水戸ホーリーホックが奮起する一方で柏レイソルなどが出遅れ。今季もJ2は序盤から大混戦!

5月22日(水)11時0分 週プレNEWS

主力が相次いでチームを去ったが、ロシアW杯のメンバーでもあるGK中村航輔を中心に失点を抑えている柏。攻撃陣が機能すればトップ争いに加わってくるだろう
主力が相次いでチームを去ったが、ロシアW杯のメンバーでもあるGK中村航輔を中心に失点を抑えている柏。攻撃陣が機能すればトップ争いに加わってくるだろう

かつてのJ2は、J1からの降格チームが圧倒的な力の差を見せつけて独走優勝を遂げるのが定番だった。しかし2014年のJ3創設以降は、J2にも残留争いが生まれたために消化試合が減少し、その傾向もすっかり変わった。

毎年、入れ代わり立ち代わりで"サプライズチーム"が登場するのも当たり前。近年は最後の最後まで、予断を許さない激しい昇格争いが繰り広げられるようになっている。

その傾向は今季も変わらない。昨季にJ2降格となったチームは、一昨年のJ1初昇格が大きな話題となったV・ファーレン長崎と、J1経験が豊富な柏レイソル。特に柏は、J1優勝以外に天皇杯やナビスコカップ(現ルヴァンカップ)を獲得した経験もある日本屈指の名門チームだ。

この2チームに加え、大宮アルディージャ、アルビレックス新潟、ヴァンフォーレ甲府といったJ1常連チーム、昨季の昇格争いに加わった東京ヴェルディ、アビスパ福岡、横浜FC、そしてサイバーエージェント社が経営権を取得したことで一躍「昇格有力チーム」になった町田ゼルビアなど、今季のJ2もまさに群雄割拠。開幕前から予測困難な様相を呈していた。

そんななか、戦前の予想を大きく覆して序盤戦の首位に立ったのが、万年J2の中位以下に定着していた水戸ホーリーホックだ(第12節終了時点)。J2に参入した2000年以降の最高成績は、クラブ史上唯一、白星が黒星を上回った09年の8位。ただし、当時のJ2は現在より4チームも少ない18チーム構成だったため、「旋風を巻き起こした」とは言い難かった。

しかも、大手企業のバックアップがない市民クラブの財政状況は芳しくなく、自転車操業が日常化して借金生活を強いられた時代を経験。Jリーグ平均入場者数でもワーストを記録するなど観客動員が伸び悩み、さらに本拠地「ケーズデンキスタジアム水戸」がJ1の要件を満たしていないため、好成績を収めてもJ1昇格が認められない環境での戦いを余儀なくされてきた。

そんな厳しい状況に変化の兆しが見えたのは、昨年9月のことだった。

成績面でJ1昇格要件を満たした場合、かつて使用していた笠松運動公園陸上競技場を改修してホームスタジアムとすることを条件に、Jリーグから初めて「J1クラブライセンス」を交付されることになったのだ。これにより、頑張って成績を残せば悲願のJ1昇格が現実のものとなる。昨季は10位に終わってそれは叶(かな)わなかったが、選手と現場スタッフたちのモチベーションは一気に高まった。

そして長谷部茂利監督体制2年目を迎えた今季、開幕戦のファジアーノ岡山戦で勝利を収めると、続くホームでの栃木SC戦では5939人の観衆の前で3対0と完勝。その後も快進撃は続き、引き分けを挟みながらも、FC琉球に敗れるまで開幕12戦無敗という最高のスタートダッシュを切ることに成功した。

とりわけ目立っているのが、これまで複数失点を喫していない強固な守備だ。基本布陣の「4−4−2」を用いた組織的な守備と、ゴール前での粘り強さが最大の強み。また、両サイドバックに新戦力の岸田翔平と志知(しち)孝明がすぐに定着した点も見逃せない。まだ得点力に課題は残すが、それでも黒川淳史と清水慎太郎の2トップコンビが3得点ずつを記録するなど、少ないチャンスをモノにする力は十分にある。

昨季に続いて大幅な選手の入れ替えが敢行されたなかで、望外の好成績を残している水戸は、まさに今季の"台風の目"といえる。昨年に新クラブハウスがオープンし、大型連休中に行なわれた新潟戦では9000人を超える大観衆を集めて地元も盛り上がりを見せているだけに、今後も要注目だ。

一方、「昇格最有力候補」と目されながら、予想外の苦戦を強いられているのが柏だ。開幕戦でレノファ山口に勝利してから4連勝を飾るまではよかったが、その後に急失速。第9節からは3戦連続無得点ドローを演じるなど、思うような成績を残せていない。

最大の要因は、今オフに主力が大量に流出した上に監督が交代したことで、チーム戦術をゼロから構築し直さなければならなかったこと。さらに、その影響で深刻なゴール欠乏症に陥ってしまったことが挙げられる。

なかでも、日本代表の伊東純也がベルギーのゲンクに移籍したことは大きな痛手で、ほかにも守備の要だったCBの中山雄太がオランダに渡り、同じくCBの鈴木大輔も浦和に移籍。逆にベテランの染谷悠太、即戦力助っ人のヒシャルジソン、ガブリエルらを補強したが、チーム戦術が機能するには至っていない。

ただし、今季から指揮を執るのは、かつて柏をJ1優勝に導いた名将ネルシーニョ監督で、当時ヘッドコーチを務めていた前福岡監督の井原正巳を同職に復帰させるなど、ベンチの陣容は盤石だ。実際、4バックと3バックを試す現段階においても失点は少なく、第13節終了時点で6位に踏みとどまっている。戦術さえ固まればエースのクリスティアーノがゴールを量産する可能性は高く、いずれは昇格争いに加わってくることは確実とみるのが妥当だ。

柏のほかにも、福岡、新潟、東京ヴェルディ、横浜FC、町田といった有力チームがスタートダッシュに失敗したことで、今季のJ2も序盤から大混戦模様となっている。近年の傾向と変わらず、最後の最後まで激しいJ1昇格争いが繰り広げられそうだ。

取材・文/中山 淳 写真/築田 純/アフロスポーツ

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