レッドブル・ホンダ密着:渋滞の影響で初日は4番手&8番手とやや出遅れ。PUにはトラブル防止策を講じる
2021年5月21日(金)12時31分 AUTOSPORT web
2021年F1第5戦モナコGPに臨むにあたって、ホンダはパワーユニット(PU)にある対策を施してきた。
「スペインGPのプラクティス中に角田(裕毅)選手のパワーユニットがシャットダウンした件に関しては現在調査中ですが、レース中の件に関してはPU側の明確なトラブルが発見されました。そのため、角田選手のPUのみならず、今回は全PUに対して再発防止策を講じています」(田辺豊治F1テクニカルディレクター)
田辺TDによれば、「根本的なところに関わるようなトラブルではない」ということで、スペインGPからモナコGPにかけてパワーユニットを交換するようなことはないという。アルファタウリ・ホンダのフランツ・トスト代表は、トラブルの原因は「エレクトリックの問題」だと語っており、ハーネスそのものかその接続方法、または電子制御に関する部分を見直してきた可能性が考えられる。
さて、モナコGPはレッドブルにとっても、ホンダにとっても、あまり相性がいいコースではない。
まず、レッドブルは2010年から3年連続で優勝した経験があるが、ターボ・ハイブリッド時代になってからは2018年の1勝だけ。しかも、その1勝は2018年まで在籍していたダニエル・リカルドによるもので、マックス・フェルスタッペンはまだモナコGPの表彰台に上がった経験がない。チームメートのセルジオ・ペレスは2016年に3位表彰台を獲得しているが、それ以外は2015年に7位入賞しただけで、あとはすべてポイント圏外。デビューイヤーの2011年には予選でクラッシュし、レースをスタートすることもできず、ペレスにとってもモナコGPは相性がいいグランプリとはいえない。
ホンダにとっても、2015年に復帰して以降、モナコGPではまだ表彰台に上がっておらず、第3期でも表彰台はジェンソン・バトンが2位となった2004年の1回だけである。
ホンダにとって、モナコGPでの輝かしい歴史は、第2期時代まで遡る。ロータスにエンジンを供給し始めた1987年にアイルトン・セナとともにモナコGP初優勝を飾ると、その後1992年まで6連勝(セナ5勝、アラン・プロスト1勝)。今年は1992年以来の優勝を目指す。
「1992年はある意味ウイリアムズの戦闘力が大きく向上しているなかで、いろいろなことがありましたが、セナがそこで守り切って勝ったというのは非常に記憶に残っています」(田辺TD)
その思い出の地で、レッドブル・ホンダは初日、フェルスタッペンが4番手、ペレスも8番手とやや出遅れた。しかし、これはコース上の渋滞が影響しており、レッドブル・ホンダの本来のパフォーマンスを正確に表した結果ではない。モナコGPの初日の木曜日で最も大切なことは、ミスとトラブルを発生させずにしっかりと走り込んで、ドライバーはモナコGP仕様の特別なセッティングに慣れ、エンジニアたちは正しいセットアップを見つけることだ。
「我々としては低速サーキットでの回転であったりとか、デプロイであったりとか、そういうのを含めてパワーユニットの使い方、具体的にはICEの使い方やERS(エネルギー回生システム)系の使い方に関して、頭をひねって準備していく。金曜日はじっくりデータを見る時間があるので、チームともミーティングを行い、このモナコの特別なスケジュールを十分に活かして、土曜日以降に臨みたい」(田辺TD)
ホンダF1ラストイヤー、思い出に残るモナコGPになることを期待したい。