、先にゴールを奪えるとは限らない。むしろ、失点の可能性はさらに高まる。そうなれば、さらなる大敗を招いたかもしれない。

 それでも、攻撃の美学を貫くペトロヴィッチ監督が率いるチームには、先制点を与えない戦いよりも、先制点を奪いにいく姿勢を見せてもらいたかったと、個人的に思うのだ。ペトロヴィッチ監督が就任して2年目の札幌は、まだ発展途中の段階にある。何かを成し遂げるには、痛みが伴う覚悟が必要だ。

 そう、改革者は常に、挑戦者であるべきなのだ。

Sportiva

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