首位キープの神戸。強さの秘密はポストプレーの完成度【J1リーグ2023】

2023年5月22日(月)12時30分 FOOTBALL TRIBE

写真:Getty Images

2023明治安田生命J1リーグ第14節の各試合が、5月19、20日に開催された。今節の結果により、上位3チームの変動はなし。柏レイソルと1-1で引き分けたヴィッセル神戸が首位をキープ(勝ち点30)、2位にはガンバ大阪に2-0で勝利した横浜Fマリノス(勝ち点27)、3位はサンフレッチェ広島に2-1で勝利した名古屋グランパス(勝ち点26)と続く。


ここでは、J1第14節で5試合負けなしと首位をキープするヴィッセル神戸と、今一歩波に乗り切れない柏レイソルの試合に注目。試合ハイライトと神戸の強さの要因を解析していきたい。




ヴィッセル神戸 DF本多勇喜 写真:Getty Images

柏VS神戸:試合ハイライト


J1第14節、柏レイソルVSヴィッセル神戸の試合は、柏のホーム「三協フロンテア柏スタジアム」で行われた。柏は直前の5月17日にネルシーニョ前監督が解任となり、同試合が井原正巳新監督の初陣となった。一方、神戸は3連勝をかけ、アウェイに乗り込んできた。


ファーストチャンスは神戸に。前半8分に中盤でボールを受けたFW大迫勇也が、反転し前にボールを運ぶ。併走するMF佐々木大樹へつなぐと、佐々木はそのままシュート。惜しくもクロスバーを叩くが、大迫のキープから攻撃を作るいつもの神戸のスタイルが早速見られる。


先制点は前半24分の神戸。中央の佐々木から左サイドを上がったFW汰木康也へ。サイドでキープし、一度佐々木とパス交換後、中へクロス。ボールの先には大迫とFW武藤嘉紀。この2人がゴール前で待っていることは脅威である。武藤がボールを収め、冷静に大迫へアシスト。大迫が決め、神戸が先制する。


柏も黙っていない。直後の前半28分、カウンターからワンタッチでFW細谷真大、MF高嶺朋樹からMFマテウス・サヴィオが左サイドを抜け出す。中で待っていたMF山田康太から右サイドを上がってきたDF川口尚紀へ。シュートまで至らなかったが、ワンタッチを多用したテンポの良い攻撃でリズムを作る。


試合は神戸1点リードのまま、後半へ。互いにサイドを取り合いながら攻撃を続けるも、ゴールへはなかなか至らず。柏のターンが続く中、柏の同点シーンは後半21分。神戸の汰木からパスを受けたDF本多勇喜がGK前川黛也へバックパスを試みると、なんとこれが直接ゴールへ。神戸のオウンゴールで同点に。


その後の決定機は後半36分、右サイドを駆け上がった柏のFWフロートが個人技で抜け出す。そのまま神戸ディフェンスをかわしゴールまで迫るも、シュートはボール1個分枠外へ。


そのまま両者譲らず、1-1の引き分けで終了。柏は勝ち点12で15位に浮上。神戸は首位キープ(勝ち点30)となった。


ヴィッセル神戸 FW大迫勇也 写真:Getty Images

強さの秘密はポストプレーの完成度


フィニッシュ精度が高ければ、壮絶な打ち合いになったかもしれない同試合。神戸に見られた強さの秘密は、ポストプレーの完成度にあるといえる。神戸のオウンゴールと、後半の柏フロートの個人技を除けば、神戸の方がポストプレーの完成度が高かった。


それを象徴するのは前半8分、佐々木がシュートに至ったシーンだ。自陣深くから大迫へ縦パスが入る。大迫がボールを持った時には、佐々木と汰木、武藤が既に前向きでボールを受けられる体制が整っていた。この選択肢があることで、大迫は囲まれる前にボールを離すことが可能なのである。


一方、柏は縦パスを受けた選手に対して、前向きでボールを受けられる選手が少ないシーンが多かった。縦パスを入れた際に、サイドライン際に選手がポジションを取っていることが多く、どうしてもゴールに向かって縦に走る選手が少なかった。


こうなると神戸ディフェンスにとっては、サイドに柏選手陣を追いやればゴールから遠ざけることができ、守備はしやすくなる。柏としては前線がサイドに開いてプレーするのであれば、クロスに対するターゲットが必要であろう。




ヴィッセル神戸 FW武藤嘉紀 写真:Getty Images

MOMはFW武藤嘉紀


同試合のマン・オブ・ザ・マッチ(MOM)には、神戸の武藤を選出する。理由は前線のターゲットとなり続けたこと。先制点のシーンはもちろん、クロスに対しても駆け引きをし続けた。


後半、柏ペースで動いていく中でもゲームから消えることなく体を張り続けた武藤。その象徴として、柏がこの試合で神戸に与えたイエローカードは2枚で、そのどちらも武藤が受けたものであった。


今年31歳を迎えるストライカー武藤は、苦しい時に体を張れる頼れる選手へと成長を遂げた。まだまだやれることをピッチで証明し続ける。

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