【津川哲夫の私的F1メカ】レッドブルRB14のワクワクする新エアロ処理:カモメ・カナード
2018年5月23日(水)19時10分 AUTOSPORT web
今シーズン、5戦目に設定されたF1スペインGP。ここからいよいよ欧州戦に突入するにあたって、各チーム&各マシン、多くのアップデートパーツが投入されてきた。
その多くはもちろん、エアロパーツが中心。開幕4戦のフライアウェイで得たデータを元に、ダウンフォースレベルとバランスの向上を狙ったものだ。
多くのチームでさまざまなアップデートがあったが、まず取り上げたいのが、レッドブルのRB14。スペインGPに新しいエアロ・パッケージを投入し、フロアやフロア・フロントそしてバージボードエリアに手を加えてきた。
まあこのエリアは開発の自由度が大きく、エアロ効率を上げるには重要なエリアなので、手を加えたくなるのは当然ではある。
ただ、そこで面白いのは今回RB14がメイン・バージボードとアウターフェンスをつなぐカモメ・カナードを変更してきたこと。
これはアウターフェンスのサポートとポッドサイドのリーディングエッジへの空気流の制御に使われているもので、開幕戦から採用されているものだが、スペインGPに持ち込まれたものは複雑な曲線を描き、数種類の切り込みがほどこされていた。
この切り込み自体は開幕戦から存在はしたが、カモメ・ウイング形状の変更とともに、切り込みの数も増えて複雑な造形を見せている。
そして実はこの切り込み、ポッドのリーディングエッジの上下にあるスラットの外側にも刻まれているのだが、その本当の効果や狙いについては、今は定かではない。
ただ、その理由を想像してみると2つの考えが浮かんでくる。バージボード直前の大きな渦流域で発生する正圧をこの刻みから上面に吸い出し、上面で小渦流を作り、それが上方への干渉を抑える……的な効果か。
しかし、これでは刻みが貫通していることになり、カモメ・カナードの剛性は保てるのか?
ならば、さらに勘繰ってバージボードの最前列のバーチカル・スリットがインテークとなりエアロの境界層を吸い込み、カモメ・カナード内部から空気流を吹き出し小渦流を作り出す……なんてことは考え過ぎかもしれないが、想像してみるだけでワクワクしてしまう新パーツが登場した。